コラム

2015-05-26

認知症の種類と症状、原因、予防と治療法について

認知症の種類と症状、原因、予防と治療法について


現在日本の認知症患者さんは、厚労省レポートによりますと約200万人、
2035年にはその倍以上の445万人に増えてしまうといわれています。

認知症の克服は国家的な課題ですが、残念ながら現在でも根本治療薬はなく、
現時点での認知症治療薬が有効なのは1年程で、その後は効果はないと言われます。
そのため認知症の初期症状や予防法、ケア法を知ることの重要性が強調されています。

2010年10月22日に「NHKおはよう日本」で東北大学山國准教授研究室で行われている
「ノビレチン高含有陳皮の抗認知症作用に関する研究」が放送されました。
また、仙台の「NHKてれまさむね」では上記内容がより詳しく放送されています。

認知症に対して、『ノビレチン高含有陳皮』が効果を期待できるということです。

そこで認知症の原因疾患の種類と症状について述べてから、
ノビレチン高含有陳皮の研究のあゆみを記すことにします。

認知症の原因疾患の種類と症状について

1)アルツハイマー型認知症-認知症の中の約68%
・短期記憶障害で発症することが多く、緩徐に進行。古い記憶は保存。
・末期まで歩行可能で、普通に話すことができる。
・中期で徘徊、自宅にいるのに「家に帰る」など。
・抑うつや妄想ではじまることもある
・CTやMRIでは、正常かやや脳の委縮が強い程度
・病理学的所見:①老人斑(主成分:アミロイド・ベータ蛋白)
       ②神経原線維変化(主成分:異常リン酸化タウ蛋白)
       ③神経細胞の脱落

2)脳血管障害型-認知症の中の約20%
・歩行障害や構音障害、嚥下障害などを伴うことが多い
・脳梗塞の治療、動脈硬化の治療により、悪化を食い止めることが出来る
・脳卒中になりやすい病気:①高血圧 ②糖尿病 ③高脂血症 ④心臓病(心房細動)
・症状の変化が重要=
 臨床的に痴呆症状が緩徐に進行していればアルツハイマー型痴呆である可能性が高い

3)レヴィー小体型認知症=認知症+パーキンソン症候群+幻視などがある
・生々しい幻視。色彩豊かな具体的な幻覚が多い、症状の変動が大きい。
・認知障害に加え、歩行障害、無動、手が不器用になるなどパーキンソン症状を伴う。
・起立性低血圧・便秘など高度の自律神経症状を伴う
・不定愁訴が多い、体調不良を訴えることが多い→精査しても器質的疾患なし
・薬剤に敏感に反応
 ・抗精神病薬で運動機能が極端に低下
 ・パーキンソン病治療薬で幻覚の悪化
 ・コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)で易怒性 など

4)前頭側頭型認知症
・早い時期から前頭葉症状すなわち人格の変化、実行機能の障害、
 社会的技能の低下、感情の平板化、行動の脱抑制、独特の言語障害などを示す。
・初期には記憶障害は軽度
・言語、行動、注意力が障害されて、家族や周囲の人たちはAD患者より大変です。
・攻撃的行為が患者家族にとって大きな問題
・CTでは片側の側頭葉などに局所的な萎縮が目立つ(以前のPick病など)
・自己中心的、短絡的な行動、意欲低下、だらしない行動が多い
 →精神症状が中心で、精神科疾患のようにみえることも多い

                             
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ノビレチン高含有陳皮エキスの研究のあゆみ

東北大学薬学研究科にて認知症の根本治療の候補薬として発見されたノビレチンに
注目し、ノビレチン高含有陳皮(N陳皮)を市場から選別することに成功し、
N陳皮を用いた薬効薬理試験と臨床応用についても研究を進めてきました。
そして薬効薬理に関する基礎研究と初期の臨床研究の論文が発表されました。

東北大学大学院薬学研究科薬物療法学分野准教授の山國 徹先生による
<第19回東洋医学ランチョンレクチャー>での
『ノビレチン高含有陳皮エキスの抗認知症作用』についてよりまとめました。

