コラム

 公開日: 2018-05-30 

IT業界における労務トラブル事例

IT化の進展に伴い、私たちの生活は豊かになりました。しかし、システムは24時間365日稼働しているため、システムエンジニアほか、ITに携わっている人々は、休日や深夜を問わず保守管理が求められるようになりました。それだけに、IT業界では、長時間労働が大きな問題になっています。

この記事では、長時間労働が引き起こす問題を中心にIT業界で見られる労務トラブルについて解説します。

IT業界は特性上、労務トラブルに直面しやすい

ITは、私たちの生活にとって必要不可欠なものです。例えば、電力系やガス系などのシステムがなければ、快適な日常生活を送ることはできないでしょう。

こうした私たちの普段の生活を支えているのが、システム会社を中心としたIT業界です。それだけに、IT業界は24時間365日フル稼働が基本です。もし、システムトラブルが発生すれば、休日や夜間であろうとも、対応を迫られます。

システムエンジニアは、お客さまの求めに応じて早急に処理する必要があり、経営側から見れば、予期せぬ残業が積み重なってしまうおそれがあります。

IT業界は、多重下請け構造になっていることが大きな特徴でしょう。あるケースでは、電力系のシステムの保守管理に関わっている下請けの会社は5社に上りました。彼らは、クライアントの要求に対応するため、お客さまである電力会社に常駐することが一般的です。そのため、複数の会社の従業員が同じ職場で働いているケースが散見されます。こうした業界の特性や働き方がIT業界の労務管理を難しくしています。

長時間労働に端を発する労務トラブル事例を紹介

では、IT業界ではどのような労務トラブルがあるのか、ひとつずつ見ていきましょう。やはり、頻繁に指摘されているのが「長時間労働」です。

前述した通り、システムは24時間稼働するものであり、システム会社やトラブルが起きれば、すぐに対応する必要があります。トラブルは軽微なものから重大なものまでさまざまですが、徹夜も珍しくはありません。こうした背景もあり、IT業界は長時間残業が常態化しています。過労死を招きやすい業界として認知されていることは、ゆゆしき問題です。

「長時間労働」は、従業員のメンタルヘルスを損ないます。近年、メンタルヘルスのチェックを行う事業所は増えていますが、中小零細のシステム会社では、メンタルヘルス疾患が大きな課題になっています。

メンタルヘルス対策は、働き方そのものとかかわってくるため、一朝一夕ではできませんが、従業員のメンタル不調を早急に察知できる体制が必要でしょう。

「長時間労働」については、労働時間管理も大きな課題になってきます。というのも、労働時間をしっかりと管理できなければ、十分な対策を講じることができないからです。労働時間管理がずさんな事業所は多いですが、後々残業代の未払いなど、訴訟に発展しかねないため、労働時間をしっかりと把握したいものです。そのためには、社長を中心として労働時間管理への意識を高めることが第一歩でしょう。

柔軟な働き方が「問題社員」を生むIT業界

とはいえ、複数の従業員が働いている環境下において、労働時間の管理はなかなか難しいものです。

IT業界では、他社と共同して現場判断で働くケースが多いため、自己裁量があまり大きくないからです。実効性を持たせた労働時間管理を行うためには、プロジェクトマネージャーなど、現場で指揮を執る従業員に対し、適切な教育を行うことも大切でしょう。

近年、IT業界が成長するにつれて、「問題社員」の相談が増えてきました。「問題社員」とは、遅刻が常態化している従業員など、周囲に迷惑をかけて業務効率を著しく低下させる従業員のことです。

IT業界は、フレックスタイム制が敷かれているケースも多く、自分で労働時間を決めることができる会社もあります。また、パソコンひとつあれば、できる仕事もあるため、自宅やカフェなどで作業する人もいます。

もちろん、働き方が柔軟になるのはよいことですが、自己管理能力がない従業員の場合、「遅刻が常態化する」「仕事をボイコットする」など、さまざまなトラブルが発生するおそれがあります。

IT業界の大手企業では、「成果が上がるならどこで仕事をしてもよい」という風潮が出てきていますが、それを単純に見習えばよいという話ではありません。自社に合わせた形で、労務管理の形態を変えていかなければ、無用な労務トラブルを引き起こすことになります。

IT業界は、中小零細企業が多いため、就業規則が整備されていないケースが多々見られます。就業規則は、会社で働くうえでのルールです。ルールがなければ、何が反則であるのか、明確化することは難しいでしょう。まずは、就業規則を見直すことが大切です。労務トラブルを防止するためには、まずは足元からチェックしていきましょう。

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社会保険労務士 鈴木圭史

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