コラム

2015-07-08

なぜゴルフには、シャツの裾を入れる「タック・イン」規定があるの?

「タック・イン」とは?

1894年のUSGA(全米ゴルフ協会)の設立以降、アメリカ全土にゴルフが広まるにつれ、それまでのゴルフウェアであったスーツから、ジャケットが脱ぎ捨てられ、ネクタイがはずされ、シャツの袖が切られ、軽装でのゴルフが流行るようになりました。そこで、危機感を感じたUSGAは、「せめてシャツの襟だけは残そう」という服装規定をつくりました。

次に、世界的にゴルフの服装規定の定番となっている
「Men must keep their shirts tucked in at all times.」
《男性はいつでもシャツの裾(すそ)を(ズボンの中に)たくし込まなければならない。》
タックインゴルファー
いわゆる「タック・イン」について考えたいと思います。

この「タック・イン」については、襟(えり)付きの規定のように「いつからこうなった」など明快な理由を見つけることができませんでした。ただ、世界中の多くのゴルフ場で「襟付きシャツ」と同じように「タック・イン」が服装規定に盛り込まれています。
ドレスコード
なぜ世界中で「タック・イン」が定められたのでしょうか?

シャツの裾をズボンなどの中に入れる着こなしである「タック・イン」に対して、シャツの裾をズボンなどの外に出す着こなし「タック・アウト」といいます。これらはファッション界の用語です。
ゴルフから一旦離れて、ここではシャツの歴史から少し考えてみたいと思います。

シャツの歴史から見る「タック・イン」との関係

シャツの起源は、古代ローマで着用されていたチュニックに遡るとされています。チュニックは、映画「テルマエ・ロマエ」で見られるような頭から被る、現代で言うワンピースのような形状の衣服でした。それがだんだんと変化していくことになります。
シャツの変遷
ヨーロッパ中世期には、ボタンや襟(えり)、袖口などが付加されるようになり、現代のシャツの形状に近づいてきました。
当時、シャツを着用できるのは上流階級に限られていたとされていて、シャツの前立ての男女差(男子用は右前、女子用は左前の別)も、この時期に由来すると考えられています。

現代のような形になったのは19世紀。ボタンの普及が大きく影響したといわれています。この時期に、シャツは上流階級だけでなく広く民衆が着用する衣服として定着していき、多様な襟の形状が現れました。折り襟が付けられたのもこのころです。

実は「シャツ」とは下着に分類されるものだったようです。
ワイシャツも含めて、1935年にブリーフが発明されるまで、ヨーロッパ男性にとってシャツは唯一の下着でした。
シャツの着用方法として、シャツの裾の前と後ろを、股の下でボタン留めしていたため、「シャツの裾はズボンの中に入れること」が当たり前とされていたのです。
そのために裾をズボンの外に出すことは、カジュアルの場であっても非常にみっともないことと長らく考えられてきました。
つまりシャツとは、元来「タック・イン」するものだったのです。
イギリスから世界中に広まったゴルフでも、「タック・イン」することは当然のことだったのでしょう。

そして20世紀に入ると、多様な用途にシャツが用いられ、それに応じて様々な種類のシャツが誕生しました。

現在でも正装時のドレスシャツやビジネスシャツなどでは「タック・イン」が当然となっています。
それでは、反対に現代のゴルフの定番シャツであるポロシャツなどのカジュアルシャツなどの場合は「タック・アウト」でもいいのでしょうか?

ゴルフ界での「タックイン」問題

ファッション界では、「ケースバイケース」、「ジャストサイズが基本」、「清潔感・きちんと感が大切」という様々なポロシャツの着こなし論があります。
ゴルフ界のみならずファッション界でも、着こなし論で“クラシック派”と“モダン派”の対立がしばしば見られ、ポロシャツの「タック・イン問題」もその中の1つとなっているようです。

現在のゴルフウェアの状況、そして世界中の各ゴルフ競技やゴルフ場のドレスコードから見てみると、「タックイン」問題については、それぞれで定められた規定の遵守が原則となりそうです。
歴史的背景から見て、「タック・イン」が原則ではあるけれども、全てが「タック・イン」で統一されるというわけにはいかないようです。

世界中の多くのゴルフ場のドレスコードは男性を前提としており、上記の歴史的背景から原則“クラシック派”の「タック・イン」規定が盛り込まれています。
しかし、現在「タック・アウトOK]のゴルフ場が増えてきました。また、男性と女性のドレスコードを区別して規定されているゴルフ場もあります。
男女タックイン・アウト
さらに、「タック・イン」を前提とする“クラシック派”の男性プロ競技のドレスコードに対して、「タック・アウトOK」、「ヘソ出しOK」、「TシャツOK(条件付き)」の“モダン派”の女性プロ競技のドレスコードというように、現状では男女明確に分かれ始めています。

ゴルフ関係者並びにゴルファーの皆様へお願いです

ゴルフ場でゴルファーの皆様に、なぜ「タック・イン」でないといけないのかを明快に答えることができる人は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
私も当然ながら全く知りませんでした。

「タック・イン」を規定されているゴルフ場の皆様におかれましては、このような「シャツ」の歴史的背景があるということを理解していただいた上で、規定が遵守されるように努めていただきたいと思います。
ドレスコード
若い世代を中心とする多くのアマチュアゴルファーの皆様は、流行などから自己判断で「タック・イン」「タック・アウト」を決められている方が多いのではないでしょうか。
個々に判断する前に、それぞれのゴルフ競技やゴルフ場のドレスコードを確認し、規定に沿った服装でプレーされるようにお願いします。その上でゴルフウェアのおしゃれを楽しみましょう。
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