コラム

 公開日: 2012-09-08  最終更新日: 2014-05-23

システまないキッチン

弊方ホームページ「システまないキッチン」より。
http://www.jin.ne.jp/oado/kitchenindex.html

既成のシステムキッチンは本当にクライアントの要望がシステマチックに叶えられているでしょうか?
「キッチンの長さは誰が2550mmと決めたのでしょう?」
「何故ワークトップの高さは85~90cmで一定に保たれているのでしょう?」
「何故タイルを貼ったシステムキッチンは無いのでしょう?」
唯一の答えは、メーカーのコストパフォーマンスに合わないからです。
製品を全て規格化してしまえば、大量生産が可能になり、コストダウン出来るとの発想から、顧客一人一人のささやかな要望は全て切り捨てられ、メーカーのメーカーによるメーカーの為のシステムキッチンが登場したのです。

で、本当に安くなったのかと云えば、ご存知の様にシステムキッチンは全然安くありません。
アメリカの大手キッチンメーカーは年間2500億円を売上げています。
日本の大手キッチンメーカーは600億円。
市場の大きさの違いが、売上の差だと云うのは判りますが、驚くのはその従業員数。
アメリカのメーカー6000人に対し、日本のメーカーは10000人いるのです。
アメリカで、600億円の売上しかない会社なら1440人しか雇えない計算です。
それを、日本では7倍近くの従業員を雇用しているのです。

600億円の市場規模の中で、一万人分の給料を払おうと思えば、システマティックに生産性を向上させるしかないのです。しかも、消費者はシステマティックになって、ささやかな要望も切り捨てられたにも関わらずその恩恵をこうむる事も出来ず、従前と変わらず高いキッチンを買わされているのです。
同じお金を出すのなら、自分の思い通りのキッチンを造りたいものです。キッチンメーカーはキッチンセットのことしか考えていません。 空間とキッチンセットの関わりが古臭い発想のままです。 別にシステマなくてもいいじゃないですか。

例えば、ご夫婦で楽しみながら調理や後片付けが出来るキッチン。台所と云う概念に囚われてしまえば、そこは作業空間であって、常時人がいる空間では無くなってしまいます。これでは、誰が作業するにしても、疎外感を感じ、労働の苦痛を伴います。
テレビでお料理番組がある様に、本来お料理を造る作業はもっと楽しいはずです。人が常時いるリビングにキッチンを配置すれば、疎外感を感じることも無く男も普通にキッチンの前に立てるのではないでしょうか?
古来、日本人は居間と台所を兼用する文化がありました。囲炉裏端がそうです。囲炉裏は暖房機を兼ねた調理器です。現代風の囲炉裏端をリビングに再現すれば今までに無い、キッチンが出来るのではないでしょうか。

キッチンとキッチンセットだけを考えずに、住まい方・暮らし方に少し工夫を加えるだけでそれぞれの暮らし方に合った、キッチンスペースが出来ると考えます。他人と足並みを揃える必要はありません。ご自分の思いのまま・ライフスタイルのままのキッチンが可能なのです。
キッチンセットそのものにも疑問がありあます。
何故シンクとクッキングヒーターが同じ高さにあるのでしょう?
シンクは水を溢さない為、15cm程低い位置が作業高さです。クッキングヒーターは鍋を載せる為15cm程高い位置が作業高さです。それを同一平面に揃えてしまうと使う時に腰を曲げたり伸ばしたりしなければなりません。非常に腰に負担がかかります。作業面に高低差を付けない事に疑問を感じるべきです。

キッチンは使う人が育ってきた家庭環境や生活習慣で、使い方がハッキリ別れます。
オープンキッチンを好む人、クローズドスタイルを好む人、機能重視の人、値段にこだわる人、今のキッチンメーカーが考えているシステムキッチンでは、必ずどこかで妥協しなければならない箇所が出来てしまいます。

少し見ただけでは、お洒落で清潔で近代的なイメージが出揃っているシステムキッチンですが、その使い方は、50年前と殆ど変わっていません。なるほど、レトルト食品が幅を効かせ、電子レンジの登場で調理のスピードアップはなされています。食洗機の登場で家事労働は少なくなってきています。

しかし、基本的に女性が料理を作り、配膳し、お給仕をし、後片付けをする事はキッチンメーカーの造るシステムキッチンでは、何も変えられないのです。家族が寄って集って、料理を作り、みんなで配膳し、各自でご飯を盛り、共同で後片付けをするキッチンが必ず出来るハズです。料理を作りながら、家族が今日の一日を話し合うなんて、なんと素敵なんでしょう。キャンプ場に行ったら、それが普通に出来るんですけどね。

システマチックに組み立てる事は、メーカーに都合良くても、ユーザーにとってあまりメリットが
生まれない様に思います。同じお金を使うのならば、自分の都合の良い様に使いたいものです。
日本の場合、家庭におけるキッチンの位置は常に、作業場的なイメージが付きまといました。
これからは用事が無くてもキッチンにいられる様な (いる事が普通の様な) キッチンを造りませんか?
そうすれば、キッチンを中心とした、革新的な間取りプランが今後、登場するでしょう。
日本の住宅をキッチンから変えていきましょう!!



この記事を書いたプロ

岡田一級建築士事務所 [ホームページ]

一級建築士 福味健治

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TEL:06-6714-6693

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