コラム

 公開日: 2013-11-17 

話し合いによる債権回収の方法

 債権回収には、当事者間での話し合いによって解決する「任意的手段」と、
裁判所などが介入して強制力をもって解決する「法的手段」とがあります。
 任意的手段も法的手段も、究極的な目的は債権を回収することなので、
問題が生じた場面や相手方に応じて適切な方法を選択する必要があります。
 とはいえ、裁判手続きには時間も費用もかかります。そこで、相手方が交渉に
応じる可能性があるのなら、まずは交渉による解決を試みるべきです。
 その結果、「毎月分割で支払ってもらうことになった」などという場合、
債権者と債務者との間で契約書を作成します。
 書面化する際は将来の不履行に備えて、合意内容を公的に証明する債務名義化を
しておくことが望ましいでしょう。
 債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、
範囲、債権者、債務者を表示した公の文書のことです。差押さえなどの強制執行を
おこなうためには、この債務名義が必要です。
 合意内容をスピーディに債務名義化する方法としては、「公正証書の作成」、
「即決和解の利用」などがあります。
 また、当事者だけで交渉が難しい場合は、裁判所を仲裁役として合意を得る方法もあります。
この場合、裁判所に「民事調停」を申し立てます。調停で合意できれば、その内容が債務名義となります。
 ここで、(1)公正証書の作成、(2)即決和解、(3)民事調停について、
それぞれ確認しておきましょう。

 (1)公正証書の作成
 公正証書とは、「公証人が当事者の依頼に基づいて、当事者間の法律行為、
そのほかの私法上の権利に関する事実について作成する書面」のことです。
 公正証書には、債務の総額、弁済時期、弁済方法のほか、債務者が公正証書に
定める金銭債務を履行しないときは、ただちに強制執行に服するという文言(執行受諾文言)
を入れる必要があります。この条項がなければ、債務名義としての効力はありません。
 公正証書の案文は事前につくっておいて、その後、公証人役場に行って、
公正証書作成の申し込みと打ち合わせをします。
 作成当日は、債権者と債務者がそろって実印と印鑑証明を持って公証人役場へ行き、
公証人が公正証書の内容を読んで確認した後、公証人と両当事者がそれぞれ署名・押印します。
 作成が終わったら、債権者は公正証書を債務者へ交付するよう請求します。
 これは必ずしもやらなければいけないわけではありませんが、将来、この公正証書に
基づいて強制執行する場合、公正証書が債務者に交付・送達されていなければなりません。
 そのときになって送るのでは手間なので、作成時にやってしまいましょう。

 (2)即決和解
 即決和解とは当事者間に一定の合意が成立している場合に、これを簡易裁判所の
裁判官の前で約束して、「和解調書」という書面を作成する方法です。
 簡易裁判所でおこなうのですが、裁判手続きではありません。
 和解調書には、債権額と支払い時期・方法を記載します。これは判決と同じ効力が
あるとされていて、債務名義となって強制執行することも可能です。
 申し立てる裁判所は、相手方の住所地を管轄する裁判所になります。また、
当事者が定める合意管轄の利用も可能です。

 (3)民事調停
 民事調停とは簡単にいうと、裁判所における話し合いによる紛争解決手段です。
 少額訴訟などの民事訴訟の手続きは、当事者の主張する事実の有無を証拠に基づいて
認定して、これに法を適用して権利を確定。最終的には、公的な判断によって
民事紛争を強制的に解決する手続きです。
 これに対して、民事調停の手続きは、調停委員会を構成する裁判官と調停委員が
当事者双方の言い分を聞きながら、法律的な判断を基本に置いて、当事者を互いに
歩み寄らせ、社会的常識と実情に即した紛争の自主的解決を図ることを目的としています。
◆民事調停の3つの特色
○紛争の実情に即した柔軟な解決を図ることができる
 当事者それぞれのあらゆる事情を総合的に考慮して、分割弁済や弁済期限の猶予、
債務の一部弁済など、実情に即した柔軟な解決方法を定めることができます。
そのため、調停が成立した場合は、債権回収の実現性を高めることができます。
○手続きが簡単で、費用も比較的安価
 民事調停の手続きの場合、訴訟における訴状のように厳格な請求の趣旨や原因の
記載は必要ありません。申立書も簡易裁判所に通常、ひな形が備え付けられているので、
とくに専門的知識がなくても、申立てをおこないやすいといえます。
 また、同じ事件であれば、訴訟手続きよりも民事調停の手続きのほうが裁判所に
納める印紙代も安くなります。
○話し合いによる紛争解決手段
 民事調停はあくまで話し合いによる紛争解決手段なので、相手方が調停期日に出頭して
こなかったり、出頭しても最終的に合意に至らなかったりした場合などは、調停手続きは打ち切られます。この場合、結局は通常の訴訟提起をおこなわなければ解決を図れません。
 そのため、第三者を交えても相手方がまったく話し合いに応じそうにない場合は、
民事調停をするより、初めから訴訟提起などをおこなったほうが早期解決を図れることもあります。

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