コラム

 公開日: 2017-12-29 

派遣元責任者講習の義務と内容について

平成27年9月30日の労働者派遣法の改正によって、特定労働者派遣事業がなくなり、すべての労働者派遣事業が許可制になったことから、労働者派遣事業者は、派遣元責任者講習を必ず受講しなければなりません。

派遣元責任者講習は、どのような内容なのでしょうか。この記事では、派遣元責任者講習の内容や職務のほか、派遣元責任者に課せられた要件などについてお話しします。

労働者派遣事業者は、派遣元責任者を選任し、配置する必要がある

労働者派遣法第36条において、「労働者派遣事業者は、適切な雇用管理により派遣労働者の保護等を図るため、派遣元責任者を選任し、配置しなければならない」と定められています。

派遣元責任者は、以下で説明するすべての要件を満たす必要があります。

要件は

「未成年者でなく、労働者派遣法6条の第1号から第12号に定める欠格事由に該当しないこと」
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則29条で定める要件、手続きに従って派遣元責任者の選任がなされていること」
「住所及び居所が一定しない等生活の根拠が不安定でないこと」
「適正な雇用管理を行ううえで支障のない健康状態であること」
「不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのないこと」
「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行う恐れがないこと」
「派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとしていないこと」
「一定の雇用管理等の経験等があること」
「派遣元責任者講習を受講して3年以内であること」
「外国人にあって、一定の在留資格があること」

上記のように、全部で10にも及びます。

派遣元責任者講習は全国で行われている

なかでも最も満たすのが難しい要件が「一定の雇用管理等の経験等があること」です。

「一定の雇用管理等の経験等」とはあいまいな表現ですが、具体的に言えば、企業において3年以上の人事または労務の経験を有していることや、支店長などの管理監督の地位に就いていたことなどが求められます。

職業安定行政や民営職業紹介事業、労働者供給事業に3年以上経験を有する者も該当します。

派遣元責任者は、労働者派遣事業に伴う重要な職務を担当しています。

その職務は、

「派遣労働者に対する就業条件などの明示」
「派遣元管理台帳の作成や記録および保存」
「派遣労働者に対する必要な助言及び指導の実施」
「派遣労働者から申し出を受けた際の苦情処理」
「派遣先との連絡調整」
「派遣労働者の個人情報管理」
「派遣労働者に対し適切な教育訓練やキャリア・コンサルティングの機会を提供すること」「安全衛生管理」

など、多岐にわたります。

労働者派遣事業者は、派遣元責任者がいなければ事業を行うことができません。派遣元責任者は、一定の講習を受けることによって取得することが可能です。派遣元責任者の受講証明書は、労働者派遣事業の許可申請や更新手続きを行う際に不可欠な書類でもあります。なお、受講証明書は、講習会終了後に即日交付されます。

派遣元責任者講習は、東京都や愛知県、大阪府などの大都市圏を中心に、全国各地で行われています。近くの講習機関に開催日時をたずねてみるとよいでしょう。

講習は1日にわたって行われ、労働者派遣法や労働基準法の内容のほか、労働者派遣事業運営の状況や派遣元責任者の職務上の留意点、個人情報保護の取り扱いの注意点、公正な採用選考の方法などについて学びます。

すべての労働者派遣事業者に必須となった派遣元責任者講習

派遣元責任者講習は、厚生労働省が指定した機関で受講することができます。対象となる機関は、株式会社のほか、一般社団法人や公益社団法人など、さまざまです。講座の料金も独自に設定されているので、時間が許す限り検討するとよいでしょう。

受講する際に注意したいのが、法改正に迅速に対応している機関であるかどうか。労働者派遣法をはじめ、労働法は生活に根ざした法律であるため、頻繁に法改正が行われています。対応しているケースがほとんどですが、心配であれば問い合わせてみましょう。

これまで、派遣元責任者講習は、特定労働者派遣事業のみを行っている事業者であれば、受講する必要がありませんでした。

ところが、平成27年9月30日に行われた法改正によって、特定労働者派遣事業がなくなり、すべての労働者派遣事業者が許可制になったことから、派遣元責任者講習は事実上、必須のものとなりました。

このため、平成30年9月29日までに派遣元責任者講習を受講する必要があります。新たに許可申請を行う労働者派遣事業者は、事前に準備をしたうえで、早めに派遣元責任者講習を受講したほうがよいでしょう。派遣元責任者講習は、一度受講すれば終わりではありません。3年ごとに更新する必要があることをしっかりと覚えておいてください。

この記事を書いたプロ

ドラフト労務管理事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 鈴木圭史

大阪府大阪市東成区中道3丁目15番16号 毎日東ビル4階 [地図]
TEL:06-4307-3931

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
優良派遣認定支援

 優良派遣事業者認定制度をご存じでしょうか。ドラフト労務管理事務所では優良派遣事業者認定の取得支援を行っています。そして、平成27年度に関与した会社が認...

ブラックでない証明

ブラック企業でもないのにその汚名をきせられていませんか?お困りの企業はご一報を。 そして、安心してください。問題をソフトランディングで改善しましょう。...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
鈴木圭史(すずき・けいじ)さん

意欲を持って働ける職場を設計(1/3)

多くの経営者は企業を経営するのに経理財務を中心としたお金の管理を優先し、労務管理をおろそかにしがちですが、「職場を大切にしないと企業の存続はできませんよ」とドラフト労務管理事務所(大阪市東成区)代表で、社会保険労務士の鈴木圭史さんは忠告しま...

鈴木圭史プロに相談してみよう!

読売新聞 マイベストプロ

労務リスクをチェック、改善。トラブル発生でも最小限に抑える。

会社名 : ドラフト労務管理事務所
住所 : 大阪府大阪市東成区中道3丁目15番16号 毎日東ビル4階 [地図]
TEL : 06-4307-3931

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

06-4307-3931

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

鈴木圭史(すずきけいじ)

ドラフト労務管理事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

びっくり。派遣元責任者講習。

3年ぶりの派遣元責任者講習を大阪で受講しました。 私は人材...

K.S
  • 40代/男性 
  • 参考になった数(27

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
グッドキャリア企業とは?

 厚生労働省は昨年11月、「グッドキャリア企業アワード2017」の受賞企業を公表しました。 グッドキャリア企業...

[ よもやま話 ]

電子タバコは禁煙エリアで吸ってもいい?

 近年、アイコスなど「電気加熱式タバコ(電子タバコ)」の人気が高まっています。煙が出ないため副流煙の問題は...

[ よもやま話 ]

残業代請求は過去2年分→5年分になる?

 民法が改正され、債権の消滅時効の規定が整理されることになりました。現在は「飲食代は1年」「診療代、工事の請...

[ 労働基準法関連 ]

年金の受給資格が25年→10年に短縮

 法律が改正され、老齢年金の加入期間(受給資格期間※)が25年から10年に短縮されることになりました。 今...

[ 社会保険 ]

残業前の休憩時間は必要?

 定時の終業時刻の後、残業を始める前に15分や30分の休憩時間を設けている会社があります。法律上、残業をさせる...

[ 労働基準法関連 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