コラム

 公開日: 2017-03-27  最終更新日: 2018-07-04

秀光ビルドの家に調査に入りました

文春のスクープは真実か

週刊文春に秀光ビルドの違反建築のスクープが掲載されて、不安になったと知り合いの人に頼まれて調査に入りました。
週刊誌の内容と云うのは「A氏の家は土台の下に基礎が築造されていない部分や土台と基礎が10センチもズレている部分があり、明らかに建築基準法に違反していました。 また、一階と二階の柱や壁の位置がズレており、耐震を強化する“ダイライト”と呼ばれる耐力面材が継ぎ接ぎで貼り付けられていた。これでは何の効力もありません」と云うセンセーショナルな専門家の意見を添えて、違反建築を糾弾するカタチでまとめられています。
このスクープは文春以外にネット上でヤフーニュースに載りましたが、それ以外の他のメディアは沈黙しています。
この記事を読んでまず疑問におもったのが・・・・・

①基礎が築造されていない部分があり(写真右)・・・・・・これは設計図書と比較して図書には示されているのに施工されていないとなれば大問題ですが、設計図書に記載されていなければ、あえて施工する必要はありません。常識的に90cm程度で、上に柱が乗っていなければ省略する場合も考えられます。土台がズレ落ちている様に見えますが、下がって見える木材は土台ではありません。断熱材を囲っている受け材です。
②基礎と土台が10cmズレておりの(写真左)・・・・・・・土台の下に基礎パッキンが見えています。本当に土台の下に基礎が無いのであれば、基礎パッキンは脱落しているはずです。写真ではしっかりと基礎の上に乗っている様に見えますので、この角度の写真からただちに欠陥であるとは判断出来ません。
③明らかに建築基準法に違反していました・・・・・どこを指して建築基準法に違反しているのか記事と写真だけでは私には判断できませんでした。
④一階と二階の柱や壁の位置がずれており・・・・一階と二階の柱や壁のの位置なんてズレるのが当たり前です。一般の家は一階にリビングがあり、二階には個室が並んでいます。そんな間取りで、どうしたら、柱や壁の位置が一緒になるのでしょうか。この下りは専門家のコメントではなく素人の記者の作文の可能性が高いです。
⑤”ダイライト”と呼ばれる耐力面材が継ぎ接ぎで張り付けられていましたこれでは何の効力もありません・・・・・・ここにも疑問を持ちダイライトの施工マニュアルを読み直しました。すると施工は建設省告示1100号に準拠するとありました。建設省告示1100号には合板を耐力壁内で継ぐ事を認めています。継ぎ目さえ適切に処理されていれば何ら支障はありません。

秀光ビルドの家を調査

阪神間にある閑静な住宅街の中にその家はありました。新築まもない事もあり、外見からは違反や構造的欠陥を認める事は出来ませんでした。
建築確認書を拝見しましたが、建築主が企業名で申請されているにも関わらず、会社印でなく認め印が押されていたとか数点の書類的不備はありましたが、建築基準法に違反した(図面と実際が違うとか)内容は認められませんでした。
中間検査。竣工検査とも検査機関の検査を受けており、検査済み書も発行されていました。
素人さんがよく気にする、ドアの軋みや床鳴りと云った内容の不備は散見されましたが、直ちに違反となるような内容はありませんでした。
私も日頃散々ハウスメーカーの家造りをこき下ろしていますので、別に秀光ビルドの肩を持つつもりはありませんが、今回の文春の記事は興味本位で覗き趣味的な要素が多いかと思いました。

劣悪な構造設計!!

