コラム

 公開日: 2016-03-25 

ベトナムでの冠婚葬祭や宗教に日本人社員はどう対応するか



日本企業の海外展開において、冠婚葬祭にどう対応するかというのは悩ましいところですが、現地習慣、文化を尊ぶ精神を持って、相手の立場に立って素直な気持ちを行動と形に表せば良いのではないでしょうか。海外での宗教の問題は非常にデリケートです。従業員はそれぞれ信じる宗教があります。また国によっても宗教への対応は大きく異なります。ただ、企業にとってはどの宗教に対しても常に謙虚な姿勢を心掛け、ある意味どの宗教も扱いを変えることなく、ニュートラルな立場で従業員の宗教を尊重するということが重要かと思います。

特にイスラム教徒が多いマレーシアやインドネシアでは、戒律に配慮した人事管理が求められ、宗教の違いによる従業員間での諍いや経営側との対立などが起きないよう細心の注意が必要です。

一方、ベトナムは仏教徒が8割を超えている一方、キリスト教徒もいますしイスラム教徒も数は多くはありませんがいます。つまり構造的にも宗教に寛容なところも日本と非常に似ていますので、日本人出向社員にとってはあまり違和感がありません。むしろベトナム人の多くが定期的に寺を訪れ参拝することに熱心な姿を目にする機会が多く、自分自身の先祖や神様に対する感謝の念が薄いことを反省させられることがあります。

ベトナムでの葬儀への出席


ベトナム人にとって一番重要なのは葬儀であると思います。それは先祖を思う気持ち、家族を大切にする国民性を考えると当然のことです。近親者でなくても親戚に御不幸があると休暇を取得します。有給の慶弔休暇ののルールは就業規則に明記されますが、通常両親、子供、配偶者の両親の死亡時には3日です。しかし田舎に帰っての葬儀のため、年次有給休暇(年12日)を組み合わせてもう少し長く休んだり、近親以外の葬儀にも出席するため休暇を取るのが普通です。
会社としてはできる限り出席させてあげられるように配慮することで、会社や上司の暖かい気持ちでモチベーションが上がることに繋がれば素晴らしいと思います。

休暇への配慮も大事ですが、社員を家族の一員のような気持ちで扱っているということを示すという意味でも、日本人トップや上司、同僚の何人かが一緒に弔問に行くのは非常に感謝されます。多忙で仕事がある中、わざわざしかも日本人のボスが来てくれたというのは、大変名誉なことであり、親戚一同にも暖かい気持ちがひしひしと伝わるのです。いい会社で働かせてもらっているなという評判に繋がり、こういったことの積み重ねが社員の定着率の高さにも反映してくるということを認識するべきかと思います。

ベトナムでの結婚披露宴への出席


若い人が多いベトナムですので、従業員が結婚し披露宴に招待を受けるのは、葬儀よりも遥かに機会が多いです。ただ日本と違っている点もいろいろとあります。まず、招待を受けるのが直前であるケースが非常に多いということです。私も部下が結婚するのを聞いていて、いつ結婚式を行うのかな、もうそろそろかなと思っていたところ、いきなり一週間後という招待状を受け取り、そのときにはビジネスの予定が詰まってしまっていて、残念ながら出席できないということが何度かありました。一か月前ぐらいに予定を教えてくれていれば、優先的にスケジュール調整できていたというのがほとんどです。

この事態が多く起こるのは、招待者数の多さによります。日本の結婚披露宴では親戚や来賓、親友などを中心に絞り込み、豪華な料理を出して宴を催すのが普通ですが、ベトナムではできる限り多くの知人をレストランなどを借り切って食事を出すか、家の前にテントを張って、その下で近所の方々にも食事を振舞うというのが一般的です。したがって、招待者を絞る意識はあまりないので、招待状もぎりぎりになって多くの人に渡していくというパターンです。

