コラム

 公開日: 2014-12-25  最終更新日: 2014-12-26

「ジャケットを着てゴルフに行く」 その②

日本のほとんどの会員制ゴルフ場では、入退場時の「ジャケット着用」や「ブレザー着用」が「ドレスコード(服装規定)」のひとつとして定められています。この規定については、なかば形骸化されつつあるためにゴルファーの方々のとまどいや批判の声がインターネット上などでも挙がっています。
そもそも、なぜこのルールが必要だったのか?今後はどう考えるべきなのか?
「入退場時のジャケット着用」について、以下の3点から考えてみたいと思います。

①なぜ、第2次世界大戦後ぐらいまでのゴルフでは「スーツ(紳士服)」を着てプレーしているのか?
②マスターズの「グリーンジャケット」のように、各々のゴルフクラブで「ブレザー」にエンブレムを付けて会員ユニフォームとしたことから広まった?
③日本ゴルフの発展の中で移り変わっていく人の心
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前回はについて考察しました。
今回は②の≪マスターズの「グリーンジャケット」のように、各々のゴルフクラブで「ブレザー」にエンブレムを付けて会員ユニフォームとしたことから広まった?≫について考えてみたいと思います。

マスターズの優勝者に送られる「グリーン・ジャケット」

ゴルフの4大メジャーのひとつ“マスターズ・トーナメント”の優勝者には、このコースのメンバーだけが着ることのできる「グリーン・ジャケット」が贈られ、名誉会員となり生涯この大会に参加できる資格が得られます。
1933年にオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブが設立され、1934年から始まった“マスターズ・トーナメント”。初めて「グリーン・ジャケット」が優勝者に贈られたのは、1949年のサム・スニードからでした。                            
それは1937年、トーナメントを楽しむパトロン(観客)たちに、大会情報を正確に提供しているオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ会員が会場で目立つようにと、「グリーン・ジャケット」をユニフォームとして着用したことに始まります。左の胸ポケットにクラブのエンブレムが縫い付けられ、デザインはシングル・スタイル、使用される真鍮ボタンは3つ、2.7mのウールとポリエステルの混合生地とレーヨンの裏地から誰もがあこがれるジャケットが作られています。
                                
このジャケットを持つオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの会員は世界中に約300名といわれ、現在でも入会希望者が多く、会員になるためには数十年程度待たなければなりません。またプライベート・コースのため、コース会員の同伴か、マスターズの運営ボランティア等でないとプレーできなく、会員以外の人がプレーするのは大変に難しいとされています。オープン以来、男性の会員しか許されませんでしたが、2012年に初めて女性会員を2人迎え入れています。
それほどの厳格な伝統と歴史のあるメンバーシップのクラブであり、クラブのエンブレムが付いた「グリーン・ジャケット」はその証のひとつとなっています。

英国名門ゴルフ倶楽部のメンバーユニフォーム

ゴルフの聖地セント・アンドルーズを本拠とする“ザ・ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セント・アンドルーズ(R&A)”などゴルフ発祥といわれる英国スコットランドの名門倶楽部では、伝統を重んじ、19世紀ごろまで会員のユニフォームとして「赤いコート」の着用を義務付けていました。現在では特別な日にのみ「赤いジャケット」の着用は限られているようです。

セント・アンドルーズでは、コースとクラブが一体ではなく、ゴルフコースは「パブリック」、クラブ及びクラブハウスは「プライベート(会員のためのもの)」という考え方が、昔から現在まで続いています。コースの予約が取れたからといって1番ティーの後ろにそびえるR&Aのクラブハウスに入っていくことはできません。
入場するには、会員の同伴とジャケットとタイの着用が必要となっています。
クラブハウスにはバー、ダイニングルーム(食堂)、図書室、ラウンジルーム(談話室)、ビリヤード室、ダンスホール、ロッカールームなどがあり、これらは会員のためのプライベートハウスとして、大人の遊び場、社交場となっています。

制服としての「ブレザー」

現在、オーガスタGCの「グリーン・ジャケット」やスコットランドの名門ゴルフ倶楽部の「赤ジャケット」など、ゴルフクラブ会員の制服として用いられている「ブレザー(Blazer)」は、上着(ジャケット)の一種であり、形状により「リーファージャケット (reefer jacket) 」あるいは「スポーツ・ジャケット (sports jacket) 」とも呼ばれています。