ただし、建築基準法に違反しない(週刊文春に書かれていたような違反建築ではない)家であると云うだけであって、地震に強く安全な家という訳ではありませんでした。基準法上違反か否かを検討する項目の中に「壁量倍率」があります。壁量倍率が1.0を上回れば適法となりますが、この家は1.05でした。ギリギリセーフの範疇です。
一般的な木造住宅の場合、構造計算(応力度計算)を行わず、簡易な壁量計算を行う事が許されていますが、壁量計算でセーフになった家でも、構造計算を行うとアウトになる建物は数多くあります。
統計を取った訳ではありませんが、経験から私見を述べますと、壁量計算で1.3以上の壁量倍率が無ければ構造計算ではアウトになる建物が多いようです。
秀光ビルドの様な、大手ハウスメーカーでも、構造計算を行わず、簡易な壁量計算で建物を建てているのです。ここを修正しない限り、工事の見える化を宣言しても安全性を担保出来るものではありません。熊本地震では壁量倍率1.25(耐震等級2)の家が倒壊しています。
この家の場合、阪神大震災や熊本地震の様な地震に遭遇すれば、地盤の状況が悪ければ倒壊を免れません。
今年6月に発生した大阪北部地震でも、計算上は倒壊を免れるものの大破するレベルです。補修費に数百万円を要する損壊レベルです。
現在の建築基準法は建物の健全性を守るものではありません。人の生命を守る為の最低基準だったのですが、その最低基準さえも最近の地震結果から怪しいものになっています。
建築基準法を守る意味は、建物が倒壊しても合法的に建てられた建物だから文句は言えない程度の意味合いでしかありません。
調査に入った家の居住者には、破壊的な地震が発生したら、玄関から逃げる事は諦め、近くの窓を蹴破ってでも(蹴破る前に割れていると思いますが)外に飛び出す様に助言しました。ガラスの破片で怪我をしても下敷きになって死ぬよりましです。

又、建築基準法には直接関係はありませんが、維持管理に関する問題が見受けられました。設備配管が給排水管共にコンクリートに埋め込まれていました。配管にやり替えの必要が生じた場合、これでは基礎コンクリートに穴を開ける必要が生じます。構造の検討を行わないまま穴を開けられるでしょうから、大事な鉄筋を切断される恐れがあります。

同様に秀光ビルドの家はクーラー配管用のスリーブが設置されていないので、クーラーを取り付けする際に筋交いを切断する恐れもあります。筋交いを切断すれば地震が発生した場合、建物の倒壊に直結します。
住宅業界も、建築基準法一本に頼る事を止め、住宅性能表示制度・長期優良住宅と云った住宅の性能を高める法律を標準に家造りした方が良いと思います。

予算の無い方は私と家造りしませんか

ハウスメーカーの家造りの良い点はワンストップです。お任せしていれば何もしなくても、一定品質の家を造ってくれます。
そこに良さを見い出して、積極的にハウスメーカーの家造りに賛同される方であれば、ハウスメーカーの家をお勧めします。

しかし、予算が無いからハウスメーカーの家しか仕方ないと考えた方の失敗例を数多く見てきました。
ハウスメーカーの家は安いと考えるのは幻想です。ハウスメーカーに支払った建設費の1/4~1/3は宣伝広告費に使われています。
「ブランド」と云う実体の無い「良さそうに思える」と云う雰囲気を維持する為に、莫大なお金が消えているのです。

予算の無い方ほど、建築家との家造りを志向されるべきです。
大量一括購入によるコストダウン効果は望めませんが、その代わり標準仕様の制約がありません。好きなモノを好きな様に組み合わせする事が可能です。構造にお金を重点的に掛けたり、エコを追求したり、自然素材にこだわるのも自由です。

私の設計費はハウスメーカーと比べると割高ですが、宣伝広告費等にお金は使いません。トータルコストでは私との家造りの方がコストパフォーマンスが良くなります。ハウスメーカーの設計従事者は許認可申請を下ろすのが主な仕事で、工事現場を監理する事が殆どありません。この事が多くの建築紛争の要因となっています。
私は大阪府建築士会の住宅相談員もしておりますが、建築紛争の相談を受けた時、設計者の存在すら知らない方が多くおられます。

私は、建築主の代理人として現場が完成するまで、工事を監理します。住宅紛争の中で最も多いのが、建築主と施工者間で起こるトラブルです。この手のトラブルの殆どが私の様な設計監理者がいれば未然に防ぐ事の出来たトラブルです。

予算は無いけど夢はいっぱいある。そう言った方は私との家造りを考えてみませんか?

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