このような結婚披露宴ですから、あまり肩肘張ったものではなく、ワイワイと皆で祝うという雰囲気です。葬儀同様、結婚披露宴に日本人幹部社員が出席することは大変喜ばれます。日本企業に勤めていながら、ローカル社員だけで祝ってもらうというのもおかしなもので、それこそ極力都合をつけて日本人幹部社員は顔だけでも出しておめでとうの一言をかけてあげることが非常に重要かと思います。

もう一つ困るのは、宗教的な縁起から結婚式を平日の昼間に行うことが多いのです。披露宴が夜とか土日で、しかも会社の近所で行われるのであれば、都合をつけて駆けつけることもできます。しかし、新郎新婦ともハノイやホーチミンで働いているのに田舎が地方の場合、両親や親戚のいる遠い田舎で行われることがあります。そうなるといくら出席したくても無理なので、その場合は職場から誰か代表者として出席してもらう工夫が必要です。

ご祝儀や香典


冠婚葬祭に出席する場合には、日本と同様いくらか包むわけですが、日本のように何万円も渡す必要はありません。最新の相場はわかりませんが、今から2年前はだいたい自ら出席する場合で50万ドン、他の人に託して持って行ってもらう場合で20万ドンぐらいでした。また直属の社員であるか、会社トップとしてご祝儀や香典を渡す場合でも、多くてその倍ぐらいかと思います。ベトナムではお返しの習慣はありませんので、金額が少なくとも気持ちがこもっておれば十分だと思います。お金をいくら包むかというよりも気持ちを込めたプレゼントか花をあげる方が良いかも知れません。こうでなければならないというものではありませんので、冠婚葬祭は従業員との繋がりをさらに強くするための機会として捉えてはいかがかと思います。

この記事を書いたプロ

リープブリッジVJ中小企業診断士事務所 [ホームページ]

中小企業診断士 杉浦直樹

大阪府大阪市中央区久太郎町4-2-15 星和CITY BLD御堂ビル6階 御堂筋センターオフィス内 [地図]
TEL:06-7878-6531

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
海外赴任者研修

海外事業の成功には、海外要員、特に海外出向責任者に対する徹底した経営研修が必要です。経営スキルが不足している日本人社員を海外拠点の責任者として赴任させる...

 
このプロの紹介記事
リープブリッジVJ・杉浦直樹さん

海外進出を図る企業を総合的に支援(1/3)

 中小企業診断士の資格を持つ人は、国内に大勢います。しかし、海外に目を向けて、中小企業の立場に立って機動的に一緒に現地へ赴き、全般的に海外展開支援できる独立診断士は、それほどいないでしょう。リープブリッジVJ中小企業診断士事務所代表の杉浦直...

杉浦直樹プロに相談してみよう!

読売新聞 マイベストプロ

みなさまの海外での事業展開を全力で応援します

会社名 : リープブリッジVJ中小企業診断士事務所
住所 : 大阪府大阪市中央区久太郎町4-2-15 星和CITY BLD御堂ビル6階 御堂筋センターオフィス内 [地図]
TEL : 06-7878-6531

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

06-7878-6531

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

杉浦直樹(すぎうらなおき)

リープブリッジVJ中小企業診断士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
新興国展開での人材育成の注意点
イメージ

中小企業が新興国に事業展開して一番苦労されるのがヒトのマネジメントです。特に人をどう採用し、育てて事業経...

[ 海外事業の人事労務管理 ]

外国人技能実習制度の問題に思う
イメージ

外国人技能実習制度が導入されて約20年になります。しかし、近年では本来の目的とは違った運用、つまり日本で...

[ 雑感 ]

人を大事にする経営は企業の社会的責任
イメージ

先日、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者で有名な坂本光司先生の講演を聞く機会がありました。以前より...

[ 経営戦略 ]

ベトナム進出後の課題に寄り添う
イメージ

中小企業のベトナム進出を検討するにあたっては、ジェトロなどの公的機関の支援制度や大手コンサルタント、会計...

[ ベトナム投資 ]

ベトナムサッカーの歴史的快挙に拍手
イメージ

日本ではあまりニュースになっていませんが、U19のサッカーAFC選手権がバーレーンで行われ、日本は決...

[ ベトナム人との付き合い方 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