コラム

 公開日: 2017-10-12 

インドネシア赴任新ディレクターに最初にしてほしい3つの確認

 中小企業のことであり、かつて、私は、インドネシア人従業員150名の現地法人に、ただひとりの日本人として、現地ディレクターという肩書きで赴任することになりました。後になって、やはり、しておいて良かったと思う、赴任当初の3つの確認事項があります。

 それは以下の3つです。
1.在庫の実地棚卸しと帳簿上の在庫金額との照合確認
2.システム上の個別在庫単価、仕掛在庫品の計算方法と実際の帳簿との照合確認
3.各通貨現金の実際の銀行有り高と帳簿残高との照合確認

 初めての赴任となれば、他にも確認すべきことは山ほどある訳ですが、これらの実際残高と帳簿額に違算がないかどうかを調べることで、引継いだ時点での、帳簿の出来具合の大要を、短期間につかむことができます。期中に決算をもう一度行うようなものですが、先任者からの引継内容を、より明確にすることになります。そのため、インドネシアだからということでなく、日本でも、支店長交代などの際に、在庫など支店管理資産がある場合には、引継書や財務報告書という文書の内容が実際の姿と合っているかどうかを調べることは、メリハリをつける、必要な手間となるはずです。

 それは、決して、先任者を疑って行うものでありませんが、残念ながら、私の場合、結果として、疑わなければならないという結果になりました。実地棚卸しを行うことで、実際の有り高が、帳簿上の数値に比べて大分少ないということが分かった訳ですが、違算の理由はいろいろと想像することができます。

倉庫から、生産工場への材料出庫が少なく報告されている
実際の仕入数より、入庫が多く報告されている
在庫管理単価が仕入の実態に合っていない

などですが、こうして、各部署にそれらの確認を、現時点からさかのぼれる範囲での照合を指示すると共に、月次決算書で報告されている在庫明細がどのように組立てられたのか、その在庫品単価に不適当なものがないかを確認せざるを得なくなります。

仕入単価 ⇒ 仕入担当
入出庫報告 ⇒ 倉庫担当+仕入担当
在庫単価管理 ⇒ 倉庫担当+仕入担当
月次棚卸金額 ⇒ 管理部長+工場長

私の場合、以上のような担当責任者割り振りになっていることを確認してから、それぞれに、各要素の確認を求めましたが、結果として分かってきたことは、担当責任者というのは、名ばかりであり、それぞれが、部下に文書作成を口頭で命じて、報告された内容を禄に見もせずにサインを入れてそのまま経理へ回していたという業務の実態でした。

 そして、私より英語やインドネシア語が堪能で、商社で長年海外管理をしてきたという先任者の方自身も同様に、報告された種々の文書に、半ば以上、その内容を理解しないまま、署名してきたという姿が浮き上がることとなった訳です。

 なぜこういうことになるのか?その後、何度も考えさせられました。一刀両断に一言で言うなら、不適格な人物が特定のポジションに就いたから、ということになりますが、これは、役職を持たせれば、役職者らしくなる、その地位に相応しくならなければならないと高をくくっている、その会社の文化、つまり、オーナー経営者の考え方が反映した姿ではないだろうかと思うようになりました。

 部下は上司に対してとても弱い存在です。良い話しは聴くが、悪い話しには無関心、あるいは、拒絶反応だけ示すとなれば、部下は、口をつぐみ、耳障りの良いことしか社内で話さなくなるということが、その「上司」というポジションに就いてしまうと分からなくなってしまうということは、日本もインドネシアも同じことであると痛感することとなりました。

 確認事項の最後ですが、自社の預金残高がいくらあるのかを最も正確に示すのは、自社で制作している元帳ではなく、取引銀行の入出金明細書か残高証明書です。少なくとも、月に一度、できれば、毎週、銀行残高を銀行側が証明する文書を入手し、自社の元帳残高と照合するということが行われる必要があると考えた方が、より確実と言えます。

 会計は、事実や実態をそのまま表わしてこそ、本来の意義、経営に利用することができますので、実務を良く知る人こそ、会計の経営としての使い方を練習すれば、文字通り、経営をしていると自信を持てるようになると思います。税務署などへの報告を財務会計、制度会計などというのに対して、経営に利用する会計を管理会計と言います。私自身は、管理という言葉より、経営の方が相応しいと考えているので、経営会計と勝手に言葉を変えて話したりしますが、財務会計は、税理士、会計士という専門の外部顧問に任せて、社内では、経営会計を、自社独特の方法で行うということを、一刻も早く習慣づければ、よりハッキリと経営の中のおカネの流れがつかめるようになります。

 話は、「インドネシア現地法人に赴任して最初にすべき3つの確認」ということでしたが、これから「はじめの一歩」を踏み出す前の、スタート地点をハッキリとさせるために、受け継ぐ経営の残高を、自分の目で、感じながら、まずは、しっかりとつかんでほしいということでした。後になってから、問題があったなどと言っても言い訳にしかなりませんが、最初に言えば、それは、報告、説明として、誰でも受け止めてくれるはずだからです。面倒ですが、残高突き合わせ、お忘れなく。

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