コラム

 公開日: 2017-08-08 

最低賃金

最低賃金改定の時期

毎年、9月下旬から10月くらいに最低賃金の改定がある。中小零細企業では、この最低賃金ぎりぎりでの給与設定をしているとこを結構見かけることがあり、最低賃金法違反とならないよう、特に変更の時期に注意をはらう必要がある。最低賃金は、細分化すると地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類あるのだが、ここでは地域別最低賃金(以後、最賃という)に絞って述べていくことにする。

時給の最低賃金

最賃は原則時間あたりの賃金(特定最賃には日額がある)で決定されるので、時給での支払いについては最賃以上であるかの判断は一目瞭然となる。つまり、時給900円だったとして、最賃が890円であれば、単純にその額を見比べるのみで基準を満たしていることが確認できるのである。

日給の最低賃金

では、日給の場合はどうであろうか。日給は、当該労働日の労務に対しての対価という契約であるので、その労働日の所定労働時間で除することによって時間あたりの対価が割り出されることとなり、当該額と最賃を比較することになる。このときよくあるのが業務開始から終了まで実働9時間(休憩を除いて)で常態的に就労させているという会社のケースだが、変形労働時間等の特殊な労働時間制を採用していなことを前提とした場合、所定労働時間は8時間となる。なぜなら労働基準法において1日の労働は8時間を超えてはならないとあり、例外的に労使協定を届け出ることによりそれ以降の労働が可能となることとなっているので、このようなケースでは8時間の所定労働時間に1時間の残業があったと捉えるべきだからだ。少し本筋から外れるが、この時、協定をだしていなければ、労働基準法に違反していることから、違法な残業ということとなる。また、8時間を超える労働に対しては2割5分以上の賃割増賃金の支払いが必要であるということが労働基準法に定められているので、それがなされていなければ、その点についても違法ということになる。

月給の最低賃金

次に月給のケースだが、基本的には日給の計算の場合と考え方は同様となり、金額を所定労働時間で除することによって時間当たりの金額を算出し、最賃の比較を行うこととなる。ただ、ここで日給のときと大きく異なるのは、1か月は暦日自体が各月により不均等なことから、当然労働日数も不均等となり、月所定労働時間は各月によりバラバラになるということにある。よって各月の所定労働時間は一般的に1か月平均所定労働時間を算出することになる。計算方法は1年間の労働日に1日の所定労働時間を乗じそれを12か月で除することによる。こうして算出された1か月平均所定労働時間で賃金を除することによって1時間あたりの賃金が計算され、最賃との比較ができることとなる。
ところで、実は最賃の対象となる賃金には除外すべき賃金があり、以下に列挙したものがそれにあたる。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
これらの賃金については賃金から控除したうえでの計算を行う必要がある。精皆勤手当については注意が必要で、最賃計算では除外されるが、残業代計算のときは算定基礎に含まれることとなる。
そのほか最賃には減額の特例という制度がある。一定の場合に該当する場合には許可申請し許可が得られれば最賃を下回る金額での賃金の支払いも可能となるケースがある。一定のケースとは、心身に障害がありその障害により労働能力の発揮に支障がある労働者、非常に緊張の少ない監視や軽易な作業にあたる労働者、実作業と手待ち時間が交互に繰り返される作業に従事する労働者、といったケースが該当してくることになる。ただ、いずれの場合も細かな基準があり、一瞥して外形的にこのようなケースにあたるからといって必ず許可が得られるものではない。

最低賃金に対する調査

以上、最賃について大雑把に述べてきたが、最初にのべてきたように9月下旬から10月くらいが改定となる。監督機関である労働基準監督署も改定後、企業が適切に対処しているかという点に関心を持つと思う。労働基準監督官がふいに訪れる臨検という調査があるが、くれぐれも、そこで最賃違反を指摘されないように会社経営者は改定情報をしっかりチェックし、臨検に堂々と対応できるようにしていきたいものだ。

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