コラム

 公開日: 2012-02-28  最終更新日: 2014-05-23

AIJ投資顧問と厚生年金基金



今回は、私のところにきた質問ではなく、時事的な話題から、私見を述べてみたいと思います。


AIJ投資顧問という会社が、企業年金から資産運用を任された約2100億円の大半を消失させた問題が、大きく取り上げられています。

今後この問題はどうなるのでしょう?

同じ業界・地域で集まった「○○県トラック厚生年金基金」や「○○県建設業厚生年金基金」などという「厚生年金基金」が運用を任せていたらしいです。


「厚生年金基金」というのは、老齢年金の給付の点において、一般の厚生年金のの上乗せ給付をしようとするものです。
簡単にいうと、一般の人たちより、少ない拠出で多くの給付を受けられるという制度設計で、加入を募っています。


これら基金の運用実績が悪く、当初約束していた給付を継続するため、特別掛金などと称して、通常の掛金の4倍もの掛金を、毎年払わされる企業もあるそうです。

一般の厚生年金であれば、そのようなことはないので、基金を脱退しようとする企業が出るのは当然です。
脱退すれば、高額な掛金から逃れられますから・・・。

ところが、ここに大きな問題が生じています。

つまり、簡単に脱退出来ないのです。


脱退するためには、その会社が加入している基金の不足分を、一括して支払う(一括拠出金と言います)ことが義務づけられています。それに加え、基金の代議委員会の承認も必要なのです。

ある基金では、脱退するためには一人当たり200万円の一括拠出金が必要だとされています。

長野県では、ある企業が脱退するために、この拠出金を払ったが、代議委員会で、脱退を否決され、脱退出来ないという事態になっています。

厚生労働省は、脱退を認める権限があるのは、代議委員会だけであり、厚生労働省や裁判所ではないという理由で、代議委員会の議決を有効(つまり脱退出来ない)としています。

その結果、経営状態が悪い企業といえども、先ほどのような、高額な掛金を払い続けなければならないという、とんでもないことになっているのです。

基金の運用ミスは、加入している会社・社員にそのツケを回しているのです。


昨年の今ごろ、厚生年金基金の4割に当たる242基金が積立金不足であると報道されていました。その不足額は、7700億円だそうです。
今回、これに加えて2100億円です。たった一社の投資顧問会社だけで・・・。

厚生労働省は、今回こそ法律の改正も視野に入れて、きちんと解決しなければ、数百万人単位で影響が出ることになりそうです。

基金の解散と企業の脱退を簡素化しなければ、本業以外の債務で、多くの中小企業が倒産することになります。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

このコラムは、当事務所にお問い合わせのあった案件について、多少のアレンジをして「つれづれなるままに」ご紹介するものです。皆様方の参考になればと思っています。

充分注意はしておりますが、思わぬ勘違い、書き間違い、記憶違いなどがあるかも知れません。お気づきになりましたらご一報頂ければ幸いです。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
年金事務所・監督署などの調査対策のプロ
社会保険労務士 廣 岡 保 彦(ヒロオカ ヤスヒコ)
大阪市中央区淡路町2-1-10
ユニ船場605号
電 話: 06-6231-2245(平日10時~18時)
ホームページ:http://www.hirooka-consul.com/
メ ー ル: yasu@hirooka-consul.com
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


この記事を書いたプロ

廣岡社会保険労務士事務所 [[[ホームページ http://www.hirooka-consul.com/(現在一部工事中です)]]]

社会保険労務士 廣岡保彦

大阪府大阪市中央区淡路町2-1-10 ユニ船場605号 [地図]
TEL:06-6231-2245

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
サービス・商品

報酬額は、ご依頼主が納得して頂かなくてはならないと考えております。従いまして、一方的に「いくらです」というのではなく、「これくらいになりますが、いかがです...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
廣岡 保彦(ひろおか やすひこ)さん

困っている中小企業の社長さんの<防波堤>になります(1/3)

 法律事務所に14年在籍した廣岡保彦さんが、社会保険労務士として40歳で独立し、今年で17年目になります。労働基準監督署(以下労基署)や労働局、年金事務所などの調査対策に「特化」した取り組みで、<プロ中のプロ>との評価を受けています。顧問会...

廣岡保彦プロに相談してみよう!

読売新聞 マイベストプロ

事務所名 : 廣岡社会保険労務士事務所
住所 : 大阪府大阪市中央区淡路町2-1-10 ユニ船場605号 [地図]
TEL : 06-6231-2245

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

06-6231-2245

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

廣岡保彦(ひろおかやすひこ)

廣岡社会保険労務士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

労働局の調査

廣岡先生には以前に助成金の件でお世話になりました。 今回...

堺市 F社
  • 60代以上/男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
10年で年金

やっと、10年で年金が貰えるようになりました。来年の9月の時点で、10年以上保険料を払った人にも老齢年金が支給...

[ 厚生年金・国民年金 ]

社会保険の強制加入

2月23日の讀賣新聞によりますと:『厚生年金への加入をしていない中小企業のうち、加入を違法に逃れている疑い...

[ 社会保険 ]

国民健康保険は意外に高い。

建設業の方々にちょっと考えて頂きたいのです。建設業の監督機関である国土交通省は、来年の3月末までに、すべ...

[ 社会保険 ]

社会保険未加入事業所について
イメージ

もうずいぶん以前になりますが、日経新聞によりますと…政府は厚生年金に入っていない中小零細企業など約80...

[ 年金事務所の調査 ]

年金事務所からの問い合わせには、どうすればよいか?
イメージ

最近、税理士さんから、次のようなお問い合わせが多くなってきました。それは、社会保険に未加入の事業所...

[ 年金事務所の調査 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