コラム

 公開日: 2017-04-06  最終更新日: 2017-06-13

「実践M&A講座」最終プレゼンテーションの様子

 前回は、同志社大学大学院で私が担当する「実践M&A」講座での、ゲスト講師のお話についての受講者による小レポートを紹介し、そこからの気付きを紹介させていただきました。本講座の受講者は、受講登録前に確認できる授業計画と評価基準「シラバス」の定めのとおり、講座を通じた学びを踏まえた最終レポートを提出してもらい、小レポートと併せて評価されます。

 最終レポートのテーマは、「任意の企業を選択し、その企業のM&A担当者として「何をするか」「どのように行うか」を発表してください」もしくは、「M&Aアドバイザーとして、任意の企業へアプローチし、収益化するシミュレーションを作成してください」というものです。希望者には、レポートの最終提出に先がけて、全受講者の前でプレゼンテーションしてもらうこととしていたのですが、四人程度を想定していたにもかかわらず全受講者が希望し、文字通り十人十色の白熱したプレゼンテーション大会となりました。

 四人の方が、ご自分の勤めている会社を舞台にされました。うち三人の方は、お勤めの会社がターゲット企業の株式を譲り受けることをテーマにされていましたが、お一人だけ、オーナー経営者である甲さんは、甲さんご自身を相手に、M&Aアドバイザーとして譲渡の提案をする、というユニークなシミュレーションを行いました。その提案であれば検討できる、という形で自社を客観視されたわけです。成就した暁には、本講座でゲスト講師をしていただけるそうです(笑)。四人とも、ご自分の会社のことを非常に熟知されていることが伺われる、実現性に満ちた内容でした。

 残りの方は、任意の企業をテーマとされたわけですが、なんという偶然か、西日本の流通業再編の提案がお二人からなされ、どちらかの企業がそれを遂行すると相手方の企業が戦略の見直しを迫られる、という現実を地で行く話が展開されたりもしました。

 そんな中、私が最高点を付けさせていただいたのは、自動車業界の再編をテーマにした乙さんのプレゼンテーションです。同業界は寡占化が進んでおり、独占禁止法等の壁などさらなる国内の再編を成し遂げるには問題がいくつかあります。乙さんは、同業界の周辺に位置するA社のM&A担当者として、B社とアライアンスを組んだ上でC社をグループ化することで、B社に再編の加速というメリットを享受してもらいつつ、A社としての同業界への参入を実現しよう、というものです。

 A社の同業界への参入メリットは認められるものの、非常に大きな意思決定が必要と思われ、これは荒唐無稽な話と言われるかもしれません。しかし、今日のように、M&A手法を活用した事業承継や、事業会社による「選択と集中」が必ずしも一般的ではなかった1994年、私がこの仕事に巡り合った頃には、このような「提案型」のM&Aが、その主流を占めていたのです。このプレゼンテーションに触れ、改めて原点に立ち戻らせていただきました。

 このプレゼンテーションの翌日、トヨタ自動車(7203)とスズキ(7269)の業務提携合意のスクープが新聞紙面を飾り、二日後に正式発表されています。
 「実践M&A講座」のお話はこの辺りにして、次回は、私の講演に参加された士業の方からの相談をご紹介します。

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