コラム

 公開日: 2014-12-24  最終更新日: 2014-12-26

「ジャケット」を着てゴルフに行く その①

日本のほとんどの会員制ゴルフ場では、入退場時の「ジャケット着用」や「ブレザー着用」が「ドレスコード(服装規定)」のひとつとして定められています。この規定については、なかば形骸化されつつあるためにゴルファーの方々のとまどいや批判の声がインターネット上などでも挙がっています。
そもそも、なぜこのルールが必要だったのか?今後はどう考えるべきなのか?
 「入退場時のジャケット着用」この1点について考えてみたいと思います。

関連しているのではないかと思われる3つの要素から考えることにしました。

①なぜ、第2次世界大戦後ぐらいまでのゴルフでは「スーツ(紳士服)」を着てプレーしているのか?
②マスターズの「グリーンジャケット」のように、各々のゴルフクラブで「ブレザー」にエンブレムを付けて会員ユニフォームとしたことから広まった?
③日本ゴルフの発展の中で移り変わっていく人の心

今回は、①の「なぜ、第2次世界大戦後ぐらいまでのゴルフでは「スーツ(紳士服)」を着てプレーしているのか?」について考えてみます。

「ラウンジ・ジャケット」でゴルフプレー

第2次世界大戦以前のゴルフプレーの写真を見ると、プロもアマチュアも、スーツでプレーしています。ジャケット(背広)にネクタイとスラックス、もしくはニッカポッカという出で立ちでの写真を数多く見掛けます。
どうしてなのでしょうか?

このころのスーツは、イギリス発祥の「ラウンジ・スーツ(Lounge Suit)」と呼ばれ、現在の紳士服の定番「スーツ(Suit)」の原型となっています。
この「ラウンジ・スーツ」の上着は「ラウンジ・ジャケット」は呼ばれ、この現代における背広の原型が、ゴルフプレーの服装に大きな意味を持っていました。

「ラウンジ・ジャケット」が、19世紀前半、当時正礼装とされていた「フロック・コート」「モーニング・コート」に対しての日常的に着用する衣服として、1860年頃からイギリスで流行し始めました。
それは、これらコートの長い裾を切り落とした、上着丈の短い略式のジャケットでした。
その後、「ラウンジ・ジャケット」は、共生地(ジャケットと同じ生地)によって、ウエストコート(ベスト)、トラウザーズ(スラックス)を組み合わせて仕立てられ、非公式な場で着用する紳士用スーツとして「ラウンジ・スーツ」と呼ばれるようになりました。
イギリスでは「ラウンジ・スーツ」、アメリカでは「サック・スーツ(Sack Suit)」と呼ばれました。

なぜコートの裾が切り落とされて「ラウンジ・ジャケット」となったのでしょうか?

コートからジャケットへ

フランス革命(1789年)以後、貴族政治の終焉とともにイギリスでも服装は大きく変化し、カツラと半ズボンとストッキングが無くなり、長ズボンとブーツへ。華美さがなくなり、シンプルになっていき、19世紀になって黒いスーツが正装の主流となりました。季節を問わず、昼間はダブルのフロックコートにトップハット。それに準ずる正装として、前裾をうしろにかけて斜めに切り落としたモーニングコート。夜はイブニングドレスコート、すなわちテールコート(燕尾服)。

公の場ではこういう正装をすることが、19世紀後半の英国紳士「ジェントルマン(Gentleman:英国の上流階級者)」が守るべきマナーとなりました。それぞれのコートを着る時間帯や合わせる小物まで、細かな決まりがありました。
誰もが、一見、似たような黒の装いになってきたからこそ、TPOに応じた「ドレスコード」を細部にわたるまできちんと押さえた着こなしができるかどうかが「ジェントルマン」の基準になっていたようです。

ダイニングルームで燕尾服の尾が床につきながら食事をした後、その正装のままでラウンジルームに移って、食後酒やタバコをたしなみながら談笑していました。
しかし、せめてラウンジルームでは、裾が邪魔なコートを脱いで、ソファでゆったり寛ぎたいということから、このラウンジ専用ジャケットが登場し、部屋着や寝間着として着られるようになり、やがて友人や家族と寛ぐときのカジュアルウェアとしても着られ始めるようになったということです。

すぐに「ラウンジ・ジャケット」は、レジャー・アウトドア用、スポーツ用として着られるようになり、ゴルフでも着用されるようになりました。身体を動かすために、シルエットは筒型でゆったり作られています。
多くの写真にあるスーツ姿でプレーしているゴルファーは、フォーマルウェアを着て、畏まってゴルフをプレーしているのではないようです。
ポロシャツを着てプレーするのと同じ感覚で、当時で言うところのカジュアルなスポーツウェアに身を包んで、気楽にゴルフプレーを楽しんでいたに違いありません。

「ジェントルマン」と「ゴルフ」の世界同時進出

この時期、英国紳士たちは、「ジャントルマン」のマナーをしっかりと携えて世界各地へ進出していきました。1870年代から1914年の第1次世界大戦にかけて、世界中にマナーや生活習慣をそっくり持ち込んでいきました。そして、この時、「ゴルフ」もアメリカ、日本をはじめとする世界各地へ持ち込んでいったのです。

「ラウンジ・スーツ」は、19世紀末から20世紀の初頭にかけてアメリカのビジネスマンがビジネスウェアとして着用し始め、その後世界的に普及していき、現在のスーツ・スタイルとなり、カジュアルウェアからビジネスウェアへ進化しました。
ゴルフウェアについても、「ラウンド・ジャケット」に「スラックス」、もしくはアメリカから急速に広まった「ニッカボッカーズ(ニッカポッカ)」のズボンをはくスタイルが世界中で定着していきました。

1901年、英国人アーサー・ヘルケス・グルームにより神戸六甲山に初めてゴルフ場が造られて以来、英国人により広まっていきました。そのため戦前の日本ゴルフは英国ゴルフの影響を強く受けながら発展してきました。

初期の日本の会員制ゴルフ倶楽部では、英国紳士が会員として所属する英国の名門ゴルフ倶楽部を参考にして、倶楽部のルールやマナー、ドレスコードが決められてきたと考えられます。その流れは、戦前戦後を乗り越えてきた開場80年を超える名門ゴルフ倶楽部では、現在においても脈々と受け継がれているのではないでしょうか。

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