コラム

 公開日: 2014-02-21  最終更新日: 2014-07-11

男女間トラブル事件簿その6~LINE(ライン)やSNSによるストーカー被害に遭ったら

 スマートフォンの普及に伴い、従来の携帯電話のEメールよりも、LINE(ライン)で友人などと連絡を取り合うことが多くなったという方が随分増えているようです。
 また、Facebook(フェイスブック)などのSNSも当り前のように利用されるようになり、もはや一部の人達のものではなくなってきました。

 平成12年に成立・施行された「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」は、平成25年に一部法改正され、遅まきながら、電子メールを送信する行為も規制の対象となったわけですが、LINEやFacebookなどのSNSを利用して、執拗に書き込みを続ける行為についても、改正ストーカー規制法にいう「電子メールを送信すること」にあたり、規制されるのでしょうか。

 ストーカー規制法では、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、その特定の者又はその家族などに対して行う、以下の8類型の行為を「つきまとい等」として規定し、規制しています。

  ① つきまとい、待ち伏せ、立ちふさがり、見張り、押しかけ
  ② 監視していると告げる行為
  ③ 面会・交際その他義務なきことの要求
  ④ 著しく粗野または乱暴な言動
  ⑤ 無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール
  ⑥ 汚物などの送付
  ⑦ 名誉を害する事項を告げる行為
  ⑧ 性的羞恥心を侵害する事項を告げる行為

 これらのうち、LINE、FacebookなどのSNSが問題となるのは、⑤の「電子メール」に含まれるのかということです。
 この点について、警察庁は、平成25年7月3日付通達において、改正ストーカー規制法における「『電子メール』とは、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第1号の電子メールと同様」であるとして、「パソコン・携帯電話端末によるEメールのほか、Yahoo!メールやGmailといったウェブメールサービスを利用したもの及びSMS(ショートメールサービス。携帯電話同士で短い文字メッセージを電話番号宛てに送信できるサービス)は含まれるが、Facebookやmixi等におけるメッセージ機能等については、含まれないと解しています。

 では、現在よく使われているLINEはどうなのでしょうか。
 通達においては、LINEについて触れられていません。
 この点については、インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等における、総務省による「電子メール」についての以下の解説から類推できると思われます。

 「電子メール」とは、ストーカー規制法と同様に、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の第2条第1号の電子メールであるとした上で、「電子メールとして定義された2つの通信方式(『その全部又は一部にシンプル・メール・トランスファー・プロトコルが用いられる通信方式(SMTP方式)と、電話番号を送受信のために用いて情報を伝達する通信方式(電話番号方式)』)以外の通信方式を用いるもの、具体的にはフェイスブックやLINEなどのユーザー間でやりとりするメッセージ機能は、『電子メール』ではなく、『ウェブサイト等』に該当」するとしています。
 
 先の警察庁の通達とあわせ考えると、連続したLINEによるメッセージ送信は、ストーカー規制法による「連続した電子メールの送信」という規制の対象外であると解するのが、現時点では妥当なようです。
 しかしながら、LINEによるトラブルが多発している現状からすれば、LINEについても早急に規制の対象とすべきでしょう。
 一部の地方自治体では、迷惑防止条例を改正することによって、LINEやTwitterでのストーカー行為を規制対象にしようという動きもありますが、やはりストーカー規制法自体を法改正し、居住地域に関係なく規制対象となることが望まれます。

 なお、LINEやTwitterによるメッセージ送信は、「電子メールを送信すること」には該当しなくても、その内容が、前記の「つきまとい等」の「② 監視していると告げる行為」、「③ 面会・交際その他義務なきことの要求」、「⑦ 名誉を害する事項を告げる行為」、「⑧ 性的羞恥心を侵害する事項を告げる行為」などに該当する場合には、やはりストーカー規制法の対象となりますから、LINEやTwitterなら全く同法に抵触しないという理解は間違いです。
 さらに、LINEやTwitterでの連絡が、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知するような内容の場合には脅迫罪で罰せられるなど、態様によっては各種の刑法犯にも当然該当します。

 ネット上では、ごく限定された情報やコミュニケーションから相手が一見いい人のように思われても、実像は全然違っていたということは、決して少なくありません。
 ストーカー被害の予防という観点からは、LINEやSNSは、法律が現実に追いつくまで、慎重に、しっかりと自衛して利用することをお勧めします。

                                                        弁護士 中村正彦

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