コラム

 公開日: 2012-01-27 

「変形労働時間制(1)」

◆変形労働時間制をご存知ですか?
 法定労働時間は、原則として1日8時間、1週間では40時間と定められています。つまり、1日8時間、1週間で40時間を超える労働時間には、通常、時間外手当の支払いが必要となります。
 
 そこで労働基準法では、「変形労働時間制」を認めています。これは、一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間内であれば、1日8時間、1週40時間を超えて働かせることができる、という制度です。

 この制度を利用すると、忙しい時期の所定労働時間が1日8時間、1週間40時間を超えていても、時間外労働の扱いをしなくて済むため、時間外手当も発生しません。


◆変形労働時間制とは?
 変形労働時間制は、1週間40時間という労働時間の枠を最大限に活用し、合法的に時間外労働を削減することができる制度といえます。

 変形労働時間制には、次の3種類があります。

 ① 1ヵ月単位の変形労働時間制

 ② 1年単位の変形労働時間制
 
 ③ 1週間単位の変形労働時間制

 厚生労働省の平成23年度就労条件総合調査によると、変形労働時間制を採用している企業は全体の約54%となっています。内訳として、1年単位の変形労働時間制を採用している企業が約37%、1ヵ月単位の変形労働時間制を採用している企業が約14%だそうです。

 本コラムでは、このふたつの変形労働時間制について、解説します。

 まずは、1ヵ月単位の変形労働時間制から、ご説明しましょう。


1ヵ月単位の変形労働時間制
 ・1ヵ月以内の期間を平均して法定労働時間以内にする
 ・1ヵ月単位の変形労働時間制は、1ヵ月以内の一定期間を平均して、法定労働時間の範囲内であれば、特定の日に8時間、特定の週に40時間を超えて働かせることができる制度です。

 超えた時間は時間外労働として扱う必要がなく、時間外手当を支払う必要がありません。
 
 例えば、月末が忙しく月初が暇な会社であれば、ゆとりのある月初に労働時間を減らして、その分、忙しい月末の労働時間を長くしたり、労働日数を増やすことができます。

 ・法定労働時間とは?
  1ヵ月単位の変形労働時間制を採用する場合の、法定労働時間総枠は、「変形期間の暦日数÷7日×40時間」の計算式により、求められます。
 
 変形期間を1ヵ月とすると、月による暦日数の変動にあわせて、総枠が変動します。

 変形期間     労働時間の総枠
 1ヵ月 30日の月  171.4時間
 1ヵ月 31日の月  177.1時間
 1ヵ月 28日の月  160.0時間
 1ヵ月 29日の月  165.7時間

 ・他にも有利な点があります
  1ヵ月単位の変形労働時間制では、1日や1週の労働時間の上限は定められていません。他の変形労働時間制には1日や1週の労働時間に上限が定められていますので、この点はとても有利です。

 さらに、前回のコラムでもご紹介しましたが、1ヵ月単位の変形労働時間制は、商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業で10人未満の事業場(以下、「特例事業場」といいます。)であれば、1週間の労働時間を「週40時間」ではなく、「週44時間」と読み替えて適用することができます。
 
 特例事業場は、1週44時間の労働時間を認められています。しかし、1ヵ月単位以外の変形労働時間制を採用する場合は、1週40時間となってしまいます。

 人数の少ない事業場にとって、1週間4時間の差は大きいですよね。
  
・制度を導入するには、どのような手続きが必要でしょうか?
  1ヵ月単位の変形労働時間制を導入するには、次のいずれかの手続が必要です。

 ① 労使協定を締結して、労働基準監督署に届け出る。

 ② 就業規則に規定する。

 いずれの方法でも、労働時間の定めとして就業規則に記載しなければなりません。

 そのため、実務的には、労使協定によらず就業規則に規定することによって導入することが多いです。
 
 就業規則または労使協定には、各日の始業・終業の時刻を定めなければなりません。

就業規則で各日の勤務時刻を指定することが難しい場合は、シフト制による方法もあります。

この場合、就業規則には次の項目を記載します。

 ① 始業・終業時刻の勤務パターン
 
 ② 勤務の組み合わせの考え方

 ③ シフト表の作成方法と周知方法


  制度を上手に取り入れて、社員さんの残業時間を減らし、かつ会社も納得の労働時間管理を行いましょう。

  次回は、1年単位の変形労働時間制について、お話しします。

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