コラム

 公開日: 2012-02-27 

~休職規定について考えてみよう~【後篇】

皆さんこんにちは。前回からの続きです。
今回は休職規定の作成ポイントを具体的にお話しします。
またまたお付き合いいただけると嬉しいです。


≪休職規定を作成するときのポイント≫

①休職期間満了時の手続を明確にすること
→定められた休職期間が経過したときに、その従業員の身分がどうなるのかについてきちんと定めることです。
 A:休職期間満了までに治癒した場合は復職させる。
 B:休職期間満了までに治癒しない場合は、期間満了をもって当然に退職とする。
というように、規定します。


②復職の要件である「治癒」について基準を明確にすること
→「治癒」とひとことで言っても色々な捉え方ができます。

お医者さんが使う「治癒」は、
「治療を続けてもこれ以上は改善が望めない状態」
をいいます。

でも、仕事をする上ではお医者さんが治癒と判断しただけではとても復帰はできないことは、よくあります。

「出社することができる」とか「軽作業ができる」では、話にならないのです。
なので就業規則には会社が求める「治癒」のレベルを具体的に記載しなければなりません。

例えば「治癒とは、通常の業務を遂行できる程度の健康状態に回復すること」などです。
「通常の業務」についてもスペシャリストとゼネラリストでは基準が異なりますが、それはまた別の機会に・・・。


③休職制度が適用される従業員の範囲について明確にすること
近年、多くの会社で非正規社員の割合が増えてきています。
これら非正規社員にも休職制度は必要でしょうか。

→休職制度は、長期雇用の安定を目指し、一定の契約解除猶予制度としての機能を持っています。
非正規社員の多くは期間雇用者であり、長期雇用を前提とされていない雇用形態です。

となれば、期間雇用者がその契約期間の途中に長期欠勤状態になった場合は、その契約期間の満了をもって雇用関係を終了することが一般的な対応であると考えます。

しかし、契約期間の大部分を残して長期欠勤状態になった場合等には、休職規定により契約を終了することが、会社にとって有益な場合もあります。

非正規社員には休職制度は適用しないのを原則として、特殊な事情があれば、休職に準じた取扱いを行うことが必要かもしれません。


④休職期間前の欠勤期間の設定について検討すること
休職制度を設けている会社の規定の大半は、休職を適用する前に一定の欠勤期間があることを要件としています。
「業務外の傷病による欠勤が1カ月を超えたとき」などです。

→休職前の欠勤期間を定める目的は、休職命令の発令基準を明確にすることです。
欠勤期間の定めをしておくことで、個別判断による不公平感も減り、会社も休職命令発令の判断に伴う負担が減ります。
よく、休職規定の欠勤要件が「連続欠勤」を要件としていることがあります。

近年はメンタル面での疾病も多いので、その場合には断続的な欠勤でも休職を命じることができるよう、規定を工夫することが必要です。


⑤休職期間の長さについて検討すること
休職期間の長さは会社の裁量によって決められます。
実際には、勤続年数に応じて休職期間の長さに差をつけている会社が多いようです。

→会社の利益という観点から考えると、休職期間中にはその従業員の社会保険料の会社負担分が発生します。
休職期間が長いほど会社負担は高額になります。

また、休職者に代わって代替要員を雇用した場合は、その人件費も負担になります。
つまり休職によるコストと、休職させてでもその人材を確保することの利益のバランスによるといえます。

しかし、このバランスは一概に計算できるものではないため、実際は企業の規模や同業他社における「相場」などにより決めているのが一般的です。

ここでも注意していただきたいのは、「企業規模や業種」によって実際に運用できる休職期間を定めることです。
インターネットや市販のひな形をそのまま使用すると「休職期間が5年もある」なんてこともあります。
逆に極端に休職期間が短い場合は、その規定自体が有効といえなくなることもあります。


⑥休職制度を実際に適用した場合に生じる問題を予想すること
→一通り休職制度の概要ができたら、
 A:実際それを運用したときにうまくいくのか
 B:何か問題が生じないか
などを検討してみることをお勧めします。

休職を繰り返し取得するような従業員がいたとします。
規定に何も書かれていなければ、欠勤期間が所定の期間に及んだときに再び休職命令がなされることになります。

これを
「復職後6ヵ月以内に同一または類似の事由により、欠勤または不完全な労務提供が認められた場合は休職とする。その場合の休職期間は先の休職期間の残存期間とする」
などと定めていれば、繰り返し休職を防ぐことができ、残存期間の満了とともに当然退職とすることが可能です。


就業規則は、一度決めたらそのまま・・・という会社も、少なくありません。ぜひ、定期的に見直してくださいね。

◎pty◎


(全ての事例に対応できるワケではありませんので、必ず事前に専門家にご相談ください。)

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