コラム

 公開日: 2016-04-19  最終更新日: 2016-08-03

『お客と社員に支持される生産性向上策』 【2】 商人舎Magazine 4月号・原稿

今回は、営業利益を大幅に向上させるために、生産性を向上させる。そのための『考え方』について、事例を交えながらお伝えしていきます。
効果を出す業務改善は、「考え方を変える」とこからがスタートになります。考え方が変わると、行動が変わります。

「収益改善のために業務改善をやっているのに、思うような結果が出ない」ということで、弊社にコンサルティングの依頼をいただく場合があります。
他社の真似をしても行動が変えられない。継続出来ない。結果が出ない。
多くの場合、ノウハウ(戦術、戦技)だけを見て、根本にある『考え方』や『原理原則』、つまり「何のために・・・」を正しく理解しないまま、行動するからです。
小手先のノウハウでも、一時的な成果は得られるかもしれません。しかし、残念ながら、「何のために・・・」を正しく理解していなければ、中長期において、目指している目標やゴールに到達できない場合が多いのです。

過去の偉人や賢人が、多くの経験の中から作り上げてくれた、原理原則やフレームワーク(考え方の枠組み)が世の中には沢山存在します。
過去にほかの人が試して、有効性が実証された方法。それが、原理原則です。

原理原則やフレームワークを学んでいれば、有効なアイデアも出しやすくなり、時間の経過とともに、日々の業務の生産性を効率的にアップすることが出来るようになります。


戦略とオペレーションとリーダーシップ


戦略とは、会社の理念やコンセプトを基に、競合と戦って勝つための『考え方』のことです。
その中には、目標とゴール、そして、期限が設定されていなければなりません。


オペレーションとは、その戦略の目的と目標、ゴールを達成するための『やり方』のことです。
そして、そのオペレーションをコントロール(適時、修正や調整を加えること)して、チームとして目標を達成させるために必要なのが、リーダーシップです。

戦略とは、中長期に、お客の満足の向上を実現するために、我社の強みを磨き上げながら、市場でどのような戦い方をするかということです。
どういうターゲット(顧客設定)に対して、どのような商品やサービスを、どのような方法でお届けするのかということであり、それを支えるオペレーションの出来不出来が、生産性に大きく関わります。


今回は、この考え方について、戦略を頭の片隅に置きながら、現場で日々起こっている、幾つか事例を紹介していきます。


思考停止になる言葉「だって・・・」、「でも・・・」、「しかし・・・」


これらの言葉は、口にした人の思考を停止させてしまいます。私は、クライアントに対して、これらの言葉を原則使用禁止にしてもらっています。

これらの言葉は、「やれません」と行っていることと同じことです。
知らないうちに、自分自身の脳に働きかけ、自分の限界を決めてしまっています。それも、低レベルの限界を、です。
そして、これは、全ての業務に、そして全ての人に通じることです。

ですから、「どうしたら出来るか?」と、考える癖を付けることを強くお薦めします。そうすると、脳みそが働き出しアイデアが出やすくなります。仮に、自分の頭でアイデアがまとまらなくても、その意志があれば、チームのメンバーで考えてみることや他の人に聞く、という様な行動に発展していきます。
前者と後者の差は、歴然としています。時間の経過とともに、その差はとんでもなく大きなものとなります。


言っているだけで部下化が動けば、リーダーはいらない


私は、これまで何度となく、各クライアントのリーダーから、「言ってるんですけどね・・・」と言う言葉を聞いて来ています。

言っているだけで、行動に移し結果を出せる人(チーム)は、相当訓練された賢い人です。
この言葉を口にするリーダーは、リーダーの役目を果たしていないと言えるでしょう。
リーダーは、部下ができる様になるように育てるのが役目です。半年後、一年後、部下が、どのくらい成長したかがリーダーの役目であり業績なのです。
この場合の「言っている」は、言いっぱなしにしているということなのです。
「遣ってみせ、言って聞かせてさせてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」(山本五十六のことば)なのです。


部下を確実に成長させる目標設定


例えば、私が、重点商品(基本的にカテゴリーの売上高トップ)の販売計画(月間)を立てるときに、「売上目標はいくら?」と、責任者に聞くと、多くの場合、「そうですね。(前年対比)105%ぐらいですかね・・・?」という程度の答えが帰ってきます。

私は、「最低でも150%、出来れば2倍」と一蹴します。
はっきり言って、105%ぐらいの予算なら、遣る意味がありません。

高い目標を立てると、人は、「どうしたら出来るか」と考えます(考えてもらいます)。商品(アイテムやSKU、グレード、容量など)こと。展開場所はどこでやるのか。数あるプロモーションの方法を、どういう段取りで仕掛けるのか。価格設定は、という様に、マーケティングのあらゆる可能性を探ることになります。真剣に考えて脳みそに汗をかくのです。


