コラム

 公開日: 2014-06-26  最終更新日: 2014-07-29

自然素材で、五感に心地よい木の家をつくる方法! その① 1~6

化学物質を使った建材や家具による害が問題にされています。
それと同時に、昔ながらの自然素材が見直されています。
でも、いざ自然素材を使ってみたいと思ってもわからないことがいっぱい。
どこで買えるか、だれがつくるのか、値段は?手入れは?本当に体にいいのか?
実際に経験してきたことの実例を基に、よいところだけでなく、問題点や今後の課題も含めて考えます。


「家の素材と造り方を見直そう。」 

自然素材の家づくりに最も必要なのは住み手自身が参加すること。


1.造り手も住み手も無知だった有害化学物質

新築の家に移ったり、家をリフォームしたら急に体調が悪くなり、頭痛やめまいがする、目やのどが痛くなり咳が出る、アレルギーやアトピーが発症した、憂鬱で無気力になり何もやる気が出ないといった奇妙な現象が起きています。その原因が、住宅の建材や防虫、防腐剤に含まれる有害な化学物質であることがわかったのはやっと数年前からです。

これらの化学物質は、合板や、ビニールクロス、ペンキなどの材料にも、それを接着する糊にも、また防腐、防虫、防カビ剤などにも含まれているといわれますから、新建材に頼っている今の家のつくり方と、そのお陰で便利で快適な生活を実現しているわれわれの生活は、深刻な反省を迫られているといえます。人が生活する時間の多くを過ごす、しかも休息し、リフレッシュする場所でもある家が、人の健康を蝕むとは・・・。

2.高気密・高断熱住宅の陥し穴

これらの有害な化学物質は、そのほとんどが室内の空気に溶出して人の健康に影響を及ぼすものです。この溶出の度合いは、一般に温度が高くなればなるほど大きくなるものであり、室内空気の外気との交換、つまり換気が少なくなればそれだけ多く人体に悪影響を及ぼすわけです。

夏の高温多湿の気候に対処した呼吸性の高い昔の家づくりと違って、今の家づくりの大勢は新建材で気密性、断熱性を高めています。その閉め切った家の室内をエアコンなどの便利な空調機器に頼って快適にしようというものですから、有害な化学物質が室内に溶出しているとなると、便利さや、快適さどころではない、かえって健康を害する家づくりの選択ということになります。

3.なぜ新建材がこれほど使われているのか

新建材による室内環境汚染は最近問題にされたこととはいえ、どうしてこれほどまでに人工的な建築材料が氾濫し、ほとんどそれだけで家を造るのがあたりまえになってしまったのでしょうか。

従来の家造りの材料といえば、木や土や紙といった自然の産物をほんの少し加工した程度のものであり、これを「職人の技術」が、素材のくせや欠点をカバーして家につくり上げるものでした。住み手の方にも、塗り壁には物を当てないように、木の床は米ぬかで毎日磨くといった具合に、家をいたわることにいくらかの労を惜しまない生活習慣がありました。

ところが科学技術と産業の発展は、建材の材料をすっかり変えました。汚れも拭き取りやすく、いとも簡単に貼り換えられる、ビニールクロスや、水も浸みず、汚れもつきにくい、プラスチック樹脂でコーティングされた合板の床材など、丈夫で長持ちする、安くて施工しやすい、しかもメンテナンスの手間もかからない夢のような材料――新建材を次々に生み出したのです。これは、造り手側にとっては、作業を合理化して収益率の高い家造りを可能にするのにうってつけの材料でしたし、住み手にも、見た目にもちょっときれいで、選択のバラエティーに富み、掃除の手間もかからない材料として歓迎されました。
なにしろ使われる材料を見本で確かめられますし、つくる側も、完成してから思ったものと違うと文句をいわれる心配もありません。

工業製品である新建材は、その材料の目的とする機能だけを見ると大変優れているものが少なくありません。例えば、高分子化合物の配合された壁の吹付け材は、昔の左官壁に比べて、ひび割れへの追従性や、雨水の浸透防止性能だけを見れば、はるかに優れたものがあります。

昔のものはもう古い、新しい工業製品ほどいいものだという戦後の経済発展と近代化の潮流の中で新建材はますますバラエティーを増やし、大量に使われるようになったのです。

4.新建材の大量生産と消費者の選択

建築材料が化石資源を使う大きな産業によってつくられるようになると、専門化され細分化されたそれぞれの分野で、目的とする機能だけを満たすために建材はどんどん進化しました。例えば壁紙は、もっとしなやかに美しく、しかも燃えにくく、カビが生えず、しみもつかないようにと、いろいろな化学物質が加えられ、より便利に、様々な要求に答えるべく、進化したのです。