金属製のボタンや左胸のパッチポケットに貼り付けられたエンブレム等が特徴として挙げられ、様々な場で制服として用いられています。現在の欧米では前述の特徴が無いテーラード(テーラー:tailor仕立て人)からくるもので、「仕立ての」という意味。)タイプの上着も「ブレザー」と称しています。一般的な「紺ブレ」などもそうですね。

フォーマルに着られるもの、学校や航空会社等の制服には、紺系統又は黒のものが多く、カジュアルなものやスポーツクラブの制服には派手な色や柄のものが多く見られます。学校、航空会社、ヨットクラブ、ゴルフクラブ、セキュリティ会社、スポーツ大会に出場する選手団の制服として多く用いられています。

いずれも「ブレザー」をユニフォームとする目的は「スタイルによる視覚的な統一性の向上」にあります。

「ブレザー」の起源と発展

2種類の「ブレザー」の起源にはそれぞれ以下のような説が知られています。
◆ダブルのブレザーの起源
1837年(1845年という説も)、英国の軍艦ブレザー号の全乗組員がネイビーブルーのダブルの金属ボタンが付いた「フロックコート」を着て、当時のビクトリア女王の観閲に臨みました。 のちに他の軍艦でも採用されるようになり広まりました。

この英国海軍将校の「フロックコート」を動きやすいように丈が短くしたものが士官候補生(俗称:リーファー)用の制服となり「リーフィングジャケット」、そして「リーファージャケット」と呼ばれるようになったと言われています。現在一般に着用されている「リーファージャケット」にも金属製のシャンクボタンが付いているのは軍服であった名残であるとされています。

◆シングルのブレザーの起源
「モーニングコート」の裾を切って、クリケットやテニスなどの「スポーツ・ジャケット」として用いられるようになったと言われています。「ラウンジ・ジャケット」と混同されているかもしれませんね。

1877年のイギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学のボート対抗戦にて、ケンブリッジ大学の選手がカレッジカラーである燃えるような(Blazer)真紅のジャケットをユニフォームとして着用していたことから「ブレザー」と呼ばれるようになったと言われています。

ネイビー(紺色)・ブレザーは1920年代からアメリカでポピュラーとなり、カジュアルな場面から、セミフォーマルな場面まで用途が広いことから人気を得、一般的になったといわれます。「アイビールック」が流行した60年代から日本でも認知度が上がり、さらに80年代後半にはダブルのネイビー・ブレザーが大流行しました。

制服として用いられるのは通常ワイシャツやブラウスですが、ポロシャツを採用する制服も存在します。海外のパーティーではネクタイやリボン以外にも蝶ネクタイやクロスタイ、アスコットタイ。靴もローファーなどの革靴をはじめブーツ、スニーカーなど多数の組み合わせを用いることができるのが、「ブレザー」の大きな特徴です。

近年は、クールビズの影響からかスーツではなくジャケットとパンツのコーディネートを求められることが多くなり、最もスタンダードなジャケットとして「ブレザー」が再び人気を得ているように思います。まさにカジュアルな場面から、セミフォーマルな場面まで幅広く使えるジャケット。それが「ブレザー」です。

ゴルフ倶楽部会員ユニフォームとして

ゴルフ場の入退場スタイルでは、明確に「ブレザー着用」とされている場合もありますが、「ジャケット着用」とされている場合でも、単なる「上着」としての広義の意味での「ジャケット」ではなく、「ジャケット」のトラッド・スタイルの定番の1つとして「ブレザー」のことを指していると思われます。

「ブレザー」の歴史的背景から考えると、会員制ゴルフ倶楽部の「ジャケット着用」規定については、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの「グリーン・ジャケット」やセントアンドルースをはじめとするスコットランド名門ゴルフ倶楽部の「赤ジャケット」に見られるように、ゴルフ倶楽部会員(メンバー)に対して「ゴルフ倶楽部のエンブレムをジャケットに付けて来場する」というユニフォーム的感覚から、このルールが始まったものかもしれませんね。

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