コラム

 公開日: 2015-01-04  最終更新日: 2018-04-03

日本のゴルフ場で「1ホール2グリーン」が必要だった理由

日本では、季節あるいは整備上の都合によって使い分けをするために、1つのホールに 2 つのパッティンググリーンを設けているコースが数多くあります。
一般的にピンフラッグのあるパッティンググリーンを「メイングリーン」といい、ピンフラッグがなく使用していない方のパッティンググリーンのことを「サブ(予備)グリーン」といいます。

この「1ホール2グリーン」は海外ではあまり見られません。
なぜ、日本では「2グリーン」が必要だったのでしょうか?
*************************************

止む形無しに生まれた「1ホール2グリーン」

日本における「1ホール2グリーン」元年は、今から80年前の1935年(昭和10年)と言われています。この年、霞ヶ関カンツリー倶楽部西コースに「メイングリーン」を暖地型日本芝のコウライシバとし、第2グリーンを寒地型西洋芝のベントグラスとしたのが日本で最初と言われています。

この日本で最初の「1ホール2グリーン」は止む形無しに生まれました。

1932年(昭和7年)、日本で初めて36ホールズを持つゴルフ場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部西コース、そして廣野ゴルフ倶楽部や東京ゴルフ倶楽部朝霞コースなど西洋芝ベントグラスのパッティンググリーンを有するという日本に新しいゴルフコースが次々に誕生し、ゴルファーがそれまで見たこともなかったエバーグリーン(※ベントグラスは冬芝のために冬期でも枯れ芝とならず、緑の芝を維持します)の鮮やかな緑を喜びました。しかし、その喜びも束の間、同年8月の記録的な猛暑により、オープンしたばかりの寒地型芝であるベントグラスのパッティンググリーンは全滅と言ってもいいぐらいの大被害を受けました。

ベントグラスを「1ホール2グリーン」で活かす

高温多湿な日本の気候では、ベントグラスの品種改良が進み、生育管理、灌漑設備や排水工法など管理技術が格段に進歩した現在でも、ベントグラスなど寒地型西洋芝の「夏越し」は、グリーンキーパーにとって最も困難な作業です。
これらの技術が確立されていない80年前では寒地型西洋芝を通年維持させることは“不可能”と言っても過言ではなかったでしょう。

猛暑による大被害を受け、日本でのベントグラスによる「1ホール1グリーン」は“不可能”という観念が一般論となり、廣野ゴルフ倶楽部などでは、コウライシバのグリーンに変更せざるを得なくなりました。

しかし、霞ヶ関カンツリー倶楽部では西コースを閉鎖し、コウライシバの第2グリーンを造成する計画に踏み切りました。これはあくまで仮の姿でしたが、ともかく早くプレーができる状態にしたかったのです。
そして1935年に日本で最初のコウライシバとベントグラスの「1ホール2グリーン」が完成しました。これにより、高温期はコウライシバの「メイングリーン」を使用し、コウライシバが枯れ芝となる低温期はベントグラスの「サブグリーン」を使用するという「1ホール2グリーン」の利用法が確立しました。
さらに1937年には同倶楽部東コースでも第2グリーンが完成し、36ホールのすべてが「1ホール2グリーン」となりました。

これ以後、新たに造られたゴルフ場では、2種類の芝種を利用した「1ホール2グリーン」が主流となっていきます。日本の多くの人々にとっては、日本の気候に合わせた「1ホール2グリーン」が、日本の伝統的なゴルフ場の姿だと考えられるようになりました。
芝生の種類と特性はこちらのコラムでも

再びベントグラスによる「1ホール1グリーン」の時代へ

1980年代になって、再びベントグラスの「1ホール1グリーン」の時代がやってきます。
欧米で「1ホール1グリーン」が主流であり、それに負けじと日本でもエバーグリーンやコースの戦略性、そしてパッティングクオリティーなどゴルフプレーの観点からベントグラスの「1ホール1グリーン」が待望されるようになりました。
経済好況もあって、ゴルフ場開発や管理技術などの研究に投資が進み、ベントグラスの品種改良と管理技術の向上や管理機械が発展し、待望のベントグラスの「1ホール1グリーン」が叶うようになりました。

これにより、「1ホール2グリーン」を「1ホール1グリーン」に変える(戻す)ケースが一気に加速していきます。

ベントグラスのパッティンググリーンでは、グリーンスピードを求めるために、より低刈りに耐える品種の開発が必要となり、現在では3mm以下の刈り高にも耐えうる品種が一般的となっています。また、それに追従するように刈込機械の進化もあり、その他の管理技術の向上も合わせて、通年を通して9フィート前後、また特別な場合は12フィート以上のグリーンスピードが叶うようになりました。さらに高温の気象条件にも耐え得る品種の開発も進み、通年を通して安定したグリーンコンディションを維持できるようになってきています。

