コラム

 公開日: 2013-05-23  最終更新日: 2015-04-05

人事制度の新しい考え方

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。


前回は、従来の人事制度の根本に流れる「アメとムチ」の考え方を
変える必要があるとお伝えしました。


やっかいなのは、「アメとムチ」の考え方は一見 理に適っていて
期待通りの効果があるように思えてしまうことです。

直感的には、人間が「アメ」を欲しがり、また「ムチ」を嫌がり、
望ましい行動を取る意思決定を行なうように感じられます。

したがって、これまでの人事コンサルタントや人事担当者は、
給与制度による「アメとムチ」の合理性を担保するために、

等級制度や評価制度にさまざまな工夫を凝らし、その結果として
人事制度を複雑化させていきました。


しかし、人事コンサルタントや人事担当者が信じて疑わなかった
人事制度の根本原理そのものが間違っていたとしたら・・・。

人事コンサルタントや人事担当者が工夫すればするほど
逆に人事制度は期待された効果(社員のモチベーション向上)を
果たさなくなっていきます。


そして私は、人事制度の根本原理「アメとムチ」には限界がある
と考えています。


その限界とは、

人間は「アメとムチ」ではモチベーションが上がらないという
シンプルな事実です。

学術的なことはエドワード・デシやミハイ・チクセントミハイ
などの学者の論に譲りますが、

「アメとムチ」による管理は人間のモチベーションを下げ、
(創造性を必要とする活動の)パフォーマンスを低下させます。


よく考えてみてください。

鼻先にニンジンをぶら下げられた馬のように、
褒美をチラつかされてモチベーションが上がるでしょうか?

失敗すると罰せられる仕事に、充実感を感じるでしょうか?


このことは、体験を通しても実感できると思います。


近年は成果主義人事制度の失敗を踏まえて、

「人材育成のための人事制度」や
「働きがいをつくるための人事制度」などのように、

人事制度に新たな意味を持たせる取り組みも見られます。


しかし、いくら「人材育成のため」「働きがいのため」と
謳ったとしても、人事制度の構造そのものは変わっておらず、
根本原理を踏襲したものになっています。

等級制度で格付けし、評価制度で点数をつけ、
給与制度で値段をつける、という基本構造がそのままでは、
いくらお題目を変えたとしてもまったく意味はありません。


もう一つ、人事制度は致命的な欠陥を抱えています。

それは「人が人を評価することの限界」に由来します。


給与制度の合理性・妥当性を担保するためには、
社員を“正しく”格付けし、“正しく”点数を付けることが
必要となりますが、

これを担う等級制度と評価制度をどこまで精緻に設計しても、
人を“正しく”格付けし、“正しく”点数を付けることなどは
不可能です。


不可能なことを無理やりに実現しようとすると、
人事制度は運用が困難なほどに複雑怪奇になっていきます。

しかし、どれだけ制度を複雑にしたとしても、
「正しい格付け」や「正しい点数化」までには至りません。


それとは逆に、

運用を重視してシンプルな等級制度・評価制度にしたとしても、
基本構造がそのままでは社員のごく一部分の活動だけを評価する
非常に偏った人事制度になり、合理性・妥当性を欠きます。


つまり、根本原理を変えない限り、何をやってもダメなのです。


ここまでお読みになると、

「どのような人事制度にするべきなのか?」という疑問を
持たれると思います。


これから提案する人事制度を理解しようとすると、
まず、今まで信じられてきた「アメとムチ」の根本原理による
固定観念を捨てる必要があります。

そして、

「アメとムチではモチベーションは向上しない」
「人が人を評価することには限界がある」

という設計コンセプトによって、人事制度を構築することが
求められます。


つまり、今までとは全く逆の発想で人事制度を構築する必要が
あるのです。

次回は、逆発想の人事制度の3つの主要ポントをお伝えします。


        生きがいラボ株式会社 代表取締役 福留 幸輔

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