コラム

 公開日: 2017-06-01  最終更新日: 2017-06-13

「M&Aにアドバイザーは必要か」

 前回の北浜M&A通信では、弁護士の研修会で講演した後に受けたご相談二つを紹介しました。ケース1は、事業を譲渡するにあたって間で話をしていた人が実は全く自分の味方ではなく、結果としてトラブルとなり訴訟沙汰となっているケース。ケース2は、M&A仲介業者に依頼したが、全く相手を紹介してもらえないケース。いずれも、M&Aという事業承継に有効なツールを、結果として有効に活用できなかったお話です。

 研修会でもお話した「M&Aでアドバイザーが果たす役割」六つを改めて整理してみたいと思います。この六つの役割を全て必要としなければ、M&Aアドバイザーは不要と言えます。

【(一)情報開発・案件創出ルート】 ここが、依頼者にとっては最も期待するところです。M&Aにおいて、情報開発・案件創出の価値は引き続き非常に高く、従って、これを提供したところがアドバイザーを受任するのが一般的です。

【(二)ノウハウ不足の補完】 では、直接両当事者間でスタートする場合はどうでしょう。M&Aに関するハウツーやマニュアルは多数あるものの、遂行するために必要な「暗黙知」を含めたノウハウは当事者が有していないことが多いです。

【(三)直接交渉による交渉決裂の回避】 交渉上のヤマにおいてどちらが先にカードを切るのか、交渉決裂につながるような重要な問題が生じたときにどう着地点を見出すのか、これらノウハウだけでは片付けられないポイントにおいてアドバイザーは役割を果たすこととなります。

【(四)案件コントローラーとして】 両当事者間の意向が合致しているのに、成就までの時間軸が噛み合わず破談になったり、その内容を契約に落とし込むことが不十分なために後に揉めたりする事を、推進役兼調整役兼翻訳者としてのアドバイザーが回避させることができます。

【(五)善管注意義務を果たすために】 東芝(6502)の事案を見るまでもなくM&Aには大きなリスクが伴います。アドバイザーに帰責させることはできませんが、取引を行う上で専門家の知見を活用していることは、エージェントとしての経営陣あるいはM&A戦略担当にとってのリスクヘッジとなります。

【(六)TOB(公開買付け)の場合】 金融商品取引法の定めにより、一定の条件を満たす株式の取得に際してはTOB手続きが必要となり、また、その場合、取得者はその実施に際して、証券会社等に委託することが義務付けられています。厳密な意味でのM&Aアドバイザーではないですが、価値評価等とワンストップで受任して行われることが多いです。

 いかがでしょうか。全て不要とはなかなか言えないような気がしますね。さて、弁護士からケース2の相談の顛末を聞きました。催促して出てきた候補先、確かにある程度の関心はあったようですが、1年経つ間に事業環境が変わり、候補先からすると、「話が違う」ということとなり、破談になったようです。事業環境が変わるのは仕方ないことなので、その時点での状況を最初から正確に伝えてもらっていればまた違った結果となったでしょう。依頼者は、一旦譲渡の検討を取りやめました。このケースでは、依頼者に落ち度はなく、その依頼者が選んだM&A仲介業者の資質の問題であり、この業に携わるものとして残念と言わざるを得ません。
 なので、私は、アドバイザーの七つ目の役割として、「セカンドオピニオンサービス」が必要だと考えており、それを提供しています。

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経営コンサルタント 三谷康生

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