絵本で大人に気づきを与えるプロ
コラム
2012-02-03
「一番好きな絵本は?」
「いちばん好きな絵本は何ですか?」とよく聞かれます。
「んん…」
と詰まってしまうと、
「おや、この人、本当に絵本が好きなのかな?
絵本に詳しいのかな?」
という顔をされるので、焦ってしまいます。
「絵がきれいな絵本」だったら、これとこれ。
「親子関係で、楽しいのは」これとこれ。
。
「ナンセンス」だったら、これ。でもこのナンセンスは理解できないと言われたら、これ。
「最近読んで、ぐっときた」のは、これ。
「デザインが優れている」だったら、これとこれ、かな…。
と、さまざまです。なかなか1冊には決められません。
でも、あまりにしばしば尋ねられるので、
とりあえず1冊決めてみました。
『いっちゃん』二宮由紀子(作) 村上康成(絵) 解放出版社
http://www.ehonnavi.net/ehon/14660/%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93/
いっちゃんは、ひとつめこぞうです。
仲良しの、ののちゃんは、○○です。
でも、クラスで、
「いっちゃんひとりだけ」と
「ののちゃんひとりだけ」は、違います。
いっちゃんは、目だたない平凡な子です。
だけど、ののちゃんは…
だから、人間の子がいっちゃんをからかうのと、ののちゃんをからかうのとでは、
言い方がぜんぜん違う。
そういったら、ののちゃんは、
「そうよね(いっちゃんのことを「片目」ってからかうけど)
四つ目から見たら、人間の方が片目よね」って、
ぜんぜん違うことを考えていた。
ののちゃんは、割り算も得意なんです。
…って、
私たちが「当たり前」と思っていることが、
どんどん覆されていきます。
こういう展開になるだろうという予想が、
見事に外れます。
読み進むうちに、自分のアイデンティティーがぐらつき始めます。
これは揺るぎようのないこと、確かなことだと信じていたことが
この絵本を読み進むにつれて、グラグラと崩れていく。
自分の立っている基盤が、存外、不確かなものであることに、
唖然としてしまいます。
表紙のいっちゃんは、ちょっと考えてますけど、
裏表紙のいっちゃんは、ちょっと笑ってます。
何か分かったのかな?
まあいいか、と思ったのかな?
絵本を見るときは、表紙裏表紙まで、見てくださいね。
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