コラム

 公開日: 2018-05-18 

医療業界の労務トラブル事例

私たちの命を支える医療。しかし、医療業界の職場では、月100時間を超える長時間労働が慢性化しており、労務トラブルが後を絶ちません。医療業界は、一般的に個人経営の病院が多いため、労務トラブルへの意識が低いことが原因の一端です。

医療業界には、どのような労務トラブルの事例があるのでしょうか。この記事では、医療業界でありがちな労務トラブルの事例を解説しながら、その対策についても紹介します。

医療業界が労務トラブルに直面しやすい理由

医療業界は、労務トラブルが最も発生しやすい業界のひとつです。
病気は待ってくれないため、患者は、24時間365日、時間と場所を問わずに、病院にやってきます。そのため、医者を中心とした医療者は、月に100時間を超える長時間残業が慢性化する恐れがあります。

言うまでもないことですが、医療業界の最も重要な競争リソースは人材です。
人材を大切にしなければ、病院経営が成り立たず、地域の患者に良質な医療を提供できなくなります。少子高齢社会で、以上需要が高まっているとはいえ、そうなれば、早晩廃業を余儀なくされるでしょう。

それに、医療業界は、過度なストレスがかかる業界でもあります。
人の死に直面した看護師がその重さに耐えかねて、仕事を辞めてしまうことも多々あり、メンタルケアも重要になってきます。さらに、介護事業所では、腰痛をはじめとした業界特有の病気もあるため、日頃から従事者の健康管理に注力する必要があります。

また、医療業界は、一般的に有効求人倍率が高く、転職先に困らないという側面もあります。
転職市場が労働者にとって有利な環境であるため、早期離職者が多くなっています。しっかりとした人事管理を行わなければ、人材の定着が望めないことがよくわかるでしょう。

医療業界における労務トラブルの事例を紹介

医療業界には、どのような労務トラブルの事例があるのでしょうか。いくつか実例を見ていきましょう。

医療機関が最も頭を悩ませているのは「労働時間管理」です。
特に急性期病院では、救急患者もいるため、医者を中心とした医療者が実際に働いた時間を算出することは困難です。また、宿直や夜勤など、特殊な勤務形態があることも、「労働時間管理」を難しくしている理由のひとつです。

そのため、未払い残業代を請求される事例が頻発しています。
未払い残業代は、放置しておくと、膨大な金額になり、病院経営を左右しかねません。「労働時間管理がうまくできていない」と心当たりのある病院は、すぐにでも改善すべきです。

「就業規則」の未整備による労務トラブルも後を絶ちません。
一般的に、病院は個人で経営されている“クリニック”が多いため、労務管理の意識が低い状態です。「就業規則」を作成していない病院が目立ち、休暇や賞与、退職金などで労務トラブルが発生しています。

女性が多い職場であるため、休暇については明確に定めておいたほうがよいでしょう。
たとえパートで働いている従業員であっても、一定の条件のもと法律に従って、有給休暇を付与する必要があります。「有給を取らせてくれない」という労働者からの訴えは、よく見られる労務トラブルのひとつですが、法律で定めている以上、「知らない」では済まされません。

労働時間を適性に管理し、就業規則を整備することが医療業界に必要

医療業界における労務トラブルを防ぐためには、どのような対策が必要でしょうか。
まず、必要不可欠なのが適正な「労働時間管理」です。「労働時間管理」は、最も基礎的な労務管理ですが、多くの病院は意識が低く、ほとんど管理できていません。

「労働時間管理」は、タイムカードで行うことが一般的ですが、これだけでは足りません。
管理職を中心に、「残業をしない」「残業をさせない」という雰囲気を継続的に醸成していかなければ、うまくいかないでしょう。どこまで意識付けができるか、そこに「労働時間管理」の要諦があると言えます。

「就業規則」は、以前の記事でも解説したとおり、「常時10人以上」を使用している事業所で必須のものです。
病院の多くは零細であるため、この要件にあてはまらないこともありますが、無用の労務トラブルを防ぐために、「就業規則」を作成し、しっかりと運用すべきでしょう。

メンタルケアへの配慮も欠かせません。
死に直面するプレッシャーのほか、女性が多い職場であることから、いじめなども散見されます。ストレスが溜まりやすいため、ストレスチェックを欠かさないこと、飲み会や報告会など、従業員がストレスを発散できる場を設けることも大切です。

介護事業所では、腰痛対策が必須です。
というのも、介護事業所における労働災害の多くが腰痛であるからです。労働災害を招くと、労働基準監督署のお世話になる必要があるので、注意したいものです。外部講師を招聘して研修を行うなど、事業所内での教育や訓練が腰痛対策につながるでしょう。

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