コラム

 公開日: 2016-03-15 

ベトナム人気質の特徴を踏まえたマネジメントの留意点



日本企業がベトナムに進出していろいろと戸惑うことも多いと思います。特に、ベトナム人と日本人は似ているところもありますが、気質も考え方も違うところがあるのが当然で、それらを十分理解することが必要です。一般的なベトナム人との付き合いというよりも、ベトナム人を雇用したときに、従業員として配慮するべき点を箇条書きでお伝えします。

① 会社への帰属意識は一般的には薄く、転職には抵抗が小さい。しかし、会社そのものに対しては家族的雰囲気を尊び、社員旅行、年末パーティや定期的な誕生会などの社員コミュニケーションの機会は非常に重要。

② 家族は何ごとにおいても最優先。突発的な残業は嫌う傾向があるが、仕事にモチベーションを持てば、とことんまで頑張る人も多い。

③ 情報共有意識が希薄なためチームワークが苦手、退職時の業務引き継ぎも不十分なケースが多い。横横の情報共有はあまり期待できないため、上下関係の職務分掌を明確にして。縦の情報共有を軸に、組織全体の情報共有の高度化を図る。

④ 組織としてのコンセンサス、平等を重視し、突出を嫌う傾向が強い。スタンドプレイは嫌われるため、ベトナム人社員間で足の引っ張り合い、チクリ、ブラックメールが発生するので、組織の一体感醸成と個人のモチベーションの維持、向上に配慮が必要。

⑤ 業者からのキックバックに対する罪悪感があまりない。横領、盗難、麻薬など犯罪行為にも注意が必要。就業規則に明確に書いてあったとしても、解雇、罰則だけではなく、根気よく啓蒙、教育活動を実施する。

⑥ 給与、ベネフィットについては社員間ではすぐに共有されるため、人事評価の透明性と公平性が重要。

⑦ 勤務評価、昇給、昇格については、将来のキャリアパスを含め、本人との徹底した面談で納得させる仕組みが必要。

⑧ 注意するべきベネフィットは、食堂のメニュー(食堂がない場合は食事手当)。同一工業団地内の企業間で、昇給率や食堂の食事の質に格差ある場合、退職者が増えることと相関性がある。

⑨ テト休暇前の従業員向けギフト、ボーナス支給金額、ボーナス支給日、テト休暇日の設定は、従業員の不満がたまりやすいベネフィット項目。ベトナム人総務に任せっぱなしだとリスクあり。

⑩ テトのときには目上が目下にお年玉を渡す習慣がある。会社内でも同じだが、会社としてはボーナスに反映させることで十分。一方、日本人上司がポケットマネーから直属の部下にお年玉を渡すと喜ばれる。

⑪ 社内公用語を日本語にした場合、ベトナム語しか話せない社員との断層に要注意。特に日本語を話す部門管理責任者が社内唯一のコミュニケーションチャネルとなった場合、自分に都合の悪いことを伝えないリスクが発生する。

⑫ ストライキの兆候は、トイレの落書きにまず出てくる。

⑬ 違法ストライキは社外にも飛び火する危険性がある。発生した場合は社内のみで解決しようとせず、直ちに工業団地管理会社の支援や政府の認可当局のサポートを得るようにする。日ごろから会合参加などお付き合いをおろそかにしない。

⑭ 北部と南部のベトナム人気質は異なる。特に、南部の社員を北部に転勤させることは相当困難。

⑮ 日本同様、解雇は簡単ではない。無断欠勤など勤務態度不良の場合は、必ず指導し書面で確認を残すこと。解雇となった場合、不良社員ほどマスコミなどに不当労働行為だとリークする脅しをかけてくるケースがある。基本は試用雇用期間終了時、1回目、2回目の有期雇用契約書の更新時に更新継続か打ち切りかの判断で対応する。

⑯ 公務員とのお付き合いについては、全て黒ではなくグレーな部分もある。許認可権限に直結する公務員へのベネフィット供与は明らかに贈収賄に該当。政府関係機関との情報交換の場を通じて、各機関の業務遂行に協力するという意味でのお付き合い、年末の挨拶訪問などは時には必要。しかし社会通念を超えた深い関係にならないよう留意するべき。

⑰ 携帯電話契約台数は2014年で1億3600万。カメラ(写真)でフェイスブックやインスタグラムなどを通じた個人情報発信が大好き。まだ情報セキュリティー意識が全体に薄いため、社内での情報管理には注意が必要。

⑱ 知財権意識も全体に低い。社内で配置しているパソコンにソフトを違法ダウンロードしていないか要注意。いきなり経済警察が査察で踏み込んでパソコンを調べるケースがある。摘発されて多額の罰金を払った日本企業もある。

まだまだいろいろとあります。しかし、これらはあくまで私の個人的見解、印象という面も含まれていますので、もし明らかな誤解や間違いということがあれば、是非ご意見を頂戴いただければと思います。なお、今回は箇条書きに留めております。詳しく内容を聞きたいという方がおられましたら、遠慮なくご相談ください。

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