<事例> 販売企画・成果報告書
商人舎1604・2
商人舎1604・3
商人舎1604・4
上記の表は、2016年2月の報告書で、実例です。(クライアントの承諾をいただいて掲載)
新米の女性店長と青果チーフが、出してくれた青果部門の実績事例です。トマト(野菜のトップの売上高)の売上高は、183%(前年対比)で、野菜の売上高は、128%(〃)という高実績です。

このように、高い目標を設定して計画を立て、実行に移せば、嫌でも結果が出せます。仮に目標に届かず、結果が135%止まりだったとしても、その35%分の能力が、担当者の身に付いたということになります。
高い目標設定は確実に人を成長させます。事実私は、上記の事例のように、多くの成長した人たちを見てきています。


決定は、声の大きさではなく、お客のベネフィット(得)で決定


会議や現場で複数の意見が出てきて対立しているとき、リーダーや、声の大きい人の意見が通る会社が、少なくありません。

しかし、これはいけません。チームの行動は起こせるでしょうが、中長期的に部下は育たず、チームのためには成りません。
私は、複数のアイデアが対立したときには、「お客さんは、どっちアイデアのほうが良いかな?」と考えてもらうことにしています。
顧客満足度を高め、利益を出すためにビジネスをしているのですから、当たり前のことです。
こういうことを社内のルールにして、会議の風通しを良くしていると、皆の意見やアイデアが出やすくなり、会議も活性化し、生産性も高まります。時間の経過とともに、チーム力は、確実レベルアップします。
皆が納得して行動することが、大きな成果につながるのです。


答えはお客(ニーズ)に聞く


店舗のリニューアル計画を進めていたローカル・チエーンの会議でのことです。
商圏動向とか品揃えなど、経営幹部、開発部、商品部、店舗運営部など、十数人参加の大掛かりの会議です。それも、参加メンバー全員が男性です。文字や数字だらけの見たくもない書類。しかも、各部門から何枚も出てきます。
おそらく、聞いている参加者の多くは、それらの内容の一部分しか理解していないでしょう。

「お客様には、聞き取り調査しましたか?」と私が聞くと、「いいえ・・・」という担当者から返事が帰ってきます。
「まずは、テナントさんも含む、店舗の全ての女性社員の方々に、お店の好きなところと、嫌なところを聞いてみてください」
私は、匿名でのアンケートを実行することの指示を出し、早速調査を行ってもらい、集計してもらいました。

すると、
「トイレが暗い」「売り場に活気がない」「売り場が代わり映えしない」「従業員の挨拶が無い」など、お客様目線の意見を沢山集めることができました。これらが優先すべき改善点なのです。
ちなみに、今回、開発部の計画には、トイレの改装計画はありませんでした。
この事例の様に、ハードと商品の入れ替えの前に、考えなくてはいけないことは、お客の目線(気持ち)です。優先すべきは、ソフト面のリニューアルなのです。


最低時給を考えるから、生産性は上がらない!


最低時給が上がることを心配している人事担当者や経営幹部がいます。ほとんどの場合、生産性とは程遠い、企業です。

低い時給で働かせて、高い生産性を出している会社は少ないと思います。逆に、生産性が低く、相対的にハイ・コストである場合が少なくありません。

私のクライアントの中には、パート社員に、1500円や1800円を超える時給を払っている企業も有ります。
高位の専門知識や作業スキルを要して、会社に大きな貢献をしてくれています。
店長や人事部の重要な仕事は、躾のできた人を雇い入れること。そして、その人達に計画的に教育訓練を施し、現場全体としての能力向上により、生産性を上げるという仕組みを作ることです。そして、やる気の出る評価制度の策定。それが、本来の仕事です。
決して、人を安く使うことではありません。


『遣れること』ではなく、『遣るべきこと』をやる


高い成果を出し続けることのできる人は、遣るべきことを優先しています。時間管理の中でも、そのために使う時間の割合が多いと言えます。

しかし、これは、特別に選ばれた人だけが出来ることではなく、全ての人が共通して遣れることです。
なかなか成果が出せない人は、やれることを優先して、そこに多くの時間を消費してしまいます。結果として、本来遣らなければならない(遣るべき)ことを遣らなかったり、先延ばしにしてしまいます。
前者と後者の差は、時間の経過とともに大きさを増し、中長期の成果と生産性の差は、とてつもなく大きなものになります。


考え方は、生産性に直結する


今回紹介した事例は、現場で起こっているほんの一例にしか過ぎません。

生産性を上げて、従業員の生活を豊かにすることと、会社の営業利益を向上させるという、労使双方の正しい理解と価値観の共有が高い生産性に繋がります。
そして、何と言っても、顧客の満足と幸せに繋がることであるという強い認識を持って行動して欲しいと思います。
これらの考え方と行動が、他社との差別化を生み、強い競争力となって独自性を強くします。

真の生産性は、過去の結果を見ての『費用対効果』ではなく、時間とお金に気持ちを込めた『投資対効果』と考え方えることが重要だと思います。


【コンセプト、原理原則を伝える・・・経営者、経営幹部の必読書】
商人舎Magazine・4月号

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