10年以上前から、ミカンの果皮に注目し、シークヮーサーはノビレチン含有量が
高いということで、当時はシークヮーサーからノビレチンを精製して、
これが認知症あるいは神経変性等々に有効であるかという研究をスタートしました。
そして、2004年に、急性の認知症モデル動物で有効であることが証明できました。

家族性のアルツハイマー病の方は、50歳前に原因物質のアミロイドが脳に蓄積して、
認知機能障害あるいは記憶障害を示すようになります。
その家族性のアルツハイマー病の原因遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを
用いて検討したところ、ノビレチンがマウスの記憶障害を改善し、
かつ原因物質のアミロイドの脳内蓄積も抑えるという活性が認められました。
 
その後、ノビレチンは成熟ウンシュウミカンやその類縁のミカンの乾燥果皮にも
含まれていることがわかりましたので、ノビレチン高含有陳皮(N陳皮)を用いて
アルツハイマー病の治療ができないかと考えて研究をすすめました。

そして、2007年からは、東北大学医学部の関高志先生を中心に、
そのノビレチン高含有の陳皮の臨床研究をスタートし、同時に、
種々の認知症モデル動物を使って、このN陳皮の抗認知症作用を証明してきました。
 
その過程で、N陳皮にはノビレチンよりも優れた点が多数あることを発見しました。
そこで、なぜすぐれているのか明らかにするため活性本体の捜索研究もすすめ、
ここ1~2年でその活性本体の一部を同定することに成功しました。

アルツハイマー病(AD)の発症メカニズムとその治療戦略

アルツハイマー病の原因についてはいろいろと論争がなされました。
老人斑の主成分であるアミロイドβタンパク質(Aβ)、それから
神経原線維変化の主成分である異常リン酸化タウが同定され、
原因はどちらかという論争がなされ、1992年にアミロイド仮説が提唱されました。

それまでには、家族性のアルツハイマー病の原因遺伝子の特定と同時に、
ダウン症の患者さんの剖検脳において必ずアミロイドの蓄積が
神経原線維変化よりも先行しておこることがゆるぎない事実としてわかり、
原因はAβであるということがかなりの確かさで示されていました。

その後、老人斑を構成するAβが、可溶性の状態で神経に作用して、
記憶障害あるいは学習障害をひきおこす、認知機能障害をひきおこすという
オリゴマー仮説が提唱されています。
大阪市立大学のグループは、Aβの変異により可溶性のオリゴマーが脳内に蓄積して、
老人斑が認められないのに認知機能障害がおこっている症例を報告しています。

このAβオリゴマーが、海馬においてグルタミン酸シプナスに作用して
シプナス伝達を抑制するため、学習・記憶障害が誘発されると考えられています。

さらに、このオリゴマーが神経原線維変化あるいは細胞死を誘発する原因に
なっているということが昨年発表されました。
このようにオリゴマー仮説を裏づけるエビデンスが蓄積してきているわけです。
 
しかしながら現在いろんなトライアルがありますが、
残念ながらまだ根本治療薬の開発の成功には至っておりません。
そうしますと、創薬のターゲットはどこになるか。オリゴマー仮説あるいは
アミロイド仮説から得られるものが創薬のターゲットになるだろうと考えています。

陳皮成分ノビレチンの抗AD作用の発見

そういう状況下で、新しいアプローチで
アルツハイマー病の根本治療薬を見出すことができないかということを考えました。

ご存じの通り、創薬の歴史というのは天然薬物の研究からスタートしています。
私どもは、自然界はまだまだ医薬資源の宝庫であると考えて、自然界から
アルツハイマー病の治療薬をみつけようというスタンスで研究をすすめてきました。

そのためには次の5つの基準を満たす薬物であることが必要です。

1.Aβ誘発性の記憶障害を改善する活性
2.Aβの蓄積を抑制する活性
3.Aβの神経毒性を抑制する活性
4.脳コリン作動性神経変性を抑制する活性
5.NGFの生合成を促進する活性
上記5つの作用を併せ持つ天然薬物を4~5年かかってスクリーニングしてきました。