住宅の材料はもう、家のつくり手も、住み手も関知しない高度に技術化された産業の手に委ねられているのです。そして建材のみならず、住宅そのものが丸ごと商品としてメーカーによって売られる時代になったことはご承知の通りです。

住み手の方は、どのような過程で建材が作られ、何が作られ、何が使われているのかはまったく知らされず、ただひたすらモノを選び、消費するだけの立場になったのです。次から次へと目新しい建材や住宅が売られる中で、住み手はもっと便利で、もっと快適で、もっと手間のかからない家をと、必要を越えた欲望をふくらませていったのです。

使われる材種や、床下の通風に気をつけなくても白蟻がつかない便利な防蟻剤や、わずらわしい虫干しを不要にする防虫畳のように、今問題になっている化学物質による健康被害は、このように細分化され、専業化された造る側の体制と、何も知らされずに消費するだけという住み手という、双方のまったく断絶した在り方が生み出した問題といえます。

5.代替する新建材で安全な家がつくれるだろうか

それではわれわれはどうしたらよいのか。わが国でも遅まきながら建築材料の健康への影響を配慮した安全基準をつくりました。また、メーカーも化学物質の室内への溶出量を少なくして安全を謳った建材や、住宅を売るようになるでしょう。これはこれで大変大事なことで、安全な建材が出まわるように、住み手側は常に社会的に働きかけていく必要があります。

しかし今使われている化学物質は7万種とも10万種ともいわれていますし、そのうち発癌性など人体への影響が医学的に確認できているものはほんの2~300種類だそうです。単独の物質についてもまだこのような状態ですから、複数の化学物質が複合して作用した場合の安全性を確かめることはほとんど不可能なことだと専門家もいっています。

ですから新たに安全な建材が売り出されても、代替された化学物質がまた新たな未知の問題を引き起こす可能性は十分あります。

建材の人体や環境への有害性は、単にできあがった家のなかだけではありません。つくる過程で作業する人や環境への安全性、廃棄されてからの安全性も当然問題にされなければなりません。例えば塩化ビニールを使った建材は燃やすと塩素やダイオキシンを出しますし、埋め立ててもいろいろな化学物質が溶出してくる可能性があります。

つくる過程や廃棄された時の安全性をも含めて本当に厳しい規制をかけた場合、それでも新建材を使うメリットが住宅産業の側にもあるのだろうか疑われます。健康を謳った
高価な家が売られる心配もあります。

6.自然素材で家をつくるには住み手の自覚が必要

住宅は、高層ビルや、自動車とは違い、高度な技術や、精度の高い工業製品がないとできないものではありません。まして、人が生まれ育ち、憩う生活の多くの時間を過ごすところですから、昔から慣れ親しんできた、木や漆喰や土壁といった安全な自然の素材でつくるのがいちばんいいのです。内心そう思っている一般の方々もきっと大勢おられると思います。最近は木の家が欲しい、自然素材を使いたいという声を実に多く耳にします。

しかし自然素材というものは、均一で精度の高い工業製品とは異なり、一つひとつの材に「くせも個性」もあります。木であれば多少収縮をしたり狂ったりもします。取扱いが悪ければ腐ることも、白蟻がつくこともあります。漆喰や土の塗り壁は、乱暴に扱えば傷がつきますし、ていねいに塗る工程を重ねなければ、ひび割れが生じたりもします。自然素材の欠点をカバーし、長所を生かすには、それなりの技術と手間と時間がかかるのです。

新建材は危険だから今度は自然素材だといって飛びついても簡単に出来るものではないのです。つくり手にも、住み手にも新建材の家をつくるのとは少しわけが違うのだという自覚が必要なのです。
ところで、自然素材を使うといっても全く昔の家づくりに戻ろうというわけではありません。快適な家をつくるには、種々な断熱、保温、蓄熱の工夫は自然の素材を使っても必要です。

太陽や風のエネルギーをうまく利用してパッシブに家の快適さを得ようという工夫や技術もずいぶん進んできました。このようなパッシブな技術を、自然素材の利用とうまくマッチさせることにより、はじめて性能の良い快適な現代の住宅が可能になるのです。



次回は、『自然素材で、五感に心地よい木の家をつくる方法! その② 7~8』 で、自然素材の家の造り方についてお話しします。





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