コラム

2015-12-20

製品開発戦略とは、現在の市場のシェア拡大

製品の市場における成長戦略を説明するためのモデルとして、経営学者アンゾフの成長戦略マトリクスが度々引き合いに出されます。

アンゾフは成長戦略マトリクスの4つ目の要素として、新商品を新規市場へ投入する挑戦的な戦略を挙げています。時には全社規模での新たな市場への挑戦も必要でしょう。

製品と市場という2軸による成長戦略モデルに加え、現在のビジネスシステムを見直すことにより、新たなビジネスモデルを創出する可能性が広がります。

アンゾフの成長マトリクス


『経営戦略論の父』と称されるロシア出身の経営学者イゴール・アンゾフ(1918-2002)は、企業の成長戦略モデルを『製品』と『市場』という2次元のマトリクスで分析しています。

アンゾフの成長マトリクス

(1)既存市場への浸透(Market Penetration)
既存の市場戦略から大きく外れることなく、既存製品の売上増を目指す戦略です。既存顧客への売上を増やすと同時に、新たな顧客の取り込みも行います。

(2)新市場の開拓(Market Development)
既存製品を改良することで、新たな市場を開拓します。例えば、既存の旅客機を貨物機に改造することで、新たに貨物輸送の市場に参入することができます。

(3)新製品開発(Product Development)
自社製品を展開している既存市場に対し、次の新製品を開発して売り込む戦略です。ここで言う新製品には、既存製品の改良型商品やラインナップの拡張も含まれます。

(4)多角化(Diversification)
新製品を開発し、新たな市場に投入する挑戦的な戦略です。多角化を、「新しく開発した製品を持って全く未知の市場へ飛び込むリスキーな戦略」と捉える説もありますが、アンゾフは既存路線の延長線上にある、あるいは自社の技術や既存ビジネスから派生した製品や市場へ向けた成長戦略もこの多角化戦略に含めています。

既存路線の踏襲か新市場への挑戦か


既存市場のシェア拡大を目的とした製品開発戦略の方向性を定めるにあたり、ここでもやはり自社の強みと「ポテンシャル(シーズ)」を明確に理解しておく必要があります。

既存の市場が拡大を続け、その中で自社製品が十分な競争力を維持しているのであれば、既存路線を踏襲することで成長し続けられるでしょう。

一方、新製品の開発や新市場の開拓にはそれなりの投資とリスクが伴いますが、市場のニーズをよく理解し、既存市場において自社ブランドの一定の地位を確立しているような場合には、大きな成長が見込まれます。

さらに多角化戦略には最も大きなリスクが伴いますが、自社の強みと市場や顧客のニーズを十分に理解していれば、既存顧客にアピールする新商品を開発するか、既存市場の中で自社が関わるサプライチェーンの範囲を川上と川下方向へ広げるか、あるいは全く新しい市場に全社挙げて取り組むか、という多角化の戦略方針が見えてくるでしょう。

また、成長だけでなくリスクマネジメントの観点から多角化戦略を取るケースもあります。


新たなビジネスモデルの創出


製品と市場を軸にしたアンゾフの2次元マトリクスを拡張し、新たなビジネスモデルの創出という3次元の考え方も出ています。

アンゾフは、現状を踏襲するか新しい製品や市場で勝負するかという戦略の方向性を製品と市場の2面からのみ捉えていますが、前述のサプライチェーンの拡張や、自社の技術・ノウハウやマーケティングを含む自社のビジネスシステムを見直し追加・改善することで、新たなビジネスモデルをつくり出し、さらに市場シェアを拡大する可能性が広がるでしょう。

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