まず、アルツハイマー病の原因物質のアミロイドによる記憶障害の改善です。
海馬というのはADの比較的初期に障害がおこる場所であって、
Aβに対しては非常に脆弱な細胞であることがわかっています。
ですから、そういった海馬においてAβの神経毒性を抑える活性が必要です。

それから、Aβの蓄積も抑えれば非常によいので、2番の基準に入れています。

さらに、海馬には中隔野からコリナジックニューロンが投射しており、
そこでニューロトロフィックファクター(神経栄養因子)が供給されます。
しかしながら、アルツハイマー病の患者さんでは
大量にコリナジック神経の消失、細胞死がおこっていることがわかっています。

つまり、海馬における神経栄養因子というのが、
神経ネットワークを維持するのに非常に重要なことになります。
脳コリン作動性神経変性の抑制とNGFの生合成促進は密接に関係しているのです。

このような薬効を示す活性物質として、私どもはノビレチンを見出したのです。
ノビレチンは、フラボノイド化合物で、ポリメトキシフラボン類です。
メトキシが非常にたくさんあって、脂に溶けやすく、水に溶けにくい物性をもち、
かつ低分子量です。細胞を使っての実験では非常に溶けにくく難儀したのですが、
その物性により血液脳関門を通りやすく、脳ですぐれた薬効を発揮できると考えます。
 
マウスで、腹腔内投与と経口投与で検討しています。
投与5分後には脳のなかに直接入っていくことがわかりました。
脳内の濃度が、腹腔内投与の場合には55μM、経口投与の場合には約9μMでした。
私どもは、培養海馬ニューロンでのノビレチンの薬効の濃度依存性を検討し、
この濃度であれば十分に薬効を示すことをin vitro studyで確認しています。
脳のなかにノビレチンが十分到達できるということが示されたのです。
 
脳にノビレチンを直接送り込めることがわかったので、
次にさまざまな認知症モデルで検討しました。
 
最初の2つはアルツハイマー病のモデル、つまりアミロイドが脳のなかに蓄積する、
あるいは脳室にアミロイドを注入したモデルマウスですが、効果が認められました。

それからコリン作動性の神経の変性をともなうマウスにおいても有効でしたし、
アセチルコリン受容体遮断薬を使ったモデル動物でも有効でした。
 
また、学習・記憶に関わる海馬あるいは大脳皮質において重要な役割をしている
グルタミン酸受容体(NMDA受容体)を薬物を使って機能不全にしたマウス、
または一部機能性不全にしたノックアウトマウスでもノビレチンは有効でした。

脳血管症認知症のモデルの総頸動脈結紮脳虚血モデルにも効果がありました。

次は、家族性のアルツハイマー病原因遺伝子導入のマウスにおいての評価です。
 
私どもが本実験で用いたのはAPPのSL7-5です。
スウェーデン型の変異及びロンドン型の変異をもつマウスを作製し実験を行いました。
このマウスの表現型としては、脳内にAβ1-40あるいはAβ1-42が
非常に多く蓄積しやすく、これで有効であればかなり手ごたえがあると考えたのです。
 
15ヵ月齢における海馬領域での老人斑様のアミロイドの凝集を示す所見ですが
時間軸にしたがって脳内のアミロイドの沈着がすすみ、
10ヵ月齢から脳のなかにアミロイドの蓄積が認められます。
興味深いのは、5ヵ月齢で、すでに空間認知機能障害があらわれることです。

すなわち、アミロイドのオリゴマー仮説を裏付ける空間認知障害が
アミロイドが凝集する老人斑ができる前におこるということが観察されたのです。
そのような表現型を示すマウスにおきまして、
9ヵ月齢から4ヵ月間、すなわち13ヵ月齢になるまでノビレチンを腹腔内投与しました。
 
ところで、マウスの学習・記憶をどのように評価するのかと申しますと、
アミロイドに対して海馬ニューロンというのは非常に脆弱です。
脆弱であれば機能障害が海馬に出やすいと推察されます。
その海馬依存的な学習・記憶の評価法として恐怖条件付け試験という方法があります。
恐怖体験させて、24時間後にそれを覚えているかどうかを評価するというものです。
 
