コラム

 公開日: 2016-10-11 

マーケティングの原点・・・客数を増やす【商人舎magazine10月号・原稿】

前回の記事は、「客単価アップ」を中心に解説しました。
今回は、「客数アップ」について解説を加えたいと思います。

改めて、売上を上げる、たった3つの方法を確認します。

(1)お客様の数       ⇒ (購買)客数を増やす
(2)一回当たりの取引単価  ⇒ ( 〃 )単価  〃
(3)来店頻度(リピート回数)⇒ ( 〃 )頻度  〃

これは、どのようなビジネスにも共通することであることもお伝えしました。

ここで言う「客数を増やす」とは、(1)と(3)のことです。
ここをよく理解して、売上アップに繋げるためのプロセス(仕組み)を構築する必要があります。


1.来店客数を増やすには・・・?


「客数を増やす」には、
1.新規客や休眠顧客に来店してもらうこと
2.顧客に来店回数(頻度)を増やしてもらうこと
です。

1の効果的な対応策としては、新聞の折込みチラシやダイレクトメールなどによって、初めての人や久しく来店されていないお客に対して広告を流し、来店を促します。

2は、競合店が多い商圏の中から、日々自店を選んでもらうためには、そのための仕組みづくりが重要です。
一人ひとりの顧客が、自店を継続的に利用し買い物をしてくれることは、既存店にとっては非常に経済的で重要なことです。

一日の売上は、客数×客単価ですが、
一ヶ月、一年という、ある期間の売上では、客数×客単価×来店回数と言うことになります。
売り場のお客のカゴの中身に焦点を当てるのではなく、来店してくれているAさん、Bさんという、顧客一人ひとりに焦点を当てて考えます。一ヶ月、一年当たりの来店回数によって、売上を作り上げてくれていることを理解することが重要です。このことを、ライフ・タイム・バリュー(顧客生涯価値)と言います。

言うまでもなく、
①品質、鮮度
②品揃え、欠品
③クリンリネス、衛生管理
④接客、接遇
⑤楽しい、面白い、嬉しい     情緒的価値
など、日々お客が、自店と関わることによって得られる「良い体験」(体験価値)が、来店回数に深く関わります。

「陳列演出で売上が上がりますか・・・」
「クリンリネスなんて、売上に関係しますか・・・」
というような質問を受けることがあります。これは、お客の心理と、算数を正しく理解していない証拠です。

単なる、欠品や挨拶などと考えていてはいけません、
お客の一人ひとりの「良い体験」が、再来店を促し、期間の来店回数を増やし、売上を作り上げていることを忘れてはいけません。

お客が感情を持った人である以上、売り場での良い体験、商品を買って帰り、料理を作る時や食べる時の良い体験。それらの積み重ねが、お客の店に対する信用、信頼に発展していきます。
そのことにより、顧客生涯価値(ライフ・タイム・バリュー)は、向上するのです。


一方、1の新規客や休眠顧客に来店してもらうことは、既存顧客の再来店と違い、広告代やその制作、そのための売場作りや準備などに多くの経費や時間を必要とします。
ですから、コストに十分見合う、効果的な集客が出来なければなりません。

このときに知っておきたい原理があります。それが、フロントエンドとバックエンドです。


2.集客数を増やす『フロントエンド』 と 利益を増やす『バッ


フロントエンド と バックエンドとは、「損して、得取れ」と少し似ています。

但し、低売価設定による特売など、決して損をするばかりとは限りません。
例えば、新規性(トレンド)のある商品やイベント企画の紹介などによって、楽しさ、面白さなど情緒的価値や希少性の打ち出しによって、お客の来店行動を促します。

(1)フロントエンドは集客数アップが目的

新聞折り込みチラシやポスティング、ダイレクトメール。携帯(電話)メール販促や各種SNSの活用など、あらゆる販促ツールを駆使して、お客に興味を持たせ、来店に繋がる行動をすることです。

実際、広告によってお客を一人でも多く集めたければ、潜在顧客に、
「あ~ッ、何時ものチラシね・・」ではなく、
「えッ、何ッ、この店行かなきゃッ!」と、言わせる広告を作ることを考えなくてはいけません。
お客からの支持が高い玉子などの特売品かもしれません。
いつもは取り扱っていない今話題の商品かもしれません。
北海道フェア等の様に「美味しい・楽しい・・・」企画かもしれません。
お客に、自店に足を向けさせる仕掛けがフロントエンドです。

そして、フロントエンドで忘れてはいけない重要なことは、効果測定です。
各広告の実施内容によって、来店客数がどの様に変化したかを確実に調査してデータ管理を徹底します。
掲載商品や価格設定、イベント企画や曜日設定、競合店の動きや地域環境(天候)の変化など、あらゆる条件の違いで、どう客数が変化したかを細かく分析して効果測定を行います。
そして、さらに来店客数を増やすために、仮説を立てながら、適宜修正を掛けて改善していくことが重要です。

また、ここ数年、新聞の購読率が著しく低下していることを考えれば、スーパーマーケットの重要な販促ツールである新聞折込みチラシの他にも、お客への情報伝達手段の仕組みを作り上げることも重要となってきています。


(2)バックエンドは、粗利益(客単価)アップや再来店を促すことが目的

いくら多くのお客を集客できたとしても、特売品だけで売上を上げてそれで終わりでは、単なる経費の無駄遣いに終わってしまいかねません。
儲からなければ、商売として意味を持たないことになります。

