コラム

2015-10-18

洗濯おけと洗濯物を保護するゴルフ規則

コース内に広げて干していた洗濯物

その昔、セント・アンドルーズの町の主婦や娘さんたちは、コースを横切る小川で洗濯し、洗った衣類などをコースのフェアウェイの芝生の上に広げ、洗濯おけや石でおさえて風に吹き飛ばされないようにして干したといいます。
セント・アンドルーズ OLDコース
なにしろ北海からの強い東風が、物干し竿に干した物を吹き飛ばしてしまうので、いつの間にかリンクスコースの芝生の上にさらすようになったのです。
洗濯干し
洗濯物が数多く干される晴天の日は、当然コースでは大勢のゴルファーで賑わっているわけで、飛んできたボールがしばしば干しているシーツや衣類の上に止まったり、下にもぐりこんだそうです。

洗濯おけや洗濯物に止まったボールに救済なし

困ったのはゴルファーたち。
1744年の最古のゴルフ規則が制定されてから10年、ほぼ同じ内容で1754年にセント・アンドルーズでも最初のゴルフ規則13カ条が定められました。
※最古のゴルフ規則のコラムはこちら
しかし、規則のどこを見ても洗濯物からの救済措置はありません。
そのまま打つ!
ボールをプレーするために、石や骨または高価なクラブに損傷を与えるものを取り除くことは第4条で認められてはいますが、取り除くことができるのは自然物であって、洗濯おけや洗濯物は該当しないものとされました。
また、当然ながら第5条のハザードや第13条の排水溝、水路、子供が作った遊び用のトンネルや穴、兵隊のざんごうなどにもあてはまりません。
こんにちのような意味での障害物の概念が成立していませんでした。

ですから、事実、18世紀後半から19世紀中頃にかけてセント・アンドルーズのゴルファーは「あるがままの原則」に従って、洗濯おけに接触したボールや、洗濯物の上に乗ったり、下にもぐりこんだ球は、そのままプレーしていたのです。
タオルの下のボールを打つ
そうなると洗濯おけは傷つけられるし、洗濯物は汚されたり、破られたりするので、当然のことながら主婦たちの怒りを買うようになりました。

洗濯おけや洗濯物から救済のために1回目のルール改正

そこで、1842年に、そのボールを動かすことなく、洗濯おけや衣類を取り除くことを許す規則が作られました。
しかし、この規則での問題は、「洗濯物の上にボールが乗っている」時です。
そのボールの位置を変えることなく、下のシーツや衣類を取り去ることは至難の業。ゴルファーは、この練習にかなりの時間を割いたそうです。
ボールを動かさないように引抜く
もしも、そのまま打って、シーツや衣類を汚したり破ってしまうと主婦たちからの怒号や罵声を浴びることは明白。
とにかく、この技術をマスターしないことには、ゴルフを楽しむことができないのだから、ゴルファーは真剣でした。

便宜的に規則を朝令暮改のごとく、変えていく今のゴルフとは違い、当時のゴルファーはくそ真面目にルールを守っていたのです。
それもなんと16年間もの間・・・。

そして2回目のルール改正

とうとう1858年になって、ボールを動かすことなく、下のシーツや衣類を引き出すことをあきらめて、ボールを拾い上げて洗濯物のすぐ近くの芝生の上へ無罰でドロップすることを認める規則が作られました。
衣類などの洗濯物を今でいう「動かせない障害物」としたわけです。
R&Aの規則では、その後何十年も忘れることなく、ご近所の主婦の皆様のため、洗濯物を保護するルールを取り入れ続けたということです。

改正1842年R&Aルール第4条

4. Lifting of Break-clubs, &c.
…When a ball lies on clothes or within a club-length of a washing tub, the clothes may be drawn from under the ball, and the tub may be removed.

改正1858年R&Aルール第4条

4. Lifting of Break-clubs, &c.
…When a ball lies within a club-length of a washing tub, the tub may be removed; and when on clothes, the ball may be lifted and dropped behind them.

◆参考文献
「ゴルフ、その神秘な起源」井上勝純著:三集出版
*******************************
Facebookにおいて具体的なマナーやルールの事例を写真付きで毎日更新中!
ぜひご覧ください。
「今からでも遅くないゴルフマナー&ルール」
*******************************
『なぜ、ゴルフ場でジーパンはNGなのか? ~もう迷わない。ゴルフ場での服装選び』
amazon 電子書籍本の販売ページはこちら(kindle版)
*******************************
ディボット・スティック専用サイトはこちら
アマゾン・ショップはこちら
*******************************
新有馬開発株式会社/有馬カンツリー倶楽部
〒669-1334 兵庫県三田市中内神南山841
TEL:079-565-2111 FAX:079-565-2121
URL:http://www.arimacc.jp/
*******************************

この記事を書いたプロ

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部) [ホームページ]

マナー講師 谷光高

兵庫県三田市中内神南山841 [地図]
TEL:079-565-2111

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

4

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
セミナー・イベント
DIVOT STICK
現在、全15色

■■ボールマーク修復具&ティー『ディボット・スティック』■■2013年10月、ゴルフマナーの基本「ボールマーク修復」のための新しい修復ツールとして「ディボット・ス...

有馬カンツリー倶楽部
18と10

弊社が運営する「有馬カンツリー倶楽部」をご紹介させていただきます。◆立地と交通:好立地で至便性抜群➀中国自動車道・六甲北有料道路の神戸三田ICから3km(約...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
谷 光高(たに・みつたか)さん

ゴルフマナーの向上へ、3本柱を掲げて活動(1/3)

 兵庫県三田市の「有馬カンツリー倶楽部」は、1960年に創設された歴史あるゴルフ場です。大阪や神戸からのアクセスも便利で、広い打ちっ放し練習場やていねいな接客も評価され、ゴルフ誌の「人気急上昇コースランキング」では近畿エリアで3位に選ばれる...

谷光高プロに相談してみよう!

読売新聞 マイベストプロ

ゴルフマナーの向上に3本の柱で取り組みます

会社名 : 新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)
住所 : 兵庫県三田市中内神南山841 [地図]
TEL : 079-565-2111

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

079-565-2111

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

谷光高(たにみつたか)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

知っていると思っていたのに、実は間違っていることが多かった!

マナーやルールは自分が知っていることとは大きく違い、間違...

T.T
  • 30代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
ボールマークをキレイに直せますか?
イメージ

 グリーンフォークが苦手でして・・・ ボールマークの修復に必要なツールとして長年に渡って君臨してきたグリ...

[ みんなのゴルフコースを大切にするマナー ]

スロープレーの罠にはまっていませんか?
イメージ

「こんなに急いでプレーしているのに、“遅い!”って言われた!」「走っても前の組に追いつかない・・・下手だか...

[ プレー時間を守るゴルフマナー ]

なぜゴルフには、シャツの裾を入れる「タック・イン」規定があるの?
イメージ

 「タック・イン」とは? 1894年のUSGA(全米ゴルフ協会)の設立以降、アメリカ全土にゴルフが広まるにつれ、...

[ ゴルフの服装マナー ]

女子プロゴルファーが試合中に人命救助!
イメージ

ロサンゼルスタイムズにも掲載された実話です。 月曜日の予選会に参加していたメアリープロ 1988年5月16日月...

[ ゴルフの歴史やエピソード ]

グリーン上に残るゴルフシューズの傷跡から見えるもの
イメージ

 今、あなたが最も改正して欲しいルールは? 20年ほど前、アメリカのゴルフ雑誌が約5000人の読者を対象に次の...

[ 社会人に役立てて欲しい「ゴルフの効用」 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