具体的には、ホームケージのマウスを透明な箱に入れて電気ショックを与えて、
ホームケージに戻し、24時間後にもう一度同じ透明な箱に入れます。
そうすると、健康な野生型のマウスでは、恐怖体験を思い出して、
体を固めるすくみ行動(freezing behavior)という特有の行動を示します。
5分間すくみ行動を示す時間を計測してそれを積算し、
何パーセントすくみ行動を示したかを学習・記憶能力のインディックスとして表します。
 
その結果ですが、健康なマウスは70~80%のスコアを示しました。
対照的に、APPの原因遺伝子を入れたマウスにおいては50%に下がっていました。
すなわち、恐怖体験をさせているのですが覚えが悪い記憶障害の表現型を示しました。

4ヶ月間10mg/kgまたは50mg/kgのノビレチンを毎日投与したマウスについてみますと、
ノビレチンの容量依存的にその回復が認められました。
50mg/kgの容量では、野生型のレベルまでほとんど回復していることがわかりました。

すなわち、アルツハイマー病のモデルマウスにおいて、
ノビレチンは記憶障害を改善するという事実が明らかになったのです。

さらにこの行動の解析後に、脳を取り出して脳内におけるアミロイドの蓄積を調べた
免疫組織学的な所見ですが、定量化すると大体半分以下に下がっていました。
さらに、より定量的なELISA法を用いて不溶性のAβ1-40とAβ1-42を定量したところ、
免疫組織学の所見とほぼ一致して50~60%低下していました。

すなわち、ノビレチンは原因物質のアミロイドの蓄積を抑えることがわかりました。

ここで示された結論として、ノビレチンは直接脳のなかに移行して神経細胞に作用し、
ADの進行を阻止する活性があることがマウスで示されたのです。

                             
『ノビレチン高含有陳皮エキスの抗認知症作用』(下)
          ―N陳皮エキスはノビレチンより優れた薬効を持つ

そこで、ノビレチンを漢方治療に応用しようということで、
ノビレチン高含有の陳皮すなわちN陳皮の探索を行いました。
4~5年かけて、流通品の250種余りの陳皮のなかからスクリーニングをして
4つの産地のN陳皮を見出し、エキスを調製して3D-HPLCで分析しました。
 
まずノビレチンですが、N陳皮では非常に鋭いピークが認められるのに、
通常の陳皮ではほとんど検出されません。
それから、ノビレチンの構造類縁体であるタンゲレチンについても、
やはりN陳皮のほうが通常の陳皮よりも多いことがわかりました。

標準的な陳皮とN陳皮を比較しますと、ノビレチンの含有量は大体16倍違います。
ヘスペリジンの含有量はほぼ同じであることから、
陳皮でなおかつノビレチンが豊富であることがわかったのです。
これを用いてin vitroとin vivoの薬理学的な解析を行いました。

海馬というのは学習・記憶に関わる重要な場所であって、
短期記憶の形成がまずここでおこり続いて長期記憶に変換される場所でもあります。
短期記憶から長期記憶に変換されるのに必要なのは、遺伝子の転写のプロセスです。
すなわちCRE依存的な転写が、短期記憶から長期記憶に返還するために必要なのです。

CRE依存的な転写は、海馬によって短期記憶から長期記憶に変わる際に
絶対に必要なものであるということに注目していただきたいと思います。
 
そこで、ラットの海馬ニューロンを2週間培養して、CRE依存的な転写活性を
コントロール、2種類の通常の陳皮、そして4種類のN陳皮で処置し作用を調べました。
その結果通常の陳皮に比べてN陳皮はすべてCRE依存的な転写活性を強く増強しました。

CRE依存的な転写活性の上流ではPKAが活性化されるので、
PKAの気質となるたんぱく質のリン酸化レベルも上昇することが期待されます。
そこで、次にPKAの気質のリン酸化レベルについてWestern blot分析を行いました。
その結果、通常の陳皮はコントロールよりも少し上昇しているだけなのですが、
N陳皮は非常に強いシグナルとして検出されました。すなわちN陳皮はPKAを活性化し、
その気質のリン酸化を非常に強く亢進させることがわかったのです。

