コラム

 公開日: 2017-06-19 

社長も入れる?!労災保険の特別加入とは

労災保険は労働者の保険!

 労災保険での保険給付は仕事中、もしくは、通勤途上での負傷・疾病・障害・死亡等に対するものとされている。経営者は労働者を1人でも雇い入れれば労災保険の手続きをしなければならず、一部の事業を除き強制適用となっている。一方でこの労災保険の対象となっているのは労働者となっている。つまり、初めて従業員さんを1人雇い入れたとしてその日に労働基準監督署へ手続きにいくと、雇入れ日からその従業員さんは労災保険の給付対象となるが、社長、役員等については労働者ではないので労災保険の対象とはならないのだ。

中小事業主に潜む危険

 しかし、大企業はいざ知らず、中小零細企業での経営者は、決裁印を押したり、会議をやったりといったことに終始しているのではなく、他の一般従業員さんと同様に作業を行っていることも少なくない。当然、現場作業を行っている限り、作業中に何らかの怪我を負うリスクが生じるはずだ。では、仮にこのようなプレイングマネージャーとして働く経営者が、その作業を原因として怪我をした場合の治療費はどうなるのだろうか。
 
 この場合、前述のとおり、通常、労災保険は経営者を給付の対象とはしていないので、治療にあたって労災保険は使えない。では、健康保険はどうだろうか。健康保険は「業務外に起因する傷病」に対して療養の給付をする制度なので、結論として、たとえ労災保険に加入できなくても健康保険を使うことはできないということになる。ただし平成15年7月から特例として、①傷病が発生した当時に被保険者が5人未満の社会保険適用事業所の代表者等で、②一般の従業員と著しく異ならない労務に従事しているような場合には、業務に起因して生じた傷病についても健康保険の給付対象とされることとなった。だが、この特例基準を満たさない会社の経営者は作業中の怪我の治療に対して、全額自己負担しなければならず、この部分のリスクについて何か手立てが必要となってくる。

特別加入制度

 この点、実は労災保険には任意的な特別加入制度が設けられており、企業規模が中小事業と認められれば経営者等でも加入することができるのだ。この手続きを予めとっておくことによって、いざというときの治療費については自己負担無しとなり、休業補償についても一定の要件に該当すれば支給される可能性がある。一方で、前述した健康保険の特例適用では休業時の所得保障は受けられないので、その点についても労災特別加入にメリットがあるといえる。
さて、中小事業主等の労災保険特別加入の手続きだが、実はこれは労働基準監督署では行えず、労働保険事務組合という厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体において、その手続きを行うこととなる。当事務所は大阪SR経営労務センターという労働保険事務組合の会員となっているので、特別加入を御希望の方にも対応できる体制となっている。御要望があれば、随時対応しているので、お問い合わせ願いたい。

 労災保険の保険料については雇用保険や社会保険のように従業員さんからの負担は無く、会社が100%持たなければならない。これは仕事中に生じた負傷・疾病・障害・死亡等の補償は使用者が行うべきと労働基準法で定められており、この補償責任を填補する制度として労災保険制度が構築されているからだ。しかし、事業主にとっては保険料を全額負担しながらも、自己のための保険料負担及び給付を受けることができないのだから、正直、おもしろくないのも事実だろう。労災保険の特別加入制度は実際のリスクヘッジとともに事業主にとってのそのような不満をを解消してくれる制度ともいえよう。

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