コラム

 公開日: 2016-06-22 

ベトナムの経営者と触れ合って改めて知る企業理念の大切さ


先週に引き続きベトナム滞在中です。今週末まで経営塾の講師としてホーチミンのベトナム人経営者向けにビジネスプランの研修をお手伝いしています。先週のハノイでの経営塾の後、過去に経営塾を卒業された経営者グループによる研修会で講演させていただくなど、この2週間で実に多くのベトナム人経営者との交流を図る機会に恵まれました。

以前ベトナムで勤務していたときでも、だいたいの仕事は日本とのコミュニケーションであったり、ベトナム法人内での管理業務が中心であったため、ベトナムでの社外との交流、特にベトナム人経営者との接触の機会はそう多くありませんでした。片言のベトナム語を理解したり話したりすることはできますが、相当難しい言語ですので、仕事となるとベトナム語で積極的に交流することもできず、どうしても通訳を通して行うか、英語でのやり取りになります。よって十分な意思疎通が図れているとは言えませんが、これだけの短期間に多くの方と話ができたのは貴重な経験になりました。改めて気づくベトナム人の姿や考え方、またベトナム人を通じて知る企業理念の大切さに思いを強くしました。

ベトナム企業の弱点、成長していくうえでのアキレス腱


今回の経営者グループでの研修会で、私に話してほしいというテーマとして与えられたのが、「日本の投資家の目から見たベトナム企業」でした。この研修会で話すことを正式に依頼してきたのもわずか4日前という如何にもベトナムらしいところでしたが、ベトナム人経営者としての気づきになってほしいという思いもありましたので、ストレートにいくつかのポイントで申し上げました。

① 経営理念や長期ビジョンを持って経営している企業が極めて少数

・ パートナー(取引先)企業や顧客の信頼獲得に関心が低い
・ 研究開発や人材育成に積極的に取り組んでいる企業が少ない
・ 企業としての社会貢献意識が乏しい

② 投資資金の獲得手段(低利融資、債務保証、社債)が乏しく
   家族・友人に頼るため、経営スケールが小さい

・ 金融機関が脆弱で産業育成の役割を果たせていない
・ 設備が老朽化して新技術関連産業が育たず、国際競争に耐えられない

③ コンプライアンス意識が低く、情報開示も不十分

・ 低い社会的責任意識と経営の透明性の低さ → M&Aや民営化の障害

④ 政府に戦略的な産業政策、中小企業支援政策がほとんどない

・ 外資誘致頼みの政策に加え、複雑な行政手続きが多く国内産業が高度化せず

⑤ 前近代的な経営手法から脱皮できないため外資に対抗できない

・ 「コネ」に頼る経営に強く依存、経営戦略も計画もほとんど立てられていない
・ 中小企業は技術も人材も経営ノウハウも乏しく産業基盤に成り得ていない

まさしくこれらはベトナム企業、産業界の構造的な弱点と言えます。この弱点を抱えたままでは、TPP発足後の国際競争には勝ち抜くことは大変厳しいと思います。

日本はベトナム企業をどう見ているかに関心


今までは、ベトナムは外国からの投資を積極的に受け入れて経営を学び、発展をひたすら目指す意識が強かったと思います。実際日本がベトナム企業をどう見ているかについての意識はあまりなかったと思います。しかし、だんだんとビジネス経験を積み、日本企業と直接取引を開始するベトナム企業も増えてきた中、日本の投資家はベトナム企業をどう見ているのか、ビジネスを始めるにはどのような観点から評価し判断するのかということを大変気にするようになってきています。それだけ成長してきたからだと思いますし、これから両国の関係がますます強くなってビジネス機会が増えていくことの証左です。

以前のコラムにも書きましたが、ベトナム企業が日本企業と取引を成功させるには、日本企業が一番大事にする「信頼」をいかに獲得するか、そのためには約束を守る、相手の立場に立って誠意を尽くし、取引先や顧客の価値向上にいかに貢献していくかということを企業理念に据え、共存共栄の成長パートナーとして相手から信頼されることに全力を傾けることとベトナム人経営者に話したことがあります。常に周囲に感謝の気持ちを忘れず、いただいた信頼に対しては何があっても裏切らないこと、これが一番大事であることをベトナム人との交流を通じて改めて気づかせてくれました。「信頼に対する裏切りは絶対に許さない」この日本人のメンタルを理解できる外国企業であれば、必ず日本企業と強固な関係を築きビジネス拡大するのは間違いないでしょう。

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