コラム

 公開日: 2016-03-09 

ベトナム人の国民性を理解する5つの【K】


ベトナム人は親日的であるとか、日本と同じ仏教文化なので日本人と感覚的に似ている、また勤勉で器用など、いろんな角度からベトナム人を理解しようとします。一般的にポジティブな評価が多く、少なくともいわゆる反日国家で事業を行うよりは遥かに事業リスクは少ないということで、ベトナムへの投資意欲は以前と比較しても高まっていると言えます。しかし、やはり日本人とベトナム人は違います。その異文化に対する敬意と理解、また問題点の認識を踏まえた経営を行うかどうかは極めて重要です。なかなか公開されている資料だけではわかり得ない部分について、特にベトナム人の国民性について5つの「K」から述べてみたいと思います。ただ、これはベトナム人の国民性を批判しているのではなく、その特徴を理解したうえで、良いところを生かすという視点を持って分析しました。

個人主義の「K」


これは中国の文化とも相通じるところがあるのですが、個人や家族の価値観を最も大事にします。個人や家族の利益が最優先という考え方をします。そのため、集団利益や社会の目を意識する滅私奉公の感覚を持った日本人とは大きなパーセプションギャップがあります。つまり会社のために個人の生活を犠牲にすることはほとんどないと言っても良いと思います。そのため会社への帰属意識は薄く、仕事についても情報共有意識が希薄なため、一般的にチームワークが苦手で、退職時も引き継ぎが不十分となる傾向には留意が必要です。また、会社の仕事より個人の冠婚葬祭を優先しがちですが、それを全て否定して会社の利益を優先するという経営姿勢一辺倒では行き詰ります。個人主義は決して利己主義ではありません。個人や家族を大事にする文化や考え方を受け入れることで、会社そのものを家族的集団として組織文化を作り上げていくことにより、強固な会社組織にできることもあるのです。

器用の「K」


ベトナム人は手先が器用でハンドメイドの手工芸品の生産に秀でていることは多くの方がご存知です。またその器用さや我慢強さの特徴を生かし、縫製業など人手のかかる産業においては、単に人件費で有利ということだけではなく、手作業の品質の高さという面から、ベトナムの産業競争力は高いものがあります。特に、今後TPPの発効を睨み、多くのアパレル関連の外資系メーカーが、製糸、生地工程の製造会社投資が増加しており、強みのある縫製までの一貫生産をTPP内で完結させることにより、欧米市場で圧倒的な競争力を発揮できる可能性が高まっています。

勤勉・向学心の「K」


ベトナム人は学ぶということに非常に積極的です。日本人は社内研修に行ってこいと言われると、忙しいので正直行きたくないという社員が増えていますが、ベトナム人社員は、少しでも勉強してより高い能力を獲得し、より高度な仕事に挑戦したいという思いを持っている人が多く、研修会となると喜んで自ら手を挙げて真剣に参加します。また社内に仕事に関連する研修の機会がないとすると、自分で外部機関による研修プログラムを探してきて参加させてほしいと言ってきます。会社負担で研修に行かせてもらうことは非常にモチベーションが上がります。極め付けが日本研修です。憧れの日本に旅行ができて勉強できる日本研修のチャンスがあるがゆえに、日本企業に就職したいという人が多いのも実態です。
また、会社負担の研修でなくても、勤務終了後に夜学に通い、自ら資格取得を目指したり能力開発に努力する社員も多く見られます。これは将来転職でさらに好待遇の会社への転身を狙っているということでもあるのですが、会社にとっては痛しかゆしのところがあるものの、あえて転職リスクを承知で社員の能力開発には積極的に支援することが必要でしょう。

近視眼の「K」


ここはベトナム人の人材育成に留意するべき項目になります。これは歴史的な背景があるのですが、過去不幸な戦争の歴史があったベトナムにおいては、将来への夢を語り、あるべき姿に向かって計画性を持って着実に取り組んでいくということについて苦手な人が多いです。今の問題にどう対処するかということに力点が置く傾向があり、物事に対する見方が近視眼的なところがあります。計画があやふやでも何とか帳尻を合わせることには長けているのですが、それが品質や能力レベル向上のネックになっているとも考えられます。私が講師となる研修では、計画性の視点を磨くことに重点を置いています。
個人生活においても、「明日の一万円より今日の1000円」という感覚があり、中長期の投資や計画立案より、直近の現金商売には身を乗り出す傾向があります。政府においても、投資回収に時間のかかる製造業への関心が薄いですし、多くのベトナム人にとっては不動産や株などの投資に関心が高く、また賭け事には異様なほどのめり込む人が多いという印象があります。

カカア天下の「K」


女性がしっかりしていて強いというのはベトナムでは自他ともに認める常識です。これも戦争の歴史的背景もあり、男手は戦争に取られ、家を守るのは女性の役割との意識が強かったからかもと思っています。しかし、家を守るというのは、家庭に入るという意味ではなく、稼ぎ頭も女性であるということです。また勉強好きなのも女性が圧倒的に多く、実際事務管理系の人材の9割は女性で占められています。それでは男は何をしているのかということになりますが、一般的にはあまり働かない人が多いです。それでも家を継ぐのは男性という伝統が生きている社会で、子供は何とか男がほしいという人が多いですね。
そういったしっかりした女性が家族も社会も支えているベトナムですが、ほとんどの家庭は恐妻家です。男はあまり働かずに女性が稼ぎ支えているだけに、女性は凄まじいほどの嫉妬心を持っています。よく聞く話ですが、ベトナム人女性は恋人や夫に対して心から尽くすのですが、その分束縛もきついようです。浮気をされようものなら大変なことになります。ベトナムでは凶悪犯罪事件はあまりありませんが、よく新聞に載るのが、男女間の揉め事による殺人事件とか、阿部定のような事件とかを多く目にします。

ベトナム人は一概にこうだということを言うつもりはありませんし、人によって違うのは確かです。ただ、国民性の違いについては理解をして対応しなくては、いつでも何でベトナム人はこうなんだというような、批判的な愚痴ばかりが出て、決して建設的な経営ができません。これはベトナムに限ったことだけでなく、企業が海外で事業を行おうとする際には、常に異文化適応ということをどれだけうまくコントロールできるかということにつながると思っています。

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