コラム

 公開日: 2017-03-27 

秀光ビルドの家に調査に入りました

文春のスクープは真実か

週刊文春に秀光ビルドの違反建築のスクープが掲載されて、不安になったと知り合いの人に頼まれて調査に入りました。
週刊誌の内容と云うのは「A氏の家は土台の下に基礎が築造されていない部分や土台と基礎が10センチもズレている部分があり、明らかに建築基準法に違反していました。 また、一階と二階の柱や壁の位置がズレており、耐震を強化する“ダイライト”と呼ばれる耐力面材が継ぎ接ぎで貼り付けられていた。これでは何の効力もありません」と云うセンセーショナルな専門家の意見を添えて、違反建築を糾弾するカタチでまとめられています。
このスクープは文春以外にネット上でヤフーニュースに載りましたが、それ以外の他のメディアは沈黙しています。
この記事を読んでまず疑問におもったのが・・・・・

①基礎が築造されていない部分があり(写真右)・・・・・・これは設計図書と比較して図書には示されているのに施工されていないとなれば大問題ですが、設計図書に記載されていなければ、あえて施工する必要はありません。常識的に90cm程度で、上に柱が乗っていなければ省略する場合も考えられます。土台がズレ落ちている様に見えますが、下がって見える木材は土台ではありません。断熱材を囲っている受け材です。
②基礎と土台が10cmズレておりの(写真左)・・・・・・・土台の下に基礎パッキンが見えています。本当に土台の下に基礎が無いのであれば、基礎パッキンは脱落しているはずです。写真ではしっかりと基礎の上に乗っている様に見えますので、この角度の写真からただちに欠陥であるとは判断出来ません。
③明らかに建築基準法に違反していました・・・・・どこを指して建築基準法に違反しているのか記事と写真だけでは私には判断できませんでした。
④一階と二階の柱や壁の位置がずれており・・・・一階と二階の柱や壁のの位置なんてズレるのが当たり前です。一般の家は一階にリビングがあり、二階には個室が並んでいます。そんな間取りで、どうしたら、柱や壁の位置が一緒になるのでしょうか。この下りは専門家のコメントではなく素人の記者の作文の可能性が高いです。
⑤”ダイライト”と呼ばれる耐力面材が継ぎ接ぎで張り付けられていましたこれでは何の効力もありません・・・・・・ここにも疑問を持ちダイライトの施工マニュアルを読み直しました。すると施工は建設省告示1100号に準拠するとありました。建設省告示1100号には合板を耐力壁内で継ぐ事を認めています。継ぎ目さえ適切に処理されていれば何ら支障はありません。

秀光ビルドの家を調査

阪神間にある閑静な住宅街の中にその家はありました。新築まもない事もあり、外見からは違反や構造的欠陥を認める事は出来ませんでした。
建築確認書を拝見しましたが、建築主が企業名で申請されているにも関わらず、会社印でなく認め印が押されていたとか数点の書類的不備はありましたが、建築基準法に違反した(図面と実際が違うとか)内容は認められませんでした。
中間検査。竣工検査とも検査機関の検査を受けており、検査済み書も発行されていました。
素人さんがよく気にする、ドアの軋みや床鳴りと云った内容の不備は散見されましたが、直ちに違反となるような内容はありませんでした。
私も日頃散々ハウスメーカーの家造りをこき下ろしていますので、別に秀光ビルドの肩を持つつもりはありませんが、今回の文春の記事は興味本位で覗き趣味的な要素が多いかと思いました。

本当に周知してもらいたいのはここです

ただし、建築基準法に違反しない(週刊文春に書かれていたような違反建築ではない)家であると云うだけであって、地震に強く安全な家という訳ではありませんでした。基準法上安全か否かを検討する項目の中に「壁量倍率」があります。壁量倍率が1.0を上回れば適法となりますが、この家は1.05でした。ギリギリセーフの範疇です。熊本地震では壁量倍率1.25(耐震等級2)の家が倒壊しています。現在の建築基準法は建物の健全性を守るものではありません。人の生命を守る為の最低基準だったのですが、その最低基準さえも最近の地震結果から怪しいものになっています。
破壊的な地震が発生したら、玄関から逃げる事は諦め近くの窓を蹴破って(蹴破る前に割れていると思いますが)外に飛び出す様に助言しました。
又、建築基準法には直接関係はありませんが、維持管理に関する問題が見受けられました。設備配管が給排水管共にコンクリートに埋め込まれていました。配管にやり替えの必要が生じた場合、これでは基礎コンクリートに穴を開ける必要が生じます。構造の検討を行わないまま穴を開けられるでしょうから、将来の不安要素の一つです。

同様に秀光ビルドの家はクーラー配管用のスリーブが設置されていないので、クーラーを取り付けする際に筋交いを切断する恐れもあります。
住宅業界も、建築基準法一本に頼る事を止め、住宅性能表示制度・長期優良住宅と云った住宅の性能を高める法律を基準に家造りした方が良いと思います。

この記事を書いたプロ

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一級建築士 福味健治

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