コラム

 公開日: 2016-03-07 

新興国展開におけるアドバイザーの必要性

中小企業と海外展開


少子高齢化により日本の人口減少は確実であり、企業にとっても日本市場に留まっていては成長が期待できません。
アベノミクスで言われる第三の矢であります成長戦略も、海外市場抜きには考えられません。企業が持つ強みで機会を捉えるのが経営戦略の基本であることを考えますと、どんな小規模の企業であったとしてもこれから伸びる海外市場に軸に置き、経営強化を図ることは避けては通れません。その海外展開には日本で生産して海外市場に輸出するという事業モデルもあれば、海外で製品企画を行い現地生産して海外市場で販売を拡大するというような、様々な海外展開のオプションがあります。

しかし、海外市場に直接かかわったことがない中小企業の経営者にとって、海外展開を考えること自体極めてハードルが高いものです。言葉もできない、海外の取引の仕組みそのものがよくわからない、どこにどう売り込んで良いかわからない、というのが普通ではないでしょうか。いつもお世話いただいている税理士の先生や銀行に相談しても、海外のこととなると良くわからないことも多いと思われます。商工会議所や公的機関にある相談窓口に行って話をしても、一般的な情報は入手できるものの、果たしてどういう戦略を考えたら良いのか、どの市場にターゲットを絞ったら良いのか、またその会社にとって実行可能なのかどうか、企業の立場に立って最適の助言をしてくれるところはないのかと悩まれる経営者の方も多いのではないでしょうか。

外部アドバイザーの積極活用を


海外展開をきっかけに成長を目指したいと思われている中小企業の経営者の皆さまには、海外展開に詳しい外部アドバイザーを積極的に活用されることをお勧めしたいと思います。しかし、多くの中小企業は、外部のコンサルタントを使うということに慣れておられないところが一般的で、コンサルタントというのは口だけで全然役に立たないのではないか、コストの無駄というような先入観を持たれておられる方もあります。ただ、社内の人材が持っているノウハウや知見以上のものを持っている専門家を積極的に活用しないのはもったいないと思います。またその専門家自身の専門性だけが役に立つのではなく、その人的ネットワークをフルに活用できるメリットがあります。特に、海外展開にあたっては、国内税務しか知らない税理士や国内での取引金融機関だけでは、入手できる情報や人的ネットワークには限界があります。

外部のコンサルタントはコストがかかるし、そんなことにお金をかけるのはもったいないと聞くことがあります。確かにいろいろな情報を無料で入手することはできるようになっています。様々な無料セミナーも多く開催されています。しかし、その情報は必ずしもその企業の戦略にマッチングしているかどうかは疑わしいところが多いのも事実です。きっちり企業の外部環境、内部環境を分析し、企業が目指す姿と整合性のある海外展開戦略を一緒になって考えていく、まさしくホームドクター的なアドバイザーがどうしても必要になります。費用面では、公的機関自身も専門家を派遣する制度も充実させていますし、マッチングする専門家が派遣されてくればそれに越したことはありませんが、実際には経営者の方自身が、専門家とじっくり話をして、この人なら任せられるという方を見つけて、経営パートナーとして手を携えて海外展開を図るというのが理想ではないでしょうか。

実際、外部アドバイザーを活用する場合、どれくらいコストがかかり、それが本当に役に立つのかというのが、経営者にとって関心事になります。例えば、専門家から助言を受けるべく顧問契約をしたとします。専門家によるアドバイザー費用にはそれこそピンキリの差があり、有名な先生であれば一回講演に来てもらうだけで何十万もかかる場合もありますが、通常中小企業の経営コンサルを行う場合、訪問頻度や一回あたりの助言時間、その他カバーされる範囲で違いはありますが、月2回訪問して半日業務と制限のないメールや電話での助言でも、せいぜい月10万から20万といったところが報酬範囲になります(他のコンサルタントはもっと高いかも知れませんが)。これを高いと感じるかどうかですが、例えば新入社員を一人採用した場合、フルタイムで月20万円の給料としても、社会保険関係や福利厚生、通勤費、諸手当などを含みますと、ざっとその倍の人件費コストがかかってしまいます。その月40万のコストがかかる社員が生み出す付加価値と、月2回の訪問であったとしても、20万円以下の報酬で入手できる情報価値、経営貢献度を考えた場合、決して高い買い物にはならず、いかにして最大限活用するかにかかっているように思います。
私が支援させていただく企業様に対しては、常に社長の右腕として、お役に立てることは何でもやるという心構えで、報酬の何倍もの付加価値を提供することを肝に銘じて取り組まさせていただいております。

新興国展開でのアドバイザーの必要性


海外展開、とりわけ新興国展開では、法規制が流動的です。許認可、行政手続き、外資規制等に関する法制度が頻繁に変更され、かつ運用が恣意的、不透明であるため、常に専門的情報の収集と外部からの適切な助言が必要です。ややもすれば問題が起きてから弁護士など専門家の門を叩く企業がありますが、問題が勃発してからの後処理対応よりも、リスクを事前に評価し、問題発生前に対応の助言を得るアドバイザーの存在は有益であるというのは、私の経験からも確実に言えます。

また、会計制度や税法が複雑なうえ、日本本社との連結経営における財務バランスと会計制度の整合、移転価格税制など国際税務リスク対応、資金マネジメントを、専門コンサルの助言なしに行うと、両国間で経営リスクが発生します。海外展開時には現地での会計・税務コンサルタントとの契約は必須と言えます。

税務・会計、人事まわりに多くの問題が発生しますが、海外では事業環境の変化が激しいため、もともと人的資源の層が薄く、出向される日本人社員の海外経営の経験がほとんどないところが多いため、異文化適応ができずに経営が混乱することも散見されます。そういった現地経営責任者の経験、マネジメント能力を補完するためにも、海外経営アドバイザーからの助言は、経営リスクマネジメントという観点からも非常に有益ではないでしょうか。

この記事を書いたプロ

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中小企業診断士 杉浦直樹

大阪府大阪市中央区久太郎町4-2-15 星和CITY BLD御堂ビル6階 御堂筋センターオフィス内 [地図]
TEL:06-7878-6531

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