コラム

 公開日: 2017-01-17 

人生は何を残すかで評価が決まる


今月、還暦を迎えます。今までの人生で何度か節目がありました。今振り返ってみると、あれが人生の岐路に立って選択をした出来事だったということが思い出されます。でも、そう何度もその後の人生を左右した岐路での選択の場面はなかったと思いますが、今数えなおしてみるとだいたい10回ぐらいはあったと思います。それが一つでも反対の選択をしていたら、確実に今の人生はなかったことは確かです。その意味では、人生というのは奇跡の積み重ねであるというのを今還暦を迎えるにあたり強く感じています。

一番近いところの岐路でいえば、3年前57歳のときに会社を辞めて独立することを決断したことでした。そのとき初めて残りの人生で自分に与えられた役割とは何か、人生を全うすることの意味とは何か、とことんまで悩み抜いたのを覚えています。単身赴任のベトナムのアパートで、3日間考えに考え抜きました。退職を考える要因というのは別にあったのですが、それはあくまできっかけであって、何となく60歳までの自分のぼやっとした仕事の役割しか考えていなかったのが、そのきっかけによって人生の岐路に立っているのだという意識が次第に強まってきたのです。それはある金曜日のことでした。そして、タイミングとして人生の選択は月曜の朝までがデッドラインでした。その土日はほとんど食事もせず、アパートの床を転がってぼーっと考え込んでいたのを覚えています。そして結論は早期退職に至ったわけですが、直接的には残りの定年までの自分の姿が何も想像できなくなり、ああ自分の34年の会社人生での役割はこれで終わったと吹っ切れたのが日曜の夜でした。

これが人生の岐路として正しい判断であったかどうかはわかりません。でも、そういった選択が人生の積み重ねなんだということを改めて感じます。独立して3年間それなりに頑張ってきたと思いますが、決して成功したということも言えないと思います。ただ、今までと同じ3年間のやり方ではだめだというのは感じていました。そこで何のために今の事業を独立開業したのか原点に振り返り、今一度事業の理念、ビジョン、目標をしっかりと立てることを外に向かって宣言するべく、私は今の事業を今年4月をめどに法人化することを決めました。法人化がよいか、個人事業のままでよいかといった、どちらが得か損かというのではなく、本来の事業に対する思いを社会のためにつなげていくためにも、社会の公器としての責任を果たすべく法人化を行うべきと判断したのです。

人生で後世に何を残すか


人生の成功者とは、「お金をたくさん儲けて裕福な暮らしを実現した人」でしょうか?それとも、「事業を拡大して利益を上げて税金をたくさん納めた人」でしょうか?「多くの人から尊敬されるようになる」ことでしょうか?

プロ野球の野村元監督はいろんな人生訓を「野村語録」という形で話されます。好き嫌いはあるでしょうが、いくつか印象に残ることも言われます。その中に次の言葉があります。

人間は何を残すかで評価が決まる。
「金を残すは下」
「仕事を残すは中」
「人を残すは上」

おそらく若い人にはもうひとつピンとこないと思いますが、この言葉の奥深さは、人生が後半に差し掛かり今まで生きてきた意味を考える年齢を迎えた人にとってはずしんと来るところにあるのです。人生の評価は、次世代にお金を残してあげることより、仕事を残すつまり事業を継承することのほうが尊い、そしてそれよりも尊いのは、次世代に人材を育て残すことにあるということです。会社を退職して、企業の成長戦略のお手伝いをさせていただいている今、この言葉の真のすごさを感じるのです。やはり社会は人で成り立っているのであって、人を次世代に残せない人生は貧しいとも言えます。長い会社人生でいったいどれだけの人材を育て残すことができたのか深く反省させられます。

この野村元監督の言葉は本人が考えたものではないようで、明治時代の偉人の後藤新平が言った言葉のようです。ただ、100%人生の評価は人材を残せたかが大事というわけでもなく、財や仕事も残すことは、人を残すこと以上に大事だという意味にも捉えることができます。後藤新平の言葉は、

「財を残して死ぬ奴は下」
「事業を残して死ぬ奴は中」
「人を残して死ぬ奴は上」

ここまでは同じような表現なのですが、このあとされどと続きます。

「財を残すは下、されど財無くんば事業保ちがたし。事業残すは中、されど事業無くんば人育ち難し、人残すは上なり」

つまり人生において次世代に人を残すのは一番評価されるべきことではあるが、それを実現するには事業を繋げていかなくてはならず、事業を繋げるにはきっちり利益を上げて財を残していかないといけない、という意味と解釈しました。次世代に何を残すか?財も事業も人も大事、それぞれ尊い。でも究極的には人をいかにして育て繋げていくか、これに尽きると思うのです。したがって、人を残すには仕事も財も必要ではあるが、儲けるだけ儲けて巨万の財を作り、雇用で貢献することもなく、人も育てずに多額の遺産を残して死んでしまった人は、何のために生きてきたのかと評価せざるを得ないのではないかということを、晩年に向かって節目を迎える今、強く思いを致しています。

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