コラム

 公開日: 2016-01-20  最終更新日: 2016-01-21

阪神大震災から得られる教訓を国は活かしているのか

阪神大震災が発生して21年目を迎えました。まだあの時の事は昨日の様に覚えていますが、地震対策は進んでいるのでしょうか。政府が公式に発表してるのは、建物の耐震化率は70%を超えた。あと10年で90%まで持っていきたい。と云うものです。しかしこれは、はなはだお寒いお話しですが、大きなごまかしがあります。
政府の云う耐震化率とは、建物が現行の建築基準法に改正されてからの建物が70%を超えたと云っているにすぎません。建築基準法は細かな改正は毎年されていますが、地震に関する大改正が行われたのは昭和56年までさかのぼります。つまり今から35年前の建物も耐震的に安全だと云っているのです。

一般的に木造建物で、35年前の建物と云えば不動産価値はありません。中古住宅も土地値で取引されています。そう云う老朽化した建物まで含めて70%を超えたと発表してるのです。当然新しい法律で建てられた建物ですから、新築当初は所定の耐力を有していたでしょう。しかし、そこは人間の造るモノですから、出来上がった時の性能が最もよく、何もしなければ35年も経てば老朽住宅と呼ばれてしまうのです。

本当に政府が耐震化率70%以上と豪語するには、車の車検制度と同じ様な家検制度が必要です。10年に一度くらい専門家による診断を受けて、老朽化している部分は補修すべきです。マンションや事務所ビル等には定期報告の義務があるのですが、個人住宅にはありません。あくまでも個人の責任において家を管理するのが本筋であると云う考えからです。
しかし、報告義務が無いのを良い事に、全く手を加えず朽ちるに任せている家が圧倒的に多いのです。

関心の無い人たちは、「地震が来て建物が倒れたらそれまでだ。死んだあとの事なんてどうでもいい」と考えています。
自分はそれでいいでしょう。しかし、倒壊した建物が火元となって火事が発生したらどうですか?建物の下敷きとなって助けを待っている人の命も同時に奪う事になるのです。事実阪神大震災では、電気が復旧した区域から次々に火の手があがりました。それにより家の下敷きとなって助けを待っていた人たちが生きながら焼かれていったのです。
この悲しみを忘れないで
行政は、防火地域・準防火地域の範囲を広め都市の不燃化を進めていますが、建物が新築されないことには不燃化が進みません。根本は既存建物の耐震化です。最近のストーブやコンロは揺れを感じると自動消火するようになっています。建物が倒壊しなければ、電気が復旧しても失火することもないでしょう。

将来襲うであろう、大震災に備えるならば家検制度を法制化して、強制的に建物の耐震化を進めるべきです。
政府が積極的な耐震化を推し進めないのであれば、建物所有者各自が建物の耐震化に取り組むべきです。
「お金が無い」はもう言い訳になりません。
日本も損害を被れば、加害者に対し損害賠償を請求する訴訟社会になって来ています。自分の所有する建物が原因で第三者に損害を与える様な事があれば、耐震改修費用どころでは済みません。
住宅が密集した都市環境は、それなりの利便性があるから密集するのです。その利便性だけを享受して、自分が負うべき社会的責任には目を背けるのはいかがなものでしょう。
お風呂やキッチンを新品にするのも良いですが、住宅の耐震化も今一度真剣に考える時が来ています。

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一級建築士 福味健治

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