コラム

 公開日: 2018-06-02 

建設業における労務トラブル事例

建設業の現場は、配管工など、さまざまな専門性を持つ一人親方が中心となっている職場です。そのため、コミュニケーションの問題に端を発する労務トラブルが頻発しています。

さらに、建設業の現場は工期があるため、長時間労働が慢性化するおそれがあります。身体的な疲れが蓄積すれば、労災問題に発展する可能性もあるため注意が必要です。

この記事では、近年、注目されている社会保険の適用問題のほか、建設業によく見られる労務トラブルについて解説します。

労務トラブルが人材採用をさらに困難にする

建設業は、労務トラブルが発生しやすい業界のひとつです。というのも、建設業で働いている事業者の多くは、一人親方であるという特徴があるからです。

IT業界のように多重下請け構造であるため、「誰がどの現場で何時間働いているのか」を把握することが難しくなっています。

また、景気回復の影響や、いわゆる3K(きつい、きたない、危険)であることが一般的に知られていることから、建設業の事業者は人材採用がより一層困難になっています。

かつては、徒弟制度のような人材育成システムがありましたが、社会情勢の変化により、そうした優れたシステムも徐々になくなってきています。建設業の事業者は、人材採用が難しくなっている現状をふまえて、労務トラブルを防ぎ、人材の定着を促していくことが大切です。

今こそ、建設業の事業主は、就業規則をしっかりと整備し、後述する社会保険の適用問題をクリアにして人材の確保を図りましょう。現在、2020年のオリンピック需要により、建設業のなかには、高収益で推移している事業者もいますが、オリンピック後はそう簡単にはいかなくなる可能性があります。少し余裕のある今だからこそ、未来に備えた人事施策が必要です。

建設業でよく見られる労務トラブル事例とは?

それでは、建設業でよく見られる労務トラブルについて解説しましょう。建設業の労務トラブルといえば、社会保険の適用問題について触れないわけにはいきません。

前述した通り、建設業は一人親方が中心です。建設業の事業主は、こうした一人親方を一定の条件で使用した場合に、社会保険を支払う義務があります。

ところが、近年まで、この支払義務を意図的に逃れてきた違法な事業者がいたことは事実です。

厚生労働省は適正化を図っていますが、現場の意識はあまり変わっていないようです。しかし、情報社会になり、職人の労務管理への意識は確実に高まっています。社会保険の適用問題についても、知識を習得している職員もおり、未払いが発覚すると大きな労務トラブルに発展しかねません。社会保険の適用問題をクリアするためには、まず、職人の就労実態を適切に把握することが大切です。

さまざまな職種の一人親方が関わっている建設業

建設業の現場では、左官や配管工など、さまざまな職種の職人が専門性を発揮して働いています。

そのため、コミュニケーションが円滑でなければ、工事がスムースに進まないばかりか、無用な労務トラブルが起きかねません。建設業の事業主は、現場監督の育成を通して、職人間の円滑なコミュニケーションを促進させる努力が必要でしょう。円滑なコミュニケーションは、日々の仕事を通じてこそ培われるものです。すでに実施している事業者は多いと思いますが、飲み会など、仕事の後のコミュニケーションも大切でしょう。

建設業には工期があるため、長時間労働が慢性化することもしばしばあります。現場によっては、徹夜での労働を余儀なくされることもあります。このとき、労務管理をしっかりと行わなければ、未払い費用の請求など、さまざまな労務トラブルに発展しかねません。

労働条件が不明確であることも建設業の特徴でしょう。いまだに労働条件を通知する書類を交付せずに雇用しているケースも見受けられます。

労働契約は口頭でも成立しますが、労働基準監督署など、第三者が見たときに、不信感を持たれるようなやり方は感心できません。賃金や休日休暇など、労働者にとって重要な労働条件はしっかりと明示し、書類を交付すべきです。

最後に建設業における頭の痛い労務トラブルは、労災問題でしょう。いったん労災によるトラブルが起きてしまうと、信頼を失ってしまうだけでなく、失注にもつながりかねません。また、翌年度以降の労災保険料が高騰する原因にもなります。

労災対策は、建設業の事業者なら、万全の体制で対策を行いたいものです。それでも、労災隠しが頻発している現状があります。労災隠しは、明らかに犯罪です。そうした事態を招かないよう、日頃から職場環境や労務体制には気を遣いたいものです。

人材不足の影響からか、外国人労働者が増えている実態もあります。日本語が思ったように伝わらないケースもあるため、コミュニケーションがなお一層重要になっています。繰り返しになりますが、事業環境が過渡期にある今だからこそ、労務管理体制をしっかり見直し、足元を固めるのが良いでしょう。

この記事を書いたプロ

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社会保険労務士 鈴木圭史

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