コラム

 公開日: 2015-04-03 

改ざんでイメージダウンも…免震ゴムの本来の力

【揺らぐ認定製品への信頼】
免震ゴムの性能改ざんのニュースは、姉歯事件以来の建設業界の信用を失墜させる大きな事件でした。
大臣認定を取得した製品に、問題が発覚したのですから、大臣認定制度のあり方が問われた事件の様にも思います。そもそも大臣認定は、過剰とも思える悪条件を、実大実験やシュミレーションを通じ、所定の性能が発揮される事を証明しなければ、取得出来ない制度です。認定を取得出来ても実験結果から、性能の限界が明らかになるため、使用条件等が定められ、その条件の範囲でしか使用出来ないのが、大臣認定品です。
【耐震偽装事件とは性質が異なる】
ただ、今回の事件は姉歯事件と異なり、免震支承(装置)に限定した事件だった事が救いでした。ゴム免震支承は建物の柱や梁の様に建物を永久に支え続ける構造にはなっておらず、定期的に点検を行い、劣化していれば交換が可能な構造になっているのです。ですので地震が発生する前にこの事件が発覚したのは不幸中の幸いと言えます。
【免震構造は本来優れた発想である】
免震構造は、建物の基礎の上に免震支承を配置し、その上に建物(上部構造部)を建てる構造ですので、理論上において上部構造部は地面から切り離されています。地震で地面が揺れても建物そのものが揺れない構造に出来るのは免震構造のみです。
耐震構造は、直接地震の揺れを建物に伝えてしまい、階数が上階に行くに従って揺れ幅が大きくなります。(激しく揺れます)
制震構造は、上階の揺れ幅を抑える事に効果はありますが、地震の揺れそのものを抑制する機能はありません。
免震構造の発想は、耐震・制震構造では実現できない、地震の影響を受けない構造物を構築する発想です。これを機会に、免震支承の性能向上につながれば、災い転じて免震構造の発展につながるかと思います。
【免震構造の本来の力】
以下は私的な見解ですが、免震構造が地震被害を防ぐ究極の工法ではないかと考えています。東日本大震災における福島第一原発の事故で、頻繁に耳にした免震重要棟と云う言葉も、免震構造の有用性を世間に知らしめる結果になったかと思います。あの時免震重要棟が地震で被害を受けていれば、福島第一原発は今以上に過酷な状況になっていた事でしょう。
今一歩踏み込んで云えば、原子炉建屋全体を免震構造にしていれば、被害はもっと抑えられたのではないでしょうか。原子炉の耐震構造は40年前の技術で作られた古い構造物です。仮に原子炉建屋が免震構造になっていても、電源が確保出来なればメルトダウンの危険は残されますが、原子炉につながる配管の破断は防げたはずです。
配管の健全性が担保されていれば、計画通り海水も注入出来たでしょうから、汚染水も大量に発生することは無かったはずです。燃料棒が海水で満たされていれば水素爆発も回避できたのではないでしょうか。
【大臣認定の信頼】
大臣認定は、国が認定する制度ですから、認定申請の不備を見抜けなかった責任は当然国にもあります。大臣認定製品の信頼を回復するためにも、どう言う経緯でデータの改ざんが行われたのか、何故それが見抜けなかったのか、関係者一同は包み隠すことなく、真相を究明してもらいたいものです。

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