コラム

 公開日: 2013-11-18 

簡単で便利な回収方法

 話し合いによる回収が難しい場合には、(1)内容証明郵便、(2)債権譲渡、
(3)相殺など、比較的簡単で便利な方法によって、請求・催告することを検討すべきです。

 (1)内容証明郵便
 話し合いで何度も債務者に請求をしたのにもかかわらず、無視されたり、断られたり
したときには、「内容証明郵便」による督促をおこないましょう。
 内容証明郵便とは、郵便事業株式会社が「郵便を出したという事実」と「手紙の内容」を
証明してくれる制度です。これに「配達証明」を付けることで、内容証明郵便が配達された
日付を証明することもできます。
 内容証明自体は、法的強制力や返答する義務を負わせるものではありませんが、
内容証明郵便で督促すれば、「法的手続きを取ってくるのではないか……」という心理的圧迫を
感じて支払ってくる債務者もいます。債務者の支払い意思を生じさせるには有効な方法です。
 また、時効が中断したり、請求したという事実が証拠として残ったりという効果もあります。
催告書を見た、見ていない、いった、いわないという水掛け論を封じることができます。

 (2)債権譲渡
 債権譲渡とは、売掛金や貸付金など、債権者Aさんが持っている権利をBさんに移すことです。
債権譲渡がおこなわれると、新しい債権者Bさんは、それまで債権に設定されていた抵当権や
保証などを譲渡がおこなわれる前と同じように行使できます

◆債権譲渡による債権回収の方法
 債務者Cさんに債務を負っている第三債務者Dさんに債権を譲り受けてもらって、
債権者Eさんはその代金から債権を回収、第三債務者Dさんは譲り受けた債権と債務者Cさんに
対する債務とを相殺により処理をする、債権回収の方法があります。
 たとえば、家具屋のCさんは電気屋のEさんから冷蔵庫を買ったとします。当然、冷蔵庫の代金を
払う必要がありますが、家具屋のCさんはなかなか代金を払ってくれません。
 そんな折、電気屋のEさんは、喫茶店を営んでいるDさんが家具屋のCさんから高級ソファを
購入したことを知ります。
 本来なら、Dさんは家具屋のCさんにソファの代金を払うことになりますが、電気屋のEさんは
喫茶店のDさんに掛け合って、Cさんに払うはずのソファ代の一部を冷蔵庫代の代金として
肩代わりしてもらえないか交渉するようなイメージです。
 この場合、喫茶店を営んでいるDさんが第三債務者ということになります。
 債権譲渡による債権回収は、このように第三債務者の存在が債権者に判明している場合で、
第三債務者に債権を購入する資金力があって、さらに第三債務者の協力を得られる場合に限られます。
 これ以外にも、債務者とは契約関係のない第三者に債権を購入してもらうことも考えられますが、
この方法は回収できる可能性の低い債権を購入してもらうことになるので、かなり低額でしか
購入してくれないことがほとんどです。
 このことから、「ほかの方法ではまったく回収の見込みがないものの、わずかでも回収したい」
という場合に検討すべき方法となります。

◆債権譲渡の手続き
 債権譲渡は、譲渡人(債務者)と譲受人(債権者)の合意でのみ成立します。
 しかし、この債権譲渡を第三債務者に主張するためには、第三債務者に対する譲渡人(債務者)
からの債権譲渡の通知、または第三債務者の承諾が必要となります。 
 さらに、この三者以外の誰かに債権譲渡を主張する場合は、確定日付のある通知、または承諾、
もしくは法務局に行って「債権譲渡登記ファイル」に登記する必要があります。
 確定日付については、前述の内容証明郵便で通知・承諾をおこなえば要件を満たすことができます。
 債権譲渡登記ファイルへの登記については法人に限られていて、登記をしても債務者に対して別途、
登記事項証明書を交付する必要があります。そのため、一般的にはたくさんの債権を一括して
譲渡する場合に利用されています。
 このように、確定日付や登記がなくても第三債務者に対して債権譲渡の効力を主張することは
できますが、支払いが滞っている譲渡人(債務者)は、同じ債権を複数の人に譲渡する可能性も
否めません。
 この場合、確定日付や登記がないと、ほかの譲受人(債権者)に対して自分の債権を主張できなく
なるため、ほぼ回収は見込めないでしょう。
 こうしたことへの対策として、債権譲渡を受けた場合には、必ず確定日付、または登記をする
必要があるのです。

 (3)相殺
 相殺とは、債権者・債務者お互いの債権・債務を対当額で消滅させることです。
つまり、AさんとBさんがお互いの商品なりサービスを購入し合っているときに、
それぞれに支払うはずの代金を持って、債権を消滅させるということです。
 債権者が相殺に使う債権を「自働債権」、債権者が相殺で消滅させる債務
(相殺に使われる相手方の債権)を「受働債権」といいます。

◆相殺の3 つの要件
1. 債務が弁済期にあること
 相殺をおこなうためには、自働債権が弁済期にあることが必須です。つまり、
期限を過ぎているにもかかわらず、支払いがない状態のことです。
 一方、相手方への支払い(受働債権)については、まだ支払いの期限内であっても相殺できます。
2. 債務が性質上、相殺を許すものであること
 たとえば、本を執筆するというように、現実に履行されないと意味がない債務については
相殺はできません。
3. 互いに債務を負担していること
 相殺の意思表示の時点で、互いに債務を負担していることが必要となります。
 たとえば相殺の意思表示をおこなう前に、すでに弁済されている場合や契約が解除された場合、
そもそも契約が無効であった場合などは相殺する対象がないので相殺はできません。
 ただし、相殺時に債務が時効消滅している場合は、時効消滅前に相殺できる状態(相殺適状)
であれば、相殺は可能です。

◆相殺による債権回収の方法
 このように、互いに債務を負担している状況であれば、相殺は簡単、かつスピーディにおこなう
ことができます。実際に現金を受け取ることはできませんが、対当額の範囲で確実に債権回収
できる手段です。
 また、債務者が破産手続きを開始しても、手続き開始時に債務を負担しているのであれば、
相殺は破産手続き外でおこなうことができます。

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西村隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 西村隆志

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