コラム

2015-03-30

こんなときはどうすればいいのでしょう?--育児休業

少子化対策が叫ばれて久しいですが、国はそのための対策をいろいろ立てています。

その対策として、育児休業法という法律が、もうずいぶん前になりますが、作られました。

この法律によると、従業員は会社に対して、育児休業取得の申し出ができ、原則的には子が1歳になるまで、休業することができる、というような内容です。

ウィキペディアによれば、「この休業は法律により定められている労働者の権利であるため、事業所に規定がない場合でも、申し出により休業することは可能であり、問題がある場合には事業所に対して労働局雇用均等室からの助言・指導・勧告がなされる。」

権利、つまり強制力があるということです。


さて、これで出産を控えた労働者は守られるかというと、そうではありません。


たとえば、女性の社員さんが妊娠したときには、退職してもらう、または長期間休業するのであれば、役職などを解き降格させるなどの措置を取る企業が現れるかも知れません。

そうなったら、妊娠した女性は、働けなくなります。

そこで、これらを防ぐために、その第10条で「事業主は、育児休業の申出や取得を理由に、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。」としています。

また、「雇用機会均等法」という法律があり、その9条によれば「事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。」とか「妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。」などと規定されています。



これらの大前提があることを踏まえて、次のような状況については、どのように解決すればいいのでしょうか?


私たちのような士業の事務所では、事務員さんが必要です。でもそれほど多くはありません。

ボス(所長・事業主)が一人なら、事務員さんも一人という形態も多いです。



ある士業の事務所で、事務員さんを2人雇用していました。二人とも女性で既婚者です。結婚して間がないので、どちらも子どもはいません。

あるときこのうちの一人、かりにAさんとします。Aさんが妊娠し、産前産後休業と育児休業を請求しました。合計1年と少しです。

ボスとしては、Aさんの休業中、臨時の職員を雇用しなくてはなりません。
この人を、かりにCさんとします。

Aさんの休業中は、BさんとCさんで、何とか1年を乗り切りました。

Aさんは無事出産し、育児休業も終わり、ある年の4月1日から出勤することになりました。

Cさんは優秀な方で、ボスとしては今後もいて欲しいくらいだったそうですが、経営的に3人を雇用するのは厳しいので、予定どおり3月末に退職して頂きました。



これで元の体制に戻ったわけです。

ところが、5月の連休明けになって、Aさんが、退職したいと言ってきました。やっぱり育児と仕事は両立できないとの理由でした。

仕方がありません。


ボスは、あわててCさんに連絡を取りましたが、すでに他の企業に勤めていました。

新たに求人をしなければなりません。

そんなとき、Bさんも5月末で、退職したいと言ってきました。

事務員さんはゼロになりました。


後日、Bさんと話す機会がありました。

彼女は、Aさんよりも年齢が上でした。自分も子どもが欲しかったけど、Aさんの妊娠が分かったので、2人も休業出来ないと思い、我慢していたそうです。

「自分も子どもが欲しいです。でも、この事務所で働きながら、育児休業を下さいとは言えません。もう退職して子どもを産んだ方がよいと考えました」とのことです。


一方でボスは、一人の妊娠によって、優秀なCさんを含め、3人の事務員を失いました。

ボスは今後は、妊娠しそうな人は雇用したくないと考えています。


法を守った結果です。だれも悪くありません。

法は、このような零細企業の実態を考慮していません。柔軟性に乏しい条文の羅列です。

ボス一人・事務員一人の事務所で、事務員が妊娠・出産ということになったときでも、休業をさせるために「期間を定めた」非正規の事務員を雇って対処しろということでしょうか。


あくまでも私的な意見です。

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充分注意はしていますが、思わぬ勘違い、書き間違い、記憶違いなどがあるかも知れません。お気づきになりましたらご一報頂ければ幸いです。

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