コラム

 公開日: 2017-05-11  最終更新日: 2017-06-13

「弁護士からの相談」

先日、大阪弁護士会の研修会で、「中小企業支援に携わる弁護士が知っておくべきM&Aの基本事項について」と題しまして、200人近くの先生方を相手に講師を務めさせていただきました。大阪弁護士会所属弁護士の4%以上の方に聴講いただけた訳で、大変貴重な機会となりました。

 先生方とは、様々な形でお仕事をご一緒させていただいておりますが、普段からご示唆ご教示いただく事が多い法律論等につきましては確認に留めまして、M&A全般の基本事項からスタートし、案件当事者の動機や、アドバイザーや仲介業者の思考形態、存在意義を理解したり考えたりしていただく内容とさせていただきました。

 そういった内容が的を射たのか、終了後、たくさんの先生からご相談をいただきました。
その中から二つご紹介してみたいと思います。

 (ケース1)甲弁護士は、事業を譲渡された後にトラブルが生じた元経営者A氏から依頼され、訴訟を継続中です。甲弁護士はM&Aには一定の知見がおありなのですが、その訴訟においていくつかの論点があり、実務家の意見を参考にしたい、ということで求められ見解を述べさせていただきました。お役に立てば何よりなのですが、このトラブルには驚くべき元凶があり、甲弁護士も自らが最初から関与していればこんなことになっていない、と悔やむ事しきりでした。相手方から直接話を持ちかけられたA氏は、この相手方の「コンサルタント」と称する方と条件交渉を行う過程で、その方の弁舌爽やかさに腰の低さも相俟って、すっかり信用してしまい、契約直前の度重なる内容変更も「自分に良かれと思ってのこと」と理解して全て応じ、結果として不当に不利な内容で調印することとなってしまったのです。無論、この「コンサルタント」はA氏の事を考慮するはずもありません。結果、有望な事業を譲渡し、所得はなくなったにも拘らず、いまだに対価も受け取れず、訴訟費用も尽きてきたといいます。

 (ケース2)乙弁護士からの相談は、「顧問先B社が第三者への事業承継を検討し、M&A仲介会社と契約し依頼をしたが、全く相手を紹介してもらえない。契約期間が1年なので満了してしまうが、催促してもよいものだろうか」というものでした。確かに、B社は地縁等も重要な地元密着型ビジネスで、加えて、とある地方の県下では斯界で五指に入る企業規模を有しているので、その事業に関心を持ち、継承に自信があり、かつ相応の資金を投下できる候補先を見つけるのはなかなか難しいと私も思います。しかし、その仲介会社は50社以上の候補先を並べ、これらの企業にアクセスすることを前提に契約をし、着手金を支払わせながら、結果として1社も交渉プロセスに移行させることができていません。この時の「候補先」の意味は何なのでしょうか。さらに驚くべきは、1年の間に決算を迎えながら、企業評価の見直しも行ってもらえなかった、といいます。私は、「遠慮なく催促してください、企業評価の見直しもお願いしてください。」と申し上げました。数日後、乙弁護士から、「催促したところ、ちょうど提案していた企業から面談意向を得ることができたらしいです。契約も延長されるそうです。」との報告をいただきました。

 さて、これで良かったのでしょうか。良くない気がしますね。
次回、もう少し話を続けていきましょう。

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