コラム

 公開日: 2016-09-08 

中小企業は人を100%以上生かす


独立開業する前のパナソニック勤務は34年にもなりますが、現役時代は事あるごとに創業者の松下幸之助翁について研修を受けました。仕事を実践するうえでも創業者の哲学は寄りどころでした。私たちは世の先駆者の業績や偉大さについて学ぶたびに己の未熟さを知るとともに、心から尊敬することが多いように思います。もちろん松下幸之助創業者が唯一尊敬する対象というわけではありませんが、次世代に多くの名言とともに経営についての教えを残されており、改めて創業者の考えや教えが没後何年もたった今も、決して色あせることなく私たちに様々な示唆を与えてくれます。特に、パナソニックを退社後、自分で事業を立ち上げた立場から、経営者として学ぶことが実に多く奥深さを感じるようになりました。現役時代よりむしろ松下幸之助翁について勉強する機会が増えたように思いますし、何故中国やベトナムを含む東南アジアの各国でも、松下幸之助を研究され幅広く支持を受けているのか段々とわかってきたような気がします。

今まで中小企業支援の観点からいろんなテーマのコラムを発信してきましたが、あらためて松下幸之助翁が残した名言について振り返ることで、中小企業の経営者にとって、経営のコツや海外展開について参考になるようなトピックを選んで紹介したいと思います。

まず第一回目のテーマは、「中小企業は人を100%以上生かす」です。
先般のコラムで日本企業の生産性の低さについて書きました。松下幸之助翁は、生産性は人間の能力をどう生かすかにかかわっていると言います。しかも人を生かしている、また十分に生かすことができるのは中小企業の強みであり、むしろ大企業は人を十分に生かしておらず能率が悪いと言っています。この名言は昭和55年に出された「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」に入っているものですから、おそらく今から少なくとも40年以上前に話されたことだと思いますし、改めて今でも通用する生産性の課題についてヒントを与えてくれるものと感じます。特に、大会社は非常に立派な素質ある人をかかえておりながら、それらの人々の能力を殺して使っている、というくだりは、当時の松下電器自体の自省でもあったといえると思いますし、同時に、何十年たっても大会社は抱えている優秀な人材を生かしきれない変わらない経営実態は、社会的損失でもあると思います。大会社で優秀でも生かされていな人材は、もっと活躍できる中小企業発展のために転職したり、独立開業するなりして社会全体の生産性を高める貢献を目指すべきではないかと思うのです。

中小企業は人を100%以上生かす ~松下幸之助~


 人間の能力というのものは、いつも固定したものではないと思います。その人がおかれた場所場所によって、十の能力の人が二十の働きをしてみたり、二十の力のある人が十の働きしあしなかったり、ということがあり得るものです。
 ですから、人の配置というか、もっていき方というものが非常に大事だと思います。もっていき方一つで、その人の能力が大きく生きたり死んだりするわけです。
 そういうところから大企業というものと、中小企業というものを考えてみますと、だいたいにおいて中小企業ほど能率がいいと思います。大企業ほど能率が悪く、人々を100パーセント生かして使っているというところは少ないようです。中小企業でもいろいろありますからいちがいにはいえませんが、大別してそういうことがいえると思うのです。
 大会社では、非常に立派な素質のある人をかかえておりながら、それらの人々の能力を殺して使っている面があります。それは、そうならざるを得ないような仕組みになっているからだと思います。
 日本人の国民感情というものは、組織が大きくなるほど極端に能率があげにくい状態になってきます。なかでもいちばん能率のあがらないのはお役所ではないでしょうか。お役所の人は働かないのでなく、働けないのでしょう。のびのびと働けないような情勢がモヤモヤとそこに渦まいていて、いわゆる事なかれ主義というような傾向になりやすいのだと思います。
 大企業もそういう面をもっています。企業が大きくなればなるほど、いわゆるお役所気分というものが強くなってきます。
 ところが、中小企業はそういうことをしていては、会社がやっていけません。ですからどうしてもいやおうなしに働かなくてはならないということがあります。
 また従業員が二十人とか五十人ということであれば、お互いの気心や動きがよく分かって、打てば響くすばやい動きができやすいということもあります。
 そういうことから、私は中小企業ほど人がその能力を十分発揮しつつ働きやすいところはないし、また実際よく働いていると思うのです。
 世間ではとかく中小企業は弱いといいます。けれども、大企業が個々の人の力を70パーセントぐらいしか生かすことができなくても、中小企業は100パーセント、やり方によっては120ペーセントも生かすことができるわけです。
 そういうところに、中小企業の一つの大きな強みがあるように思います。その強みを中小企業は積極的に生かしていくということが、きわめて大切ではないでしょうか。
 また一方、大企業においては、組織なり制度なりの上で、いわゆる専門細分化をはかるなどして、一人ひとりの社員がそのもてる力を十分発揮できるような環境づくりを、絶えず心がけていく必要があると思うのです。

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