コラム

 公開日: 2017-07-06 

テレビ出演でお話したこと①

 3月期決算企業の株主総会が集中する6月最終週の29日、ソレキア(9867・JQ)の株主総会が開催されました。3月末時点で第三位株主のフリージア・マクロス(6343・2部)および同社の会長である佐々木ベジ氏の動向が注目されましたが、予定議案は可決され終了しました。
 ソレキアは来年設立60周年を迎える、システムやソフトの開発販売も手掛ける電子部品商社です。独立系ですが、取引先としても、経営陣に複数の出身者がいるという意味でも永年、富士通(6702)と深い関係にあります。
PBR(株価純資産倍率)が約0.3の2000円程度の株価水準であった2月に、まず、佐々木氏が2800円でTOB(株式公開買付け)の実施を届け出ました。買付けの意図に関する質疑応答を経て、ソレキアの取締役会は法務および財務アドバイザーの助言の下、「反対」の意見表明をします。
 さらにその後、富士通が買付けの意図を説明の上、3500円と佐々木氏を上回る金額で対抗TOBの実施を届け出ました。これにソレキアの取締役会は「賛同」の意を表します。すると佐々木氏は買付け価格を3700円に引き上げ、市場での取引価格はついに4000円を超えました。
 こうしてTOB開始前から2倍高水準となった3月28日が、ちょうどCS放送・日経CNBC「マーケッツのツボ」の私のゲスト出演収録日であったこともあり、聞き手の岡村友哉キャスターから意見を求められました。
 その時点では、いわゆる「TOB合戦」の渦中にあったこともあり、また、私は株価の見通しを述べる立場にはないので、あくまでもM&Aの専門家として次のような趣旨のコメントをいたしました(企業名や数字は補足しています)。
 「ソレキアの経営陣としては、賛同の意を示している富士通に株を取得してもらいたいだろうが、株式を公開し、譲渡制限がない以上、結果は経済合理性に基づく株主の判断に委ねることとなります」
 「2005年には、ニッポン放送や東京放送、阪神電気鉄道などが相次いで敵対的買収のターゲットとなった結果、買収防衛策策定の助言がM&Aアドバイザーの業務の一つとなり、08年には導入社数569社というピークを迎えました。しかし、2年前のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の導入により、買収防衛策は廃止に向かう流れとなっています」
「多くの企業の経営陣にとって本件は他人事ではないですし、一方、従来からの株主にとっては、PBRが1を割っていることも含め、今日の株価はまだ満足できない水準かもしれませんね」
 ――果たして、双方が引き上げを繰り返しましたが、完全子会社化を想定した富士通の取引要件は充足されず、佐々木氏は5450円で30%超の株式を取得。ホワイトナイト(白馬の騎士)が敗れる形で決着しました。
 ソレキアの株価は7月5日の終値で6830円です。一般論としてはTOB終了後には開始前の株価水準に戻ることが多い中、その後も佐々木氏が市場で買い増したこと、6月29日に佐々木氏がフリージア・マクロスに取得株式の一部を譲渡し、ソレキアを同社の持ち分法適用会社とする見込みであることを発表したこともあり、引き続き高値圏にあります。それでも、1990年に店頭公開(現在のジャスダック)市場への上場直後に付けた上場来高値はもちろん、99年に行った公募増資価格を大きく下回っています(いずれも株式分割等考慮後)。
 次回(8月4日掲載予定)も、番組で話題となったテーマのその後を振り返ってみることにします。

※今回ご紹介したコメント、「マーケッツのツボ」の「第37回・M&A急増!投資家はどう利益につなげればいいか」の前半部分はYou Tube(https://www.youtube.com/watch?v=xmw-Z4bBy2I)でご覧いただけます。

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