さらに、CRE依存的な転写活性に
直接寄与するCREBのリン酸化とERKのリン酸化レベルへの影響を調べると、
通常の陳皮では微弱ですが、N陳皮では非常に強いリン酸化レベルの上昇を認めました。

N陳皮は、海馬において短期記憶から長期記憶へ変換する活性を高めることがわかりました。
 
さらに、MK801というNMDA受容体の非選択的なブロッカーを用いて実験を行いました。
なぜこんなことをやったかと申しますと、アルツハイマー病の原因物質アミロイドは、
脳の中でNMDA受容体の機能を障害することが明らかになっていますので、
MK801を使って障害するという実験をまず培養海馬ニューロンにおいて行いました。
 
すなわちNMDAで処置すると、ERKのリン酸化、それからPKAのリン酸化が亢進しました。
MK801を添加するとその上昇は抑えられました。
それに対して通常の陳皮による処置では回復は認められません。
しかしながら、N陳皮ですと回復が明確に示されたのです。
 
そこで、次にMK801を使ってNMDA受容体の機能をブロックしたモデル動物で
N陳皮は有効なのか、検証した実験の結果を紹介させていただきます。
 
ノビレチンの用量にして10㎎/kgあるいは25㎎/kgに相当する量を1週間経口投与して、
7日目にMK801を投与します。あるいはコントロールとしてはsalineを投与します。
そして30分後に恐怖条件付け試験を行いました。

先ほど示しましたAPPのTgマウスの実験と全く同じ考えで
海馬依存的な機能を調べ、障害を評価しました。
MK801誘発性の学習・記憶障害に対してN陳皮の薬効はいかにということになります。
このマウスはddYマウスという系統で、
先ほどのTgマウスと比べて頭が悪い(学習・記憶障害が低い)のです。
したがって、先ほどは2発の電気ショックを与えましたが、
このマウスでは3発の電気ショックを与える条件で実験を行いました。
そして、24時間後に覚えているかどうかをみました。
 
ここでは記憶の獲得、それから保持、想起の3つに注目したいと思います。
この獲得、保持、想起へのN陳皮の影響を調べました。
Trainingというのは記憶の獲得のプロセスを評価する方法です。
1発目、2発目、3発目とすくみ行動がだんだん上がっていきますが、
NMDA受容体のブロッカーのMK801を与えるとコントロールと比べてスコアが下がります。
すなわち記憶の獲得障害が誘発されているということがわかります。

そこでもN陳皮の経口投与群は、いずれもコントロールレベルに回復しています。
MK801誘発性の記憶獲得障害を、N陳皮は改善する活性があるとわかったのです。
 
24時間後の評価で、記憶の形成がまともに行われているか、すなわち
記憶の保持と、それに続く想起のプロセスがどうなっているかをみました。
コントロールに対してMK801はスコアが下がっていることから、
記憶の形成障害が誘発されていました。ところで、ノビレチンはどうかというと、
記憶の保持、想起は回復しますが、MK801による記憶獲得障害は改善しませんでした。

このように、N陳皮はノビレチンにはない、新しいことを学習する能力を回復する
という薬効が期待されるのです。覚えたことを引き出す機能だけではなくて、
新しく覚えていく脳の機能、働きも改善することがこの結果から示されました。
 
このように、動物実験では抗認知症作用があるという結論に到達しましたので、
次に実際にアルツハイマー病患者さんに投与し効果を調べる研究をスタートしました。
東北大学の関高志先生を中心にクリニカル・パイロット・スタディを行いました。
 
例数は少ないのですが、アリセプトだけのグループと、
アリセプトとN陳皮を飲んでいただいたグループでみています。
アリセプトは初期の段階ではハレー効果といわれる効果がありますので、
今回はすでに1年以上アリセプトを飲んで、効果の認められない患者さんが対象です。
 
