コラム

 公開日: 2017-09-08  最終更新日: 2017-10-06

今どきの投資ファンド模様

  第18回、第19回では、4月8日と9日に放送されたCS放送・日経CNBC「マーケッツのツボ」で私がお話したことと、その経緯を書きました。ほかにもさまざまなテーマが出ましたが、唯一、自分でも歯切れが悪かったと思ったのが、聞き手の岡村友哉キャスターから求められた東芝(6502・2部)に関する見解でした。

 東芝の行く末を予測する知見を持ち合わせていない私は「東芝グループにおいて『選択と集中』はさらに加速していくだろうから、その『選択』の対象をM&Aで取得し相乗効果を生むことが期待できる企業を投資候補とする、ということで如何か」と申し上げるのが精一杯でした。

 現在も続く混乱を見るにつけ、その回答は間違っていなかった気がします。「選択と集中」の最大テーマとして、放送時点から挙がっていた半導体子会社・東芝メモリについては、投資ファンドを軸としたいわゆる「日米韓連合」が買収するシナリオに、米ウエスタンデジタルが待ったをかけ、シャープ(6753・2部)の親会社である台湾・鴻海精密工業も参戦するという争奪戦が繰り広げられ、いまだに決着がついていません。

 皆さんが投資ファンドについて目にするのは、本件のような事案が多く、投資ファンドとは大型の案件に対して投資するものである、と考える方も多いと思いますが、実はそうではありません。リーマンショックから9年。金融緩和が継続し、比較的安定した経済情勢の下では、従来、投資ファンドがその処理を得意としていた不良債権は激減。守備範囲を中堅中小企業へのバイアウト投資にシフトしているのが実情です。

 私の会社も毎週のように、投資ファンドの担当者の方からお問い合わせをいただきます。それでも、ほとんどの方は会社の価値として「5億円以上が投資対象とする基準だ」とおっしゃいます。
 私が親しくしている弁護士・甲さんから、ある専門店運営会社X社の企業再生について相談を受けました。債務が過剰となり収益力が低下している企業の、健全な部分を事業譲渡しよう、という話です。その専門店が属する業態は、価格破壊が起きてから二極化が進んでいます。

残念ながら勝ち組ではないX社について、同業者は買収に二の足を踏むだろうし、その業界の中堅企業に投資ファンドが投資したケースはあるものの、それらに比べると、X社への投資は2億円に満たない小規模なものとなることから、私は、同業者、投資ファンドのいずれも投資対象とする可能性が低いと判断し、その業態にクロスセルが期待される別商材の専門店運営会社Y社との協議を提案しました。

 紆余曲折の結果、Y社から見送りの判断がなされ、申し訳なく思っていたところ、甲さんから、X社の事業部分の一部に対して、投資ファンドの子会社となり経営再建を果たしつつある同業者Z社から譲受意向を頂戴した、という報告を受けました。

 Z社の株主である投資ファンドとも親しかった私としては、みすみすアドバイザーとして付託に応える機会を逃したので失敗と言えますが、そのプレスリリースを拝見すると、ほぼX社全店舗の営業・全従業員の雇用が継続されるという好条件のよう。事後処理に奔走している甲さんは大変なご様子ですが、良きお話であったと心より拍手いたしました。
このように、既に投資している会社の企業価値向上、という条件はあるものの、投資ファンドはその守備範囲を急速に拡大。M&A手法による事業継続というフィールドを拡げているのです。

※「マーケッツのツボ」の「第37回・M&A急増!投資家はどう利益につなげればいいか」の前半部分はYou Tube(https://www.youtube.com/watch?v=xmw-Z4bBy2I)でご覧いただけます。

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