重要なことは、来店したお客に対して、客単価アップや再来店を促す仕組みを構築することが重要です。

1.アップセル(高単価品推奨)やクロスセル(関連販売推奨)、各種インストアプロモーションや
新規導入品の売り場展開
2.楽しさや面白さを感じさせる陳列演出やイベントの充実
3.関連購買や想起購買、衝動購買や条件購買などを促す売場づくり(展開)
4.POP(コピーライティング術)や試食(相対)販売などによって、客の潜在ニーズを掘り起こす
こと
などによって、確実に購買客数を増やし、各商品やカテゴリーの売上を向上させることを考えなければいけません。


3.リスクリバーサル


多くの顧客に対して、信頼が構築されているお店は強いと言えます。日々の集客についても、広告チラシをまかなくても、日々自然にお客が集まって来てくれます。

とは言っても、来店してくれたお客が、商品やサービスを選択し、実際に購買に繋げてくれるためには、売る側のそれなりの努力が必要です。特に、低価格ではなく、通常の商品より少し値の張る商品の場合は、特にそうです。
商品のベネフィット(買う(使う)事によって得られるお客の得)をPOPや試食販売などで訴えることは効果的です。
しかし、それでもまだ、購買を決定出来ないでいるお客に対して効果的な方法の一つが、リスクリバーサルです。

「もし、お買い上げいただいた商品にご満足頂けなければ、お使いいただいた代金は、全額お返しします」
これが、リスクリバーサル(保証)です。
お客が、「大丈夫だろうか・・・」、「もし、○○だったら・・・嫌だな」という様な、買い物する時の不安を和らげて、「大丈夫ですよ」と、お客の背中を押してあげるのです。
お客の「買わない理由を無くす」ということです。

売り側にとっては、「返品がイッパイ来たらどうしよう・・・?」と心配になり、リスクが大きいと考えがちです。
しかし、考えてみてください。
先ほど申し上げたように、顧客生涯価値を考えて商売を考えることが、新規のお客を獲得することのコストと比べれば、とても低くて簡単で生産的なことなのです。

「顧客を思いやる」「顧客の悦びのお手伝いをする」ことが、商売の基本です。
要するに、「お客に喜んでもらえる商品を仕入れる」という、単純で基本的な行動をすれば良いだけです。

日々不満を抱えているお客は、何時か確実に来店しなくなります。
是非、行動に移してテストをしてみてください。


4.ジョイント・ベンチャー


ジョイント・ベンチャーの代表的なものに、地産地消の取り組みがあります。

作るのが上手い生産者と、日々多くのお客訪れるスーパーが、お互いの強みを出し合って手を組むのです。
特に農産物の生産者などは、良い物を作ることが出来ても、売ることが得意でない場合があります。
地域の豆腐屋やケーキ屋などの専門店もまた、売場を提供してもらい、さらに売上を拡大できます。

スーパー側は、競合店に対して、差別化戦略を強化でき、売上を拡大できます。特に、陳列までやってくれる生産者と手を組めれば、ローコストで、粗利益率は高くなくても、営業利益ベースでは大きな貢献になります。

そしてなにより、生産者は、自店の贔屓客にもなってくれます。
両者に信頼関係が構築できれば、相乗効果を生み、地域との繋がりも深くなり、全体としての集客数アップになります。


5.口コミと紹介


以上説明したように、信用や信頼、地域との良い関わりは、お客同士の『口コミ』を生みます。

良いこと、嬉しいことは、人は、他の誰かに話したくなるものです。
ですから、お店での、楽しいことの体験、嬉しいことの体験は、口コミを生むのです。

紹介システムについては、今まで話してきたような、お客との良い関係性は、商品の予約販売や期間の販促企画など、お客にお願いをしても受け入れてくれ易くなります。

戦術的には、顧客とその紹介者に対して、割引特典が付くなどの企画も良いでしょう。紹介した人と、された人双方にベネフィットがあれば、紹介者も気兼ねなく行動を起こしてくれる確率が高まります。
これらの場合も、多くのコストを掛けずに客数を伸ばす方法です。


6.広告制作責任者は、集客数のアップが仕事


販売促進用の広告は、投資です。
一般的には、人件費、地代家賃などの次に多い経費が、販売促進費(広告宣伝費)になります。

ところが、その効果(集客、売上など)測定をしていない企業が圧倒的に多いと思います。
効果測定もしない販売促進費は、経費の垂れ流し状態や、商品の値下げや売り場変更に伴う人件費など、多くのロス(費用)を生むことになりかねません。

現在でも新聞折込みチラシの集客効果が高いのは事実ですが、先ほど申し上げたように、新聞の購読率がここ数年で大きく低下しているという事実があります。
このことを考えても、広告方法を変えることや、その媒体を増やすこと、そして、それらの投資対効果を考えることが重要です。

そして、多業態の店舗も含めた競争店が増えていることと、潜在顧客数の減少を考えれば、今後一人でも集客数を増やす努力を怠ることはできません。

それが、販売促進部や広告作成責任者の本来の仕事です。
ワンパターンの代わり映えのしないチラシを作ることや、同じ方法の繰り返しが仕事(業務)ではないのです。私たちは、それを作業と呼びます。
仕事とは、実際に成果が伴うものでなければなりません。
日々の検証と修正を繰り返しながら、費用対効果を高めていくプロセスを構築することが重要です。



競争の厳しい時代になって来ていますが、一番怖いことは、何もしないことです。
現場を今一度確認して、まだ、やれることが有るのであれば、是非実験をスタートしてみてください。
集客は、楽しい業務です。

商人舎magazine10月号(Web版)こちらから、ご覧下さい。⇒http://magazine.shoninsha.co.jp/monthly/m_serial201610/60410


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大阪府豊中市上野東2丁目4番10号 [地図]
TEL:06-6654-6640

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