その結果をNMSEとADAS-J cog方法で評価しますとアリセプトのみのグループは
1年後には悪化していました。つまり、認知機能障害が進行していました。

対照的に、アリセプトとN陳皮を飲んでいただいたグループでは
1年前と変わらない、つまり認知機能障害が進行していないという結果が得られました。
さらに、2群間を比較すると、この値の有意な差であることがわかりました。
すなわちノビレチン高含有N陳皮がADの進行を阻止する可能性が示唆されたのです。
 
このようにしてN陳皮のすぐれた点を発見することができました。
これは生薬一般にいえることだと思いますが、N陳皮は多成分系であり、
ノビレチンにはない多成分系のすぐれた効果を捉えることができたと考えます。

おわりに
以上の結果から、ノビレチン高含有陳皮(N陳皮エキス)は、記憶獲得障害を改善し、
アルツハイマー病の進行を抑制する新規漢方治療薬として期待できると考えます。

気になるお値段は、漢方薬と合わせて28日分28,000円です。
1回1包1日3回、飲みやすい顆粒です。

                             
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認知症の漢方薬治療
認知症の漢方治療としては
ノビレチン高含有陳皮の単独で服用することもありますが
以下のような漢方処方を併用することもあります。

釣藤散、抑肝散加陳皮半夏、黄連解毒湯、三黄瀉心湯、当帰芍薬散、
加味逍遥散、通導散、芎帰調血飲第一加減、補中益気湯、加味帰脾湯など。

■受診の必要性
認知症の症状に思い当たれば、専門の医療機関の受診を勧めます。
また、各都道府県にある家族の会に相談するのもよいでしょう。

リハビリテーション ~得手不得手を見極め、できることを生かす~
「認知症の人が得意なことやできることを生かす」ことが大切です。
脳は筋肉とよく似ていて、使えば使うほど鍛えられ、逆に使わないと退化します。
認知症を発症しても、脳には多くの機能が残されています。
それらの機能をしっかり使って衰えにくくし、失われた機能を補うことにも役立ちます。
また、自信をよみがえらせ、元気を取り戻すことにもつながります。

認知症では、だんだんと記憶の時間軸が失われていき、
過去から未来へと続くべき記憶がつながらなくなる傾向があります。
しかし、患者さんはその時その時を一生懸命生きています。
今ある能力を発揮して、楽しく過ごせるように支えてあげることが大切です。

■リハビリのポイント
家庭でできるリハビリテーションのポイントは、「役割を決める」「褒める」
「笑顔になってもらう」「声かけで安心感を」「失敗を防ぐ支援」などです。
◎役割をきめる…………役割があると「人の役に立っている、必要とされている」と
  実感でき、暮らしに張り合いがでます。
◎褒める…………………認知症の人は自信を失っていることが多いので、
  自信を取り戻してもらうためにも、褒めることは大切です。
◎笑顔になってもらう…笑顔になると脳が刺激されて、やる気が高まるだけでなく、
  記憶機能にもよい影響が表れます。
◎声かけで安心感を……認知症を起こすと料理の手順などがわからなくなってきます。
  次に行う手順を示すことで安心して作業を続けられ、失敗を防ぐことができます。
◎失敗を防ぐ支援………失敗は、心に大きなダメージを与えます。
  認知症の人は、自信をなくしたりイライラしたりすることもあります。
  失敗しそうなときには、さりげなく支援をすることが大切です。

認知症の人を「褒める」「認める」ことで、
本人が笑顔になって穏やかな気持ちになれば、症状も安定してきます。
それを見て家族も楽しくなり、優しく接することができるという好循環が生まれます。
一方、周囲の人が「怒る」「否定する」と患者さんも不機嫌になり症状が悪化します。
そして悪化するからまた怒る、という悪循環に陥ります。

認知症の治療には、薬、リハビリ、ケアの3つがあります。
なかでも、周囲の人の関わり方が症状に大きく影響します。
心にゆとりをもって、患者さんに寄り添う気持をもってケアすることが大切です。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
〒545-0014 大阪市阿倍野区西田辺町1-12-14
      漢 方 誠 芳 園 薬 局
TEL;06-6480-8525     予約制です。
E-mail;info@kanpouseihouen.com
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