コラム

 公開日: 2018-05-14 

安くて地震に強い家を造るには

地震を知ろう

地震に強い家を安く造るには、地震を正しく知る必要があります。そして巷で流れている風評やデマに惑わされる事のない様に地震の理解を深める事が大切です。
これだけ科学が発達しても予知が出来ず、建物や道路を破壊してしまう地震ですが、ゴジラの様に闇雲に恐れる必要もありません。「下から突き上げる様な衝撃に襲われた」と云うのが地震を表現する定番になっていますが、上下動で建物が倒壊した例はありません。鉄骨造や鉄筋コンクリート造にしたから地震に強い訳でもありません。
まずは地震の特性を知り、どうすれば地震に強い家にするにはどうすれば良いかを知っておきましょう。特殊な工法や装置を用いなくても地震に強い家は造れます。

地震は波です。


画像はS波と呼ばれる地震波を模式化したものです。S波は別名横波と呼ばれます。赤の波も青の波も横波です。青い波が横波で赤い波が縦波という訳ではありません。
では縦波はと云いますと下の画像がそうです。

別名P波若しくは粗密波とも呼ばれます。進行方向に建てに揺れますので、P波はS波よりも早く伝わります。
遠い地震の時ほどP波が先に到達しますので、ビリビリと不気味な揺れを感じた後に衝撃的な揺れを感じると云うのが東日本大震災の時の揺れ方です。阪神大震災の様な直下型の地震はP波とS波がほぼ同時に襲います。
波形からも分かりますように、P波は早く進みますが力そのものは弱く建物を破壊するほどのP波は観測されていません。

地震の特性

上の図形は水平方向に時間軸、上下方向に揺れ幅を記したものです。
揺れ幅が大きい程大きな地震です。単位はgalで日本語では重力加速度と呼びます。建築基準法では400galに耐える家を合法としています。これは関東大震災が400galであった事からそう決められたのですが、阪神大震災では881galを記録し、東日本大震災に至っては1000galを越えてしまいました。熊本地震でも1000galを越えていますが、建築基準法を改定する兆しはありません。これには事情があります。
振幅(gal)が大きくなっても建物が倒壊しない例が多く観測され始めたのです。経験的にも同じ震度7でも阪神大震災や熊本地震では住宅が多く倒壊したのに対し、東日本大震災では地震による住宅の倒壊例は多くありませんでした。
では、何が違っていたのかと云いますと、振幅の幅よりも振幅の周期が問題なのではと云われ始めています。
振幅する周期が建物の固有振動周期と一致してしまえば共振を起こします。この共振が倒壊に至る大きな原因ではないかと云われ始めているのです。
もっと簡単に説明しますと、ブランコを漕ぐ時をイメージすると分かりやすいかと思います。ブランコの揺れに合わせて足を振り上げると、初めは小さな揺れでも徐々に大きく振れて行きます。これはブランコの固有振動周期と足を振り上げる周期が一致した為に揺れ幅が大きくなったのです。ブランコの揺れる周期を無視して闇雲に足を振ってもブランコは振れてくれません。

固有振動周期を意識して家を建てる

これを建物に当てはめると、振動周期の異なる耐力壁を分散配置すると地震に強い家になる事を意味します。合板や面材で造った耐力壁もあれば、筋交いや制振装置も分散配置すると云った方法が有効です。
また、地盤にも振動周期があります。軟弱な地盤は振動周期が長く、固い地盤ほど振動周期が短いのです。軟弱な地盤に振動周期の短い建物を建てるとか、振動周期の短い地盤の上に振動周期の長い建物を建てるとかすれば、共振を防げます。
これらの事を意識した家にすると、無暗に高価な耐震装置を考えなくても、一般に用いられている筋交いや面材耐力壁を配置するだけで、安くて地震に強い家が可能になります。

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