コラム

 公開日: 2017-05-11  最終更新日: 2017-06-19

算定基礎届と年金事務所の調査

 

算定基礎届

毎年6月になると日本年金機構から算定基礎届の封筒が届きます。健康保険、厚生年金の保険料は従業員さんの3か月間(4~6月)の給与額により保険料の見直しがされます。これを定時決定といい送付された算定基礎届の用紙により行います。見直された保険料はその年の9月から翌年8月まで適用されます。通常は、会社のほうで自社の賃金台帳を基に作成し郵送もしくは持参して提出という流れとなります。
 

調査

ところが、この算定基礎の届けが賃金台帳、出勤簿、所得税徴収高計算書などの書類を持参のうえ日本年金機構の調査の対象となることがあります。この場合は、郵送ではなく、直接、管轄の年金事務所へ出向いていかなければならなくなります。ここでの調査では、当年の申告のみではなく、過去の申告についても適正であったかどうかを賃金台帳や出勤簿で確認されることとなります。

 

給与の申告についての調査

調査での確認事項は大きく2つあると思われます。一つは保険料の基となる給与の申告に誤りがないかという点で、もう一つは被保険者の適用に誤りはないかという点です。まずは給与の申告についてですが、よくあるケースとして以下の3つが考えられます。

①手当などで含めなければならないもの含めていない
②随時改定を失念している
③賞与支払届を失念している

 ①でよくあるのが通勤手当を含めていないというケースです。これは税金での非課税通勤費と混同してしまっていることが原因かと思われますが、社会保険においては必ず含めなければなりません。また、税などを控除した手取額をを申告しているケースも誤った取扱いとなるので注意が必要です。

 ②については従業員さんの給与が昇(降)給等で大幅に変わったときに毎年1回行う定時決定を待たずに保険料見直しの必要なケースがありこれを随時改定といいます。随時改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。

(ア)昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
(イ)変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(ウ)3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

 随時改定でよく漏れがあるケースとして、従業員さんが引越しをして通勤手当が変わった場合があります。通勤手当は上記(ア)にある固定的賃金に当たりますからこのような時は他の要件に該当していないか注意が必要です。

 ③については賞与に対しても社会保険料はかかり、支払った都度、賞与支払届をだす必要がありますが、それを失念しており、賃金台帳の賞与支払の記述により発覚するといったパターンです。

適用の誤りについての調査

以上、給与の申告の誤りについて述べてきましたが、前述しましたようにもう一点の大きな確認事項が被保険者の適用の誤りについてです。これについては以下の2のケースがよくあるものとなります。

A)資格取得対象の短時間労働者に資格取得をさせていない
B)資格取得日が適切になっいない

Aについてですが、日本年金機構では短時間労働者の社会保険適用の扱いについて「1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数が常用雇用者の4分の3以上」は被保険者の資格取得をしなけれはればならないとしています。また、被保険者数が501.人以上の企業については「①週の所定労働時間が20時間以上②雇用期間が1年以上見込まれること③賃金の月額が8.8万円以上であること④学生でないこと」の要件に該当する短時間労働者も被保険者の資格取得をしなければならないとしています。「パートさんに社会保険は関係ない」とか「夫の扶養なので社会保険は関係ない」といった認識で短時間の従業員さんを一律に社会保険の適用外としているケースがありますが、調査時にはこの点について賃金台帳、出勤簿などにより労働時間や賃金等を確認し、本来、資格取得をしなければならないパートさんの適用が漏れていないかをチェックします。漏れがあった場合には資格取得をするようにとの指導がされてくという流れとなります。

 Bについては社会保険では前述の短時間労働者で適用とならないケースを除いて常時使用される場合には被保険者としなければならず、入社時から被保険者とする必要があります。一方で2か月以内の期間で終了する労働契約の場合は被保険者とはならず、何らかの事由で当初の契約を延長した場合に、その延長時点から被保険者としなければなりません。この規定を勘違いしてか、試用期間は被保険者としなくて良いと誤解して試用期間終了後に被保険者としているようなケースが見受けられますがこの扱いは適当ではありません。特に、試用期間3カ月や4カ月のケースで試用期間終了後に被保険者の資格取得をしているようなケースですと賃金台帳の確認だけで不適切な扱いであることが発覚します。この点についても不適切な手続きとならないよう、正しい認識が必要かと思います。

 以上、年金事務所の調査における主な指摘事項を述べましたが、特に保険料にかかるもので過小な申告が発覚しますと最大2年まで遡っての徴収ということもあり、社員数によっては莫大な金額となることもあります。年金事務所では4年に1回は調査を行うとのことですので、適正な扱いになっているか社内でのチェックを徹底することが寛容かと思います。

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