コラム

 公開日: 2017-06-22 

解雇の予告

解雇とその制限

 解雇とは使用者からの労働契約の解約だ。有期契約の場合は期間到来で契約が終了するまでについて「やむを得ない事由」がある場合でなければ解雇することができないこととなっている。一方、無期契約の場合はというと「合理的な理由の有無」「社会通念上相当か否か」といった点で有効性が判断される。解雇についてはこのような制約以外にも色々と規制が存在するが、そのなかでも現場で特に問題となりやすい事案が解雇予告ではないだろうか。

解雇予告の場面

 解雇予告は労働基準法第20条により解雇時に少なくとも30日前の予告をするか、30日分以上の平均賃金(以後、解雇予告手当という)を支払うこととなっている。この時、問題となるのが「もう今日でクビだ」と経営者が即日解雇を行いながら、解雇予告手当を支払わないというケースだ。従業員数の少ない小規模事業所では一般的に社長と従業員の距離が近いケースが多いと思う。このような場合はお互いの関係性が良好な間は、それが生産性にもプラスに働くのだが、一旦その関係がおかしくなっていくと近い距離が直接的な憎悪になり易く、深刻な問題となることがある。経営者からすれば「会社にいてもらっては困る人」には一刻も早く会社を去ってもらいたいし、お金もこれ以上ビタイチモン払いたくないという気持ちが確かにはたらくだろう。一方で、従業員側の立場からすると突然、生活の困窮という局面に立たされるわけなので、そこについては法令に沿った義務の履行を強く求めていくということとなるだろう。

罰則と適用の例外

 ここで、従業員から抗議を受けた経営者が頑としてそれに応じなかった場合はどうなるのだろうか。労働基準法には罰則が設けられており、違反に対してその罰則が適用されることとなる。この解雇予告違反に対する罰則は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となっている。つまり、法的には当然ながら絶対的な遵法が求められている。しかし、時として解雇に至るまでの理由にはどうしても許せないような場合も確かにある。例えば、事業場内での盗取、横領、傷害などの行為があったようなケースはどうだろうか。経営者はこのような一般的には看過できないようなケースまでも、即時解雇においては解雇予告手当を支払わう義務を常に甘受しなければならないのだろうか。実は労働基準法第20条には但し書きがあり、そのなかには「労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においてはこの限りではない」とある。これは従業員の態様が非常に悪質であるような場合で、さすがに解雇予告などの制度で生活を配慮するに値しないと認められるようなケースが該当することとなる。ただ、ここで注意しなければならないのは、一般的に就業規則において懲戒解雇は即時解雇と規定されていることが多いが、懲戒解雇事由に該当する行為に対して、経営者の判断のみで予告手当なく、即時解雇をしてしまうことを労働基準法は許していない。労働基準法上では手続きの流れとして、原則、労働基準監督署で認定を事前に得る必要がある。事前に認定無く予告手当無しの即時解雇を行った場合は法違反ということとなる。一方で解雇の効果としては使用者が即時解雇に固執しない限りにおいては30日の期間が経過すると解雇は有効となるとの考え方が行政の立場となっている。

入口処理の重要性

 解雇予告、解雇予告手当に関して生じる問題は解雇という緊張場面のまさに入口で生じるトラブルだ。ここをこじらせると、感情的な緊張は更にエスカレートし、不当解雇の問題に飛び火することもあり得る。紛争の種火が業火とならないよう細心の注意を払い丁寧に進めていくことが肝要ではなかろうか。

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