コラム

 公開日: 2017-04-12 

労働保険年度更新

 最近のニュースを見ると大手企業で残業代未払いや、三六協定を超えた違法な時間外労働を労働基準監督署が摘発していることがよく取り上げられています。労働基準監督署は労働基準法、安全衛生法が会社で順守されるよう、会社に立ち入り違反を是正指導していく役所ですが、正直、ちょっと前まではそんなに認知度は高くなかったと思います。ですが、ここ最近の報道で一挙に知名度があがっていっているのではないかと思います。


 
 一方で労働災害が発生した際の労災保険の給付を行っているのも実は労働基準監督署です。本来、会社は従業員さんが仕事に従事している際に生じた災害についてその補償の責を負うこととなっています。労災保険は会社に強制的に保険加入を義務付け、労災が発生し、本来、会社が従業員さんに補償すべき場面において、会社規模の大小等に左右されることなく、一律に従業員さんが得るべき補償を実現しています。



 この労災保険の保険料ですが自動車保険などの一般の保険とは保険料を納める手続きが少し違います。労災保険料は年度更新と呼ばれる手続きで、雇用保険料と一緒に保険料算出し、支払います。例えば4月1日にお店を開き従業員さんを1人雇ったとします。その場合4月1日から来年の3月31日までにその従業員さんに支払う給与総額をまず計算します。次にその算出した金額に保険料率を掛けることにより概算保険料を算出して、先に支払うこととなります。でも、この1年でお店は予想以上に繁盛するかもしれません。そうなると人手がが足りなくなり従業員さんを増やさなければならなくなることもあるかもしれません。そういった時にはその都度、修正申告をし追加納付をしなければならないのでしょうか。例えばお店が雑誌に紹介され爆発的にお客さんが増え従業員さんを追加で7月から雇入れた場合、7月から翌年3月までに支払うであろう給与を算出し7月に修正申告をし追加で払い込む必要があるのでしょうか。もし、そうだとした場合、例えば7月のあまりの忙しさに音をあげて新人の従業員さんが10月で辞めてしまい、それ以降新たに雇い入れなかった時には更に修正が必要ということになるのでしょうか。実際の手続きでは増減が極端に大きくなければそのようなことはせず、4月から翌年3月までの実際に支払った賃金の合計により確定保険料を算出します。そして昨年に前払いした概算保険料と比較をし、その差額についてプラスであれば次年度の概算保険料から差し引き(還付を選ぶこともできます)、マイナスであれば次年度の概算保険料に加算して支払うことになります。これを毎年くりかえしていくことになります。




 
 この年度更新の時期、よく経営者の方が「これだけの保険料を払っているのに、払っている方は労災保険に守られないのは不公平だ」と嘆かれることがあります。そうなんです。労災保険は前述のように従業員さんの労災に対する会社の補償義務をいわば肩代わりしている保険なので原則経営者の方は補償されないのです。しかし、何事においても特例というものがつきものです。労災保険においても、特別加入という制度があり、この制度を利用すると経営者の方であっても労災保険に加入できることになります。ただし、この特別加入は労災保険の制度であるにもかかわらず、経営者の方が加入したいと思っても労働基準監督署では加入の手続きができません。加入の手続きには労働保険事務組合という特別加入を扱う組織で行う仕組みになっています。少し宣伝させて頂ければ、当事務所も大阪SRという労働事務組合の会員となっていますのでこの特別加入のお手続きを進めていけるようになっています。特別加入が気になる経営者の方がいらっしゃいましたら是非お問い合わせください。



 年度更新の時期は毎年6月から7月10日までとなっています。社会保険の算定基礎届と時期が被るため、早めに賃金集計などの準備をすませておきましょう。以上、労働保険年度更新のお話でした。

この記事を書いたプロ

原田労務事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 原田篤浩

大阪府富田林市向陽台4-1-7-105 駐車場有り [地図]
TEL:050-1082-0638

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