コラム

2015-08-21

クレーム対応は感情労働【クレーム交渉術】

どうしても納得されないクレーマー

クレームを、おっしゃるお客さまは、怒りに駆られたからこそ、一言苦情を言わなければ気がすまないという状態になったのです。

しかるべき要求を突きつけて、自分がこうむった迷惑なり損害に対しての、謝罪や補償を求める明確な意志があるからこそ、行動を起こされました。
こうした怒りの感情は、おおむね自尊心を損なわれた場合に発生します。

例えば、購入した製品に不具合があった場合には、代金を支払ったにもかかわらず、不良品をつかまされたということが、自己否定されたのも同然に思えるからこそ腹が立つわけです。

お客さまとしての立場を踏みにじられたという、自分の存在を無視されたような気がして、怒りが湧き起こるのでしょう。

どう対応しても納得してもらえないクレーマーが存在するのも事実

しかしながら、中には、こちらに非はまったくないのにも関わらず、どう対応しても納得されないクレーマーもおられるのも事実です。

私がパーサー時代のエピソードをご紹介しましょう。

ニューヨークから成田に戻るファーストクラスでのことでした。ミールサービスの最後に、フルーツバスケットのサービスがあります。

バスケットに丸ごとのフルーツが盛られていて、お客さまの好きなものを取ってもらうか、アテンダントがカットしてお持ちします。
帰国子女のアテンダントがそのサービスを担当していました。

突然、「リンゴはアップルじゃない、アップルだ!」という怒鳴り声が繰り返し聞こえてきたのです。
私は耳を澄ませて会話を聞いていましたが、そのアテンダントに目配せをし、ギャレー(調理室)に戻るよう指示しました。お客さまに怒られたアテンダントは、涙目になっています。

パーサー時代の苦い体験

いったいどうしたことかと話を聞くと、リンゴを英語で言うように言われたので発音すると、「リンゴはアップルじゃない、アップルだ!」と叱られたというのです。お客さまは、「パーサーを呼んでこい」とご立腹です。

私は、お客さまのところへ伺いました。
「お客さま、パーサーの葛西でございます。担当の者が何か至りませんでしたでしょうか」とおたずねしました。
「お前はどういう教育をしている!英語の発音がなっていないじゃないか!」
「それではどのように発音すればよろしいでしょうか」
「だから、アップルじゃなくてアップルだ!」

どんなに耳を澄ましても、アップルの発音がカタカナのアップルなのです。お客さまの指摘は、なんと延々と4時間も続きました。
4時間後に、「パーサー、もういいよ」と上司の方が横から言ってくださったので、ようやく終了しました。安堵しつつ、私は心の中で、「もっと早く止めて!」と叫んでいたのを思い出します。

何の落ち度もなく、一方的に怒られるといったことも

機内を見守っていると、先ほどの上司が私のところにきました。
「さっきは悪かったね。実は彼はとても優秀な人材だったので、ニューヨークの駐在員に抜擢したんだ。ところが、英語の発音があの通りでね。現地の人とコミュニケーションできなくて。今、日本に連れて帰るところなんだよ」とおっしゃるではありませんか。

怒鳴り続けていたあのお客さまは、ビジネスで自信をなくし、つらい思いをしたのです。接したアテンダントは、帰国子女で、彼女の流暢な発音がつらい思い出を蘇らせ、怒りが爆発したのでしょう。

アテンダントにしてみれば、何の落ち度もなく、一方的に怒られたわけです。どんなことがあろうとも、飛行機が無事に着陸し、ドアが開くときには、お客さまに笑顔で降りてもらおうとフライトを重ねてきましたが、このときのお客さまだけは例外で、最後まで怒って飛行機を降りて行かれました。

自分の感情を抑制するという感情労働

このエピソードは私にとって、苦い経験として、心に残りました。肉体的疲労は休養を取ると回復しますが、精神的疲労はなかなか回復しないものです。
ただ、上司が怒りの理由を説明してくれたことで、少しは救われたような気がします。

クレーム対応は、集金回収者やアテンダントと同じで感情労働と言われています。これは、肉体労働や頭脳労働でもなく、自分の感情を抑制することでお金を得るからです。そのことを実感した経験でした。

お客さまの怒りをしずめるためには、誠心誠意対応し、できる限るご満足していただくという態度に重きを置いて接していくことが大切です。

神妙な面持ちと態度で、お客さまを優位な立場において、徹底した謝罪と気づかいの言葉を使うと効果的です。共感の驚きを示しながら、「お客さま、いかがなさいましたか?」というかしこまった言葉を使います。

そして、不快な状況をもたらしていることに対しての道義的責任や気づかい、さらに「それは大変申し訳ございません」という謝罪を表現します。

こうしてクレームをしっかり受け止める姿勢を示せば、私が体験したような例外を除いて、通常、お客さまは自尊心が満たされ、自己肯定ができるようになります。

そして、「なるほど」「ごもっともです」「おっしゃる通り」と共感してへりくだることも大切です。
まずは「真正面から受けて立つ」という真摯な姿勢で取り組んでみてください。

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