しかし、ベントグラスによる「1ホール1グリーン」について“不可能”だったものが、品種改良、管理技術の向上によって、ようやく“可能”となったに過ぎません。
年々、地球温暖化による異常気象が進み、気象変動が目まぐるしく、決して1年を通じて、楽にベントグラスが維持できるようになったわけではありません。

ゴルフコースを管理する“グリーンキーパー”の知識力、観察力、経験値などを最大限に発揮して、将来を事前に察知し対応していくという『人間力』がいまだパッティンググリーンの維持管理には最重要であるということは「1ホール2グリーン」だった昔も今も変わってはいません。

*******************************
Facebookにおいて具体的なマナーやルールの事例を写真付きで毎日更新中!
ぜひご覧ください。
「今からでも遅くないゴルフマナー&ルール」
*******************************
『なぜ、ゴルフ場でジーパンはNGなのか? ~もう迷わない。ゴルフ場での服装選び』
amazon 電子書籍本の販売ページはこちら(kindle版)
*******************************
ディボット・スティック専用サイトはこちら
アマゾン・ショップはこちら
*******************************
新有馬開発株式会社/有馬カンツリー倶楽部
〒669-1334 兵庫県三田市中内神南山841
TEL:079-565-2111 FAX:079-565-2121
URL:http://www.arimacc.jp/
******************************

この記事を書いたプロ

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部) [ホームページ]

マナー講師 谷光高

兵庫県三田市中内神南山841 [地図]
TEL:079-565-2111

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

49

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
セミナー・イベント
DIVOT STICK
現在、全15色

■■ボールマーク修復具&ティー『ディボット・スティック』■■2013年10月、ゴルフマナーの基本「ボールマーク修復」のための新しい修復ツールとして「ディボット・ス...

有馬カンツリー倶楽部
18と10

弊社が運営する「有馬カンツリー倶楽部」をご紹介させていただきます。◆立地と交通:好立地で至便性抜群➀中国自動車道・六甲北有料道路の神戸三田ICから3km(約...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
谷 光高(たに・みつたか)さん

まずはゴルフの楽しさを体感してほしい(1/3)

 兵庫県三田市の「有馬カンツリー倶楽部」は、1960年創設の歴史あるゴルフ場です。大阪や神戸からも近く、行き届いたコース管理や充実した練習場、丁寧な接客が評価されてきました。専属プロ及び倶楽部理事として、一時代を築き上げた大迫たつ子プロを迎...

谷光高プロに相談してみよう!

読売新聞 マイベストプロ

マナー向上に取り組みながら初心者がゴルフ好きになるよう活動

会社名 : 新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)
住所 : 兵庫県三田市中内神南山841 [地図]
TEL : 079-565-2111

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

079-565-2111

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

谷光高(たにみつたか)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

知っていると思っていたのに、実は間違っていることが多かった!

マナーやルールは自分が知っていることとは大きく違い、間違...

T.T
  • 30代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
覚えておいて損はないゴルフマナー ゴルフカート&練習場 編
イメージ

 週刊ゴルフダイジェストの特集記事から 週刊ゴルフダイジェスト2018年7/31号でゴルフカートでの事故について...

[ ゴルファーとしての心得とマナー ]

覚えておいて損はないゴルフマナー スルー・ザ・グリーン&ハザード編
イメージ

 前回、ティーインググラウンド編を掲載しました →覚えておいて損はないゴルフマナー ティーインググラウン...

[ ゴルファーとしての心得とマナー ]

覚えておいて損はないゴルフマナー ティーインググラウンド編
イメージ

 前回、パッティンググリーン編を掲載しました →覚えておいて損はないゴルフマナー パッティンググリーン編...

[ ゴルファーとしての心得とマナー ]

覚えておいて損はないゴルフマナー パッティンググリーン編
イメージ

 男子プロのゴルフマナー問題が大きく話題に 日本ゴルフツアー機構(JGTO)は2018年6月27日、定例理事会を...

[ ゴルファーとしての心得とマナー ]

ゴルフ場ではじめてプレーした感想(大学生アンケート結果から)
イメージ

 大学ゴルフ授業『Gちゃれ』 有馬カンツリー倶楽部では、【新しいゴルファーを作ろう計画】を実行しています。...

[ ゴルフを始める人を応援します ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