コラム

 公開日: 2017-02-28 

セルフジャッジの悲劇

家造りに於いて建築士が存在しない現場は紛争のリスクを常に伴います。セルフジャッジをしてしまう為です。セルフジャッジは建築主にとって被害者意識を増長させ、施工者側に立ってみれば建築主をクレーマー扱いする要因になります。
例えば施工不良にジャンカと言うものがあります。

ジャンカとはコンクリートを打設する際に、突き固め不良で型枠の中に空気層が残ってしまい、十分にコンクリートが充填されずスになった状態です。
ただ出来上がってしまったコンクリートを撤去してやり替えるケースは稀で、殆どの場合補修で修復可能です。コンクリートと云うのは圧縮・引っ張り・せん断・曲げと云った加わる力の要素のうちで、圧縮にだけ効果を期待している為で、その他の引っ張り・せん断・曲げの力に対しては鉄筋が負担しています。そのため母材のコンクリートより高強度なコンクリート又はモルタルで補填してやれば補修は完了します。

仮に工事現場に建築主と現場監督しかいなかったとします。
建築主が基礎を見てジャンカを発見します。他の施工部位と比べて明らかに変で、コンクリートがあるべきところがスになっているのですから監督に注意します。監督は経験上ジャンカがある場合の対処法は知っていますので簡単に「モルタルで補修しておきます」と答えます。建築主はモルタルの補修が正しい補修なのかどうかわかりません。不安なのでインターネットでジャンカについて調べます。インターネット上では様々は情報が飛び交っています。時にはジャンカは基礎のやり替えと云った極端な怪情報?まで出ています。
益々不安になった建築主は「ネットで基礎のやり替え」と書いてあったのでやり替えて欲しいと監督に要求します。云われた監督は(さてはクレーマー?)と疑い出します。対応が事務的になり、良い家を造ろうと云う共通の目的から大きく外れ、建築基準法上は問題ないとか言い出します。(建築基準法は最低の基準を定めた法律です)
建築主は誠意のない対応に、益々不信感を強め被害者意識が出て来ます。監督は高々ジャンカ程度で文句を言われていればこの先何を言い出されるからわからないと益々警戒心を強めます。事ある度にその様な事を繰り返して行くうちに建築紛争に発展してしまうのです。

この場合の正しい対処法は、建築主からジャンカを指摘された時点で、監督は監理している建築士に相談し、建築士は対処法を考え対処後の安全性を計算書と共に文章にして建築主に提出し、補修の承認を得ると云う方法です。
建築主は第三者の客観的な考察を書面として受け取る事が出来るのですから、後々何かあっても証拠が残る訳ですから安心です。監督も第三者の指示による方法で補修しますので、施工責任は残るとしても構造上の責任は回避できます。

設計料が高いからの理由ひとつで、設計監理者が不在の現場が大なり小なり同様のクレームを抱えているのです。この様なリスクを避けるのは、当事者ではない第三者(設計監理者)の目で判断すると云う作業が重要になってくるのです。

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