コラム

 公開日: 2012-08-28  最終更新日: 2014-05-23

厚生年金基金、脱退の条件:判決が出ました



先週の金・土と長野県の蓼科高原に行って来ました。

これについては、後日ブログに書く予定です。 http://ameblo.jp/hirooka-consul/


長野県のテレビは、地元の局が中心になって番組を作っているようで、地元のニュースが満載でした。

土曜の朝、散歩から帰って何気なくテレビを見ると、なんと・・・・。

表題の厚生年金基金からの脱退を巡って、裁判を起こし、その結果、脱退が認められたというニュースでした。

帰ってきて近畿圏の新聞を見ましたが、載っていなかったようです。

こういう裁判でした。

今加入している厚生年金基金から脱退しようとした長野県の建設会社が原告となり、基金を被告として、これまで「脱退には『積立金の不足を補う補填金』を払い、かつ『代議員会での議決』を必要とする」となっていたのを、「補填金さえ払えば脱退できるはずだ」と主張し、その趣旨の勝訴判決を得たということです。


この結果については、いろいろな意見が分かれるところではないでしょうか。


新聞の論調は、おしなべて「脱退の自由が認められた」的に取れます。その結果、今後多くの企業が基金を脱退するだろう的に取れます。

この基金では、そうなるでしょう。しかし他の基金では、そうならないことは明らかです。

判決は、「脱退の申し出に『やむを得ない理由』がある場合は」と限定しています。
しかも本件の場合の、『やむを得ない理由』は、基金の使途不明金が24億円もあり、その一部を事務長が横領したらしく、指名手配されているという究極の状態ですから、これで信用しろという方が無理があるというものです。

この会社は、こんな状態の基金は信用できないから、今後お金を預けられない、だから脱退するというのです。

当然でしょう。

これは、「脱退の自由が認められた」ということにはならないです。逆に解釈すれば、横領事件に類似するほどの信用失墜行為が基金になければ、原則どおりやはり「代議員会での議決」を必要とするのです。


被告である基金の言い分は、「公的性格の強い基金で任意脱退が相次ぎ、運営が破綻(はたん)することは許されない」ということですが、これもまた正論だと思います。

判決が確定すれば、この基金は破綻するでしょう。

脱退が相次ぐことは明らかです。
それは、この基金の加入企業は、いずれの会社も今回の原告と同じ『やむを得ない理由』があるからです。

一般に、民事裁判の結果は、第三者に影響を及ぼさないものです。
いわゆる「対世効がない」と言いますが、それは原告と被告の間のトラブルが、どれもまったく同じであるはずがないからです。

しかし、この裁判で明らかにされたように、この基金において『やむを得ない理由』があるのは、今回の原告の会社だけでなく、他のすべての加入企業に共通してあるのです。しかもその1点のみで、議決を要しない脱退を認めています。

つまりこの判決は、この基金内においては「対世効を持った」ことになり、他の企業が同様に補填金を積めば、この基金は脱退を認めざるを得ないのです。


基金は加入している企業数が少なくなればなるほど危機的状態に陥ってしまうのです。

基金が破綻すると、どうなるのでしょう?

今までもらっていた年金がもらえなくなるということは、簡単に想像できます。

原告企業のOBも、年金をもらえなくなるかも知れません。

これでよかったのでしょうか?

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