コラム

 公開日: 2016-05-09 

勉強熱心なベトナム人


ベトナムに赴任してまず最初の新鮮な驚きは、ベトナム人が非常に勉強熱心であるということでした。ベトナムが大好きだという日本人の話の中に、日本が戦後から高度成長時代にかけて一生懸命頑張ってきた姿が今のベトナムと似ており、ベトナム人に昔の頑張ってきた自分とその歴史を投影しているように思えてくるということがよく出てきます。頑張ることで明日は今日より豊かな暮らしになるということを日々体現しているのが今のベトナムです。一人あたりのGDPはASEANの中ではまだまだですし、実際フィリピンよりも下のランクという実態はあるものの、着実に経済発展は進んでいます。

今日より明日の暮らしをよくしたいという思いは強く、社会経済発展のためにも人材育成が重要であり、先進各国とりわけ日本から多くのことを学んでいきたいという要望は、国や社会全体としても、また企業や従業員のレベルでも大変強いものがあります。その要望に対して、日本政府や企業でも積極的にODAや様々な社会貢献活動を展開しています。ODAと言えば、道路や鉄道、港湾などインフラ整備に対する円借款や無償資金援助などが筆頭に挙げられますが、実際には技術援助や人材育成などのノウハウや人づくりでの支援活動も、もう一方の柱として官民挙げて支援活動を進めています。
私も微力ながらもJICAの支援専門家として、ベトナム経営人材の育成のための「経営塾」の講師でお手伝いさせていただいております。その経営塾での生徒(といってもベトナム企業の経営者クラスです)は非常に熱心に参加されていて、一人ひとりの能力は決して日本人に引けを取りませんし、少しでも日本経営のポイントを学んでいこうという姿勢が高く、こちらが勉強になることが多い経験をさせていただいています。

ベトナムは識字率は94%とASEANの中でも非常に高い国の一つであり、ほぼ全ての人が文字を読めます。この識字率の高さと勤勉な国民性、手先の器用さから、日系企業の要求する高い技術に応え、高品質な製品を低価格で作り出すという点で、ベトナムでの製造業展開は非常にメリットが大きいと言われてきました。また、ベトナム人は非常に教育熱心です。義務教育はそれなりに整備されていますが、無理をしてでも子供たちに塾通いをさせ、少しでも高い能力をつけて良い職業につけさせてやりたいという親が多いです。また親自身も夜学に通って資格をとり、給料のよい仕事で転職したいと考えている人も多いと言えます。

日系企業の従業員の教育においても、企業ごとに研修体系を整備して、様々な研修プログラムを提供していますが、研修に参加するのを嫌がる従業員はまずいません。本人にとっては研修でスキルを上げて、最終的には給料を上げてもらいたい、また他へ転職したいという動機がありますが、一般的には前向きに能力向上の意欲が高いため、そういった場を提供することは、ベトナムの発展に寄与する人材を輩出する役割を企業として担っているという社会的責任の面でも、転職リスクを覚悟しても人材育成に積極的に取り組むことが求められているのではないでしょうか。

会社としての研修だけではなく、個人的に夜学に通っている人は非常に多いです。特に、日本語、英語、フランス語、ドイツ語、中国語などの語学学校や、チーフアカウンタントなどの経理資格学校やMBAなど様々な学校が大都市にあります。会社の管理部門などで働いている人ほど、さらにスキルを上げていきたいと思っていますので、会社が夜学に通える距離や終業時刻となっているのかということは、優秀な人材を集める意味でも条件の一つとなっています。

まだベトナムは付加価値を自ら創造していくうえでの経験が不足しています。そのため物づくりにおいても、低労働コストをメリットになっている限りは、なかなかノウハウから高付加価値を生み出す産業のレベルに達しておらず、飛躍的なGDP増にはつながりません。しかし、勉強熱心なベトナム人がこの調子でスキルを上げていくことにより、必ずや近い将来大きく成長していくことに間違いないと信じています。

一方、日本人の若者の現状に憂いを感じているのは私だけでしょうか・・・